皆さん、こんにちは!今回は、私ギャラクシー卓志がマイクロフォン、中でもここ数年で着実に日本国内での知名度と実績を上げてきたブランドEarthworksに焦点をあて、その魅力を余すところなくご紹介します。
近年注目を集めているいわゆるハイレゾ音源は、やはり録りの段階から機材やセッティングに気を使い、原音そのままに収音することで、その真価を発揮します。マイクを適切に立てて収録したときのホールの臨場感、楽器の響きなどの再現力は、PCM 192kHzや96kHz、またはDSDが身近になった現代だからこそ味わえるものです。
周波数特性はもちろん、あらゆる面で原音に忠実なEarthworksのMicrophoneをご紹介しましょう。
ブランドヒストリー
まず始めにEarthworksのブランドの成り立ちをおさらいしていきましょう。創業は1995年米国で、VCAコンプレッサーの生みの親でdbxの創業社David Blackmