今日4月24日は首を長くして待っていたApple Watchの発売日!もちろん朝一番で予約していたApple Watch SPORTを入手しました!
Apple Watchについては過去2回にわたってRock oNのニュースとしてお伝えしてきましたが、いよいよ実機を目の前にして音楽制作や表現の現場でのApple Watchの活用法を探ってみたいと思います。
Apple Watchでできること
メッセージ … iMessageができる!(文字入力の方法が気になります)
電話 … 電話できる!通信方法は各国準拠
メール … どこでもメールをチェック!
体調管理 … 心拍数センサーと加速度センサーを使って、各種健康アプリと連動。生活防水で雨でもちょっと安心。
マップ … 地図。旅行先でもスマートに目的地まで。
iTunes Bluetooth …ヘッドホンを付けて音楽を楽しむ
Apple TV …ちょっとした空き時間に映画も楽しめる。
リモートカメラ …iPhoneのカメラ機能のリモコンになります
Siri …困った時に頼りになります。
※以上の機能全てがiPhone内のAppを利用するものです。Apple watchはペアリング設定したiPhoneとBluetoothでコミュニケートしますが、自身はインターネット接続する機能を持っていません。iPhoneは必須ということですね。
写真 …お気に入り写真をウォッチフェイスにできますね
スケッチ …指でお絵描き。電話の代わりとして使える楽しい通話機能
タップ …”相手が手首で感じることができる静かな優しいタップで、友だちや大切な人にあなたの思いを伝えましょう。相手によってタップをカスタマイズすることもできます。” Appleまま(『モールス信号ブーム』がやってくるのか?!)
ハートビート …”2本の指を画面に押し当てると、内蔵された心拍センサーがあなたの心拍数を読み取って送信します。その人に、あなたの今の心の中を伝えましょう。シンプルに、でもちょっと親密な感じで。” Appleまま
特に最後のハートビートはセクシーな機能ですね。これまで視覚と聴覚のみだったスマートコミュニケーションに触覚が加わります。
音楽系Appを使ってみよう!
★まず頭を整理しておきましょう。Apple WatchはiPhoneと共に使う事が前提とされています。ということでApple Watchで使っているAppは、実はiPhone内のAppを遠隔操作していることになります。(もちろんApple WatchとiPhoneの関係性は使っているAppの機能に依存します。)このことからApple WatchでAppを使う際はスタンドアロンでどこまで使えるのかに注目する必要がありそうです。
発売日当日の今日、さっそくApple Watch対応のAppが多数公開されていますが、その中から気になる音楽系アプリを使ってみました。
djay 2 for iPhone
https://itunes.apple.com/jp/app/id669198374?mt=8
App Storeで最も多いダウンロード数を誇るDJアプリ djay 2がApple Watchに対応しています。こちらはApple Watchの小さな画面を縦や横にスワイプすることで2デッキ1ミキサーのDJプレイを可能にしています。CUEループやエフェクトプレイも可能。…というわけで早速試してみました。
djay 2ではApple Watchは遠隔コントローラーとして使います。繰り返しますが音源はiPhoneの中にあり、音の出力もiPhoneから行います。選曲、再生/停止、エフェクトプレイ、CUEループというdjay 2の基本機能のほとんどが使えることに驚き。縦:42.0 mm × 横:35.9 mmというウォッチサイズのタッチパネルでどこまでDJアプリをコントロールできるかが疑問でしたが、元々簡単操作が売りの本アプリなだけにミスタッチもほぼ無くDJができました。Apple Watchのタッチパネルのレスポンスの速さと感度の良好なセッティングはもちろん、djayのGUIの巧みさの賜物だと思います。
Arthur Russellを2枚がけ。曲調の全く違う2曲ですがSYNCさせるために左側の曲を、原曲を見失うほどピッチダウン。そしてリバーブをタップしてON/OFFさせ異次元ダブプレイ!ACID渋谷と没頭して遊んでいましたが…。次から次へと手早く操作をしている際にApple Watchの挙動が重くなることがありました。サウンドエンジンがiPhoneにあるため問題なく曲は流れていますがスワイプしても画面が動かないことがあり、ストレスになる瞬間がありました。この挙動の不具合はOSのバージョンアップで改善されるのでしょうか。今後見守っていきましょう。
djay 2は無料アプリなのでApple watchを手に入れたらぜひ使ってみてくださいね。数時間練習すれば基本的な2デッキのDJプレイを行えるはずです。
Apogee MetaRecorder
(http://www.apogeedigital.com/products/metarecorder)
NAB 2015 でコラボレーションを発表したSennheiserとApogee。Rock oNショーレポートで公開された新製品のMKE 2 digital(AD付きピンマイク)と共に使いたいレコーダーAppがこのApogee MetaRecorderです。 Apple Watchを遠隔コントローラーとして使え、離れた場所から録/再だけでなくゲインレベルもコントロールできて便利!
