• 2016.01.15

All About iZotope ~ 革新プロダクトを送り出すブランドの素顔 ~ Vol.2


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MiMグローバルインタビューでは、先進的かつ野心的にサウンドの未来を探る人物、企業へインタビューを行いその発想の泉を探ります。USA Bostonを本拠地にし、飛躍的なテクノロジーでサプライズを起こすiZotopeを訪問。Vol.1のCEO Maek氏インタビューに続き、Vol.2では「iZotope 最高の新空間オフィスツアー」と題し、セールス担当 Zac Kenny氏にオフィスを案内していただきました。iZotopeの革新的製品が生み出される素晴らしいオフィス空間をお伝えします。

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Rock oN : Zacさん、いつも弊社のムービーレポートに出演頂き、ありがとうございます!今日はじっくりお話する時間がありますのでよろしくお願いします。まずはこの新オフィスをご案内頂けるということで、とても楽しみです。オフィスが新しくなったということで、雰囲気は変わりました?

iZotopeM_8__2Zac Kenney氏(以降、Zac氏) : はい、大きく変わりましたよ!以前は普通のオフィスビルでしたので、部署ごとにスペースが分かれていましたが、それはよくないと思い、みんなが自由に話すことができ、活発なコミュニケーションが取れるよう、オープンなオフィス設計をしました。現在、スタッフは105人いまして、R&D(開発)、QA(品質保証)、Research(リサーチ)、セールス、マーケティング、エンジニアリング、プロダクト・マネージメント、エデュケーションといった幾つかの部署があります。今いる目の前の場所はR&Dのスペースなんですが、ここでスタッフがコードを書き、RXやOzoneを始めとする製品を開発しています。

Rock oN : 音楽制作やポストプロダクションなど、専門分野に応じてスタッフがいるのでしょうか?

Zac氏 : いえ、分野というより製品ごとのチームに分かれており、現在は2つのチーム体制が稼働中ですが、ハードウェア“Spire”の開発を始めていますので、もう1つチームが出来る予定です。(移動しながら)こちらは、セールス/カスタマーサービスの部署です。昨日、Ozone7をリリースしたこともあり、ちょっと慌しいですね。毎日、この時間にプロダクトマネージャーと開発部門のミーティングがあり、当日とその週の予定を決定しています。ちょうど今、打ち合わせの最中ですね。

Rock oN : オフィス内には沢山のミーティングルームが点在していますね。どの部署のスタッフも自由に使えるのですか?

Zac氏 : 自由に使用できますよ! 部屋が一杯の時は、その辺の空いてるスペースで適当にミーティングすればいいんですよ(笑)。昨日もそうしてました。

Rock oN : こんなところにヨガマットが置いてありますね!

Zac氏 : スタッフのステイシーが、仕事の後にキッチンでヨガ教室を開いてるんですよ!毎週金曜にはランチミーティングも行っています。

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(一行はiZotope Studiosへ移動します。)

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Rock oN : おお、素晴らしいスタジオですね! YAMAHA、Roland、Avidなど、他社の機器も沢山置いていますね。

Zac氏 : ありがとうございます!自社製品をきちんとテストできる環境を整えたいと思い、このスタジオを作りました。製品のサウンドテストや、プリセットの設定はもちろんのこと、エデュケーションのイベントも行うんですよ。広さは40,000平方フィートあり、機材選定、設置に関しては、マスタリングエンジニアであり、現在、iZotope社においてチーフエンジア/エデュケーションディレクターでもあるJonathan Wyner氏が行っています。

〜 ここで、Jonathan Wyner氏に登場頂き、話に加わっていただきました。〜

※ Jonathan Wyner氏は、ご自身のスタジオ、M Works( http://www.m-works.com )を運営するマスタリング・エンジニアでもあります。

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iZotopeM_41__2Jonathan Wyner氏(以降、Jonathan氏) : : 音はじめまして。このスタジオのことや、iZotopeにおける私の業務についてお話ししましょう。ご存知の通り、業界全体がいわゆるプロ向けの製品から、中小規模のホームスタジオ向けの製品へと移行しています。それは、レコーディングだけでなく、マスタリングについても同じことが言えますが、以前にも増して、多くの人がマスタリングという作業に関心を持つようになったと思います。

Rock oN : その通りだと思います。私たちRock oNも、本当はプロのマスタリング・エンジニアがマスタリング作業をやるほうがいいのは分かっているのですが、パーソナルな規模や環境でマスタリングをするという方も増えているため、現在、MiMという部署でマスタリングにフォーカスしたエデュケーション・セミナーを行っています。

Jonathan氏 : なるほど。私がiZotopeにいる理由の1つが、まさにエデュケーショナル・プログラムの開発なんです。私はバークリー音楽大学でマスタリングの講義を持っていて、学内で行う通常の講義だけでなく、オンライン講義も受け持っていますが、オンライン講義の教材としてOzoneを使うのは、大変便利なんです。ご存知の通り、通常マスタリングという作業には非常に多様な機材を組み合わせて使用しますが、Ozoneにはマスタリングに必要な機能がすべて備わっているため、全員が共通のプロセスで学ぶことができます。

私はツールのクオリティということに関心があり、以前、そのことについて、Bob Ludwig氏のGateway MasteringにいるAdam Ayanと意見を交わしたことがありましたが、Adamは、1つのツールでマスタリング作業を完結させる方向に進んでいるということでした。彼の意見だと、その方が音がよいということに加え、フレキシブルだし、より簡単にリコールができる等、色んな要素で比較した結果、1つのツールを用いて行う方がいい結果が得られるという結論になったようです。参考までに、先週のアメリカのチャートTOP5のいくつかの作品がAdamによるマスタリングだと思いますが、彼は20年前、私の元でインターンをしていたんですよ。今は私の方が彼のためにコーヒーを淹れる立場ですね!(笑)

Rock oN : オンライン講義というのはインタラクティブな授業ですか?

