1980年代の再評価以降、未だにダンスミュージック界の定番サウンドとして、そしてリバイバル状況によっては最先端サウンドとして、君臨し続けるACIDサウンド=Roland TB-303サウンド。史上最も有名なシンセサウンドと言っても過言ではありません。また様々なアーティストがこぞって同じTB-303を使いながらも個性を競い合うという、ある種の匿名性と記名性のバランス感覚において、ダンスシーン黎明期のロマンが今も息づいています。
TB-303は多くの音楽だけでなく、機材的にも多くのフォロワー製品を生み出し続けています。
発売から30年余の時間が経過する中で登場するクローン製品の性質も変化してきました。初期はサウンドキャラクターを似せるに留まっていたものが、近年ではメーカーでも入手しないようなオリジナルの部品を作った復刻ものなど、クオリティは凄まじい進化(同化?)を遂げています。
そんな中でオリジナルサウンドの再現度において最高峰の評価を得ているプロダクト達があります。今日はその中からMODE MACHINES xoxboxをご紹介致します!
ユニークな着眼点と確かな技術力
MODE MACHINESと言えば知ると人ぞ知るドイツのハンドメイドメーカー。JUNO-106やWASPのフィルター部分だけを抜き出した製品やSID音源を積んだ製品、Prophet-5のplugi inの為のコントローラー等、一部の人の痒い所に手が届く、目から鱗な製品を生み出しています。
そんなMODE MACHINESの名前を一躍広めたのがTB-303のクローンであるxoxboxでした。
DIYなTB-303サウンド!
筆者もACIDサウンドは大好きなので、TB-303以外に過去数々のクローン製品を所有していました。DOEPFER MS-404、QUASIMIDI Rave-O-Lution 309、Roland MC-09、Novation Bass Stationなど個性的すぎて再現性はそれほど高く無かったと思います。(大好きでしたが。)
そして今手元にあるのがこのxoxboxです。初めてサウンドを聴いた時は驚きました。Square波の音の張りが素晴らしかったのです。そして、ノイズがオリジナルに比べて抜群に少ない!そりゃそうだ!新品なのだから!すぐに虜になりました。
オリジナルさながらのパッツンパッツンなサウンド!
特に気に入っているのはCut Off:全開、Resonance:0、Env Mod:最大、Decay:11時頃にしたときのサウンドです。音の粒立ちが良く、リズミックなフレーズに最適です。Slideによるオクターブの移動も滑らか!正直ウニョウニョや外部ディストーションによるビキビキよりもこちらの方が好きですね。
ビキビキは上手くやれば、再現性の高くないクローンでもそれなりに似せる事が出来ますが、パッツンパッツン言わせるサウンドはなかなかそうもいきません。ちなみに筆者はディストーションにProco RAT2を使っています。海外サイトでも良く議論されていますが、DJAX-UP-BEATSなど好きな方にはお薦めですよ!(古い!)
またシーケンサーの使い易さも大きなポイントです。鍵盤を模したステップにノート、オクターブ、アクセントにSlideなどをオリジナルより格段に素早く打ち込む事が出来ます。私のOSは少し古く(Sokkosではない)、アップデートを怠っているため出来ませんが、シャッフルにも対応しています。
MIDIアウトからSlide情報もちゃんと吐き出してくれるので、私の場合は一旦外部シーケンサーにシーケンスを流し込んだ後、外部でシャッフルを掛けてxoxboxを鳴らすというやり方を取っています。このやり方ならxoxbox以外でもコントロール情報が一致すれば別音源がかなりAciiidな鳴りになります。シーケンスデーターを戻した時に本体のシーケンスと遜色なく鳴るのもナイスなポイントです!余談ですがFutureretroのOrbの素晴らしいです。
さらにコントロール系の入出力で大きなアドバンテージがあります。Gate/CV/USB/MIDI/Din Syncと充実。このステップシーケンサーの優秀さを物語っています。
定番サウンドを自分だけの筐体にカスタム
唯一気になるのは筐体のライトな感じ。まぁオリジナルもプラスチック筐体なので同じと言えば同じなのですが。しかしDIYで作るのがこのxoxboxの醍醐味の1つ。金属性の筐体に入れたり、ツマミを大きくしたりなど様々な姿をネット上で目撃する事が出来ます。自分のオンリーワンなマシンを作り上げられるのもxoxboxがここまで人気がでた理由の1つでしょう。ちなみにMK3ではトップと背面にアルミニウムのシルバーパネルが採用されるそうです。うらやましい。
アシッドサウンドはとても奥が深く、全く同じサウンドでもフレーズの乗りによって80年代っぽいとかモダンな感じなど様々なバリエーションを創り出す事が出来ます。とくにシャッフルの具合で年代感を創り出す事ができますんで。再発見以来、ヴィンテージサウンドの域に達しながらも、いつの世も時代に合わせて姿を変えるのがAcidサウンドなのです!
最後に私の好きなアシッド作品をご紹介。Luke Vibertによる「I Love Acid」!オリジナルTB-303とTR-606による黄金コンビサウンド。このハリが堪らない!!
text by Acid渋谷
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