これも早速iPhoneにインストールしてみました!今回はAppの挙動のチェックのみでしたが、特に違和感なく録再生ができました。
このアプリは音声データに加えメタデータやマーキングポイント、フェイバリットマークなどをFinal Cut Pro X用ファイルのFCPXMLで書き出し可能。FCPXと高い親和性を持ちます。MKE 2 digitalと一緒に使えば1カメ、1レポーターのロケや簡易的なバックアップなど機動性重視のロケ班の心強い味方となるでしょう。
Apogee MetaRecorderは無料デモバージョンでは60秒間だけの使用という制限がかかりますが、Sennheiser ClipMic digital、MKE 2 digital、Apogeeの現行オーディオI/Oシリーズでは無制限で使えるようにアンロックされます。
音楽表現におけるApple Watchの活用方を探る
実際に使ってみて思ったのはApple WatchはこれまでのAppleのスマート機器と全く違うものだということです。当たり前といえば当たり前なのですが、Apple製品に限定した話で言うと、これまでiPhoneやiPadで私たちはインターネットにつながった世界から手軽に情報を取り入れ、そこへ自分の情報を発信することを身につけました。これによって個人(の情報)はより外へ開かれた存在になり、個人がネットワーク上でコミュニケートしてコラボレーションする『つながり文化』を生みました。
Apple WatchはこのiPhoneの機能をより気軽に身近に行うiPhoneの子機のような機能を持ちますがAppleは同時に、加速度センサーと心拍数センサー、位置情報の送受信などを連携させたヘルスケア機能を強く勧めています。このことはこれまで外に向かって視野を広げて来た私たちが今一度自分自身、さらに言えば自分の身体に意識的になることを提案しているのではないでしょうか。もちろんマーケティングにおいて多くのユーザーを獲得できるからこその製品開発なわけですが、その中に生きているApple ismを感じずにはいられません。大げさな話かもしれませんがパッケージの開封から半日間手首にApple Watchを着け続けてみて、これがまるで身体の一部のようになってきている感覚をおぼえています(SPORTモデルのベルトの質感やシェイプがよくできています)。
この不思議な感覚で身につけるスマート機器のApple Watchをどうにかして新しい音楽を生み出す切り口にできないかと考えました。凡庸なアイディアかもしれませんがApple Watch発売前からRock oNスタッフ内で話題にしていた「こんなAppが欲しい」という話。これまで掲載したものも含めてここに提案したいと思います。
1. アーティストの脈拍をシェアするライブアプリ
シーン:コンサート会場、中継先から
心拍数を読み取る『ハートビート機能』と任意でリズミカルに振動させられる『バイブレーション機能』を使います。
白熱するステージ上でアーティストがApple Watchの心拍センサーで自分の脈拍を読み取らせ、それがインターネット経由で観客やテレビの前の視聴者が付けているApple Watchのタップ機能に連動。アーティストの鼓動のリズムが自分の手首に伝わります。
アーティストは音、ビジュアルと共にハートビートまで観客に伝えることができるのです!
2.サンプラーのシンプルなトリガーに。しかしその意味は深い!
シーン:ライブで
これはもうリリースされているはずですがあえて書きました。ライブで使えるシンプルなポン出しのパッドとしてApple Watchを使いたいです。Apple WatchならばiPhoneと違って違和感無くスタイリッシュに身につけていられます。見た目が腕時計という「身につけられる自然さ」がライブには重要かと思います。勢い余って客席に乱入。観客にパッドを叩かせるときもさっとApple Watchを差し出して叩いてもらうとスムーズではないでしょうか。楽器という感覚を捨てて初めて得るライブの一体感。
3.GarageBandのApple Watchフル対応
シーン:制作スタジオで
ディスプレイをたたいてビートの情報を入力できる『タップ機能』や指でなぞって絵を描く『スケッチ機能』など直接触れる事による入力ワークフローが開発されれば、腕に着けられるGarageBandも夢じゃないのではないでしょうか。App本体やサウンドライブラリはiPhone本体に置くため、動作はサクサクと軽いものであってほしいです。
4. 次のKAOSS PADはApple Watchに対応させてください!
シーン:制作スタジオ、ライブステージで
商品を指名します(笑)。これはもう多くの方が予想していますよね。KAOSS PAD、KAOSSILATORなどあのタッチパネル操作をApple Watchで。しかもApple Watchなら傾きや指圧も感知しますよ!待ってますよ、KORGさん!
5.DAWのセカンドモニターや入力機器として
シーン:制作スタジオ、ライブステージで
DAWのセカンドモニターはなにも大型の液晶モニターだけでなくてもいいのでは?例えばトランスポーズや選択中のフェーダーやツマミはApple Watchに写していつでもササっとコントロールすると便利かもしれません。小さいながらもレスポンスの良い『タッチパネル』と『加速度センサー(傾きを感知)』を使ったX-Y-Zの3極コントローラーとしてシンセサイザーのパラメーターを操作しても面白いかもしれませんね。
6.バンドを繋ぐ体感クリックとして
シーン:ライブやスタジオなどで
『Bluetooth』と『バイブレーション機能』を使って、バンド全体で一つのクリックを共有。ヘッドホンではなくバイブレーションの振動で受けるとヘッドホンをつける必要が無くなります。ドラムサークルなどのセッションでつかっても面白いかもしれませんね。
好き勝手に妄想してきましたが、Apple Watchに限らず『スマートウォッチ』や『スマートグラス』はまだ未開の技術です。メーカーはもちろんのこと先端技術好きやライフスタイルを模索する探求者達が日々新しい使い方とそこから生まれる価値を追い求めています。Apple社はApple Watchを使ってこれまでになかった音楽スタイルを生み出すことを私たちに望んでいるのかもしれない、と思うのは私だけでしょうか。先日開催されたNAB 2015 / Musikmesse 2015で、世界を席巻したRoland があえてAIRAモジュラーシンセでコア層にアプローチしてきたように、インターネットで世界とつながった私たちは今また自分自身(個)に立ち返り、よりフィジカルな音楽表現を見つめ直すことを始める必要があるのかもしれません。
writer IH富田
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