Jonathan氏 : リアルタイムでインタラクティブに進行します。コンピューターの前に、私は週1回、1時間座りっぱなしで講義しますよ(笑)。ただ、リアルタイムのオンライン講義というのが全員にとってよいものとは限らないんです。学生は世界中にいますからね。ノルウェーで受講している人もいます(笑)。 出席できなかった学生は後でビデオを見ることもできます。1学期内に12回の講義ですが、35~50人程度が受講しますが、もうかれこれ5年間担当しています。

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Jonathan氏 : ぜひご理解して欲しいのは、マスタリングはアルバム全体に統一感を与え、リスナーに届ける形に落とし込む作業であり、単にミックスをラウドにするだけでじゃないということです。長い間、1つのことに専心していると、使用しているツールよりも自分が何をしようとしているのか、ということが次第に分かってきます。私にとってマスタリングの大原則は、「音楽」であり、「アーティストとリスナーの橋渡しをする」ということです。また、現在、マスタリングにはファイル・フォーマット変換がつきもので、ますます複雑になっています。いいマスタリングをするためにはそれらすべてを理解していることが必須です。

Rock oN : Jonathanさんは、1回のマスタリング作業から、派生するマルチ・プラットフォーム全てに対応させているんですか?

Jonathan氏 : はい、プラットフォームごとに300のバージョンを作りますよ!なんて、それはジョークですが(笑)、アメリカではメインになっているフォーマットとして、CD、MP3、YouTube、Spotifyの4つがあり、それぞれ勝手が違います。Ozoneの新しいバージョン7には「Codec Preview機能」が実装され、各プラットフォームでのサウンドを試聴しながら作業できるので、大変助かっています。また、差分のサウンドだけを聴くこともできるので、あるフォーマットに変換する時に、どの成分が失われるのかを確認することができるんです。さらに、この機能が便利だと思う一番の理由は、エンコードに伴うレベルの変化をあらかじめ確認できることです。通常、AACやMP3にエンコードすると、元のトラックよりもレベルが上がってしまいます。そのため、ピークぎりぎりにマスタリングしてしまうと圧縮した際に音が歪んでしまいます。それが予め分かっていれば、元のトラックでレベルを下げ、いい結果を得ることができます。

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Rock oN : AACとMP3はコーデックとしてはもちろん違いがありますが、実際の音について違いはありますか?

Jonathan氏 : AACの方が進化してるコーデックで、MP3よりも音が良く、使いやすいと思いますが、私はどちらも嫌いです(笑)。私の考えですが、これらの圧縮コーデックはいずれ不要になるでしょう。インターネットはどんどん高速になり、バンド幅も広がっていますし、ハードドライブも大きくなっていますからね。

Rock oN : 先日AESで、ある大学の方と面白い話をすることができました。彼は学生に対してMP3とPCM音源のブラインド・テストを行ったのですが、多くの学生が「MP3の音の方が好き」と回答したそうです。リスナーがいかにMP3の音に慣れてしまっているかということを示しているように思いますがいかがでしょう?

iZotopeM_39__2Jonathan氏 : その実験についてはいくつも確認しなければならないことがありますね。というのも、カリフォルニアで似たような研究が行われ、同じ結果が得られましたが、第三者が調査したところ、その実験は被験者を特定の回答に誘導するような条件下で行われていた疑いが持たれました。別の所では、逆の結果が出たという報告もあります。ですので、私はその手の実験には納得しかねます。MP3はエンコードの処理によって高域のレベルが上がり、それによってフルスケール近くでマスタリングされたものがMP3にすると歪んでしまうということが起こります。音質比較実験では、コンマ数dBでもレベルが大きい方がよい音と判断される傾向にありますから、そうしたことも影響していると思います。いずれにせよ、コンシューマーとプロフェッショナルでは立ち位置が違います。コンシューマーは自分が好きなフォーマットを選べばいいと思いますが、プロフェッショナル、または音楽を制作する人々にとって重要なことは、どうしたらベストな結果が得られるかを理解することです。MP3にすれば音質は必ず悪くなります。ですから、MP3にエンコードした時にできるだけよい音質になるようにWAVファイルを作る必要があるのです。私が教壇に立つ時は、学生が、常にコンシューマーとプロフェッショナルの違いを理解できるように努めています。

Rock oN : 本日はありがとうございました!

Mark氏 : こちらこそ。また日本か、世界のどこかでお会いできるのを楽しみにしています!

海外のインテリア雑誌をめくるようなオフィス空間。ここで交わされる沢山のアイデア、意見がiZotope製品の革新性に結実し、世界中のクリエーターを刺激する。その発信源としての秘められたパワーを感じました。それはオフィスのインテリアだけでなく、そこで働くスタッフにも同じことが言えます。Jonathan氏が語るマスタリングに対する熱い思いから、同社主力製品Ozoneを支える製品思想を垣間見ることができました。

 

Vol.3では、社内で完全に独立したセクションであるリサーチ部門のマネージャーAaron Wishnick氏に、iZotope製品の基幹をなす技術的側面に焦点を当て、お話をお伺います。

引き続きご期待ください!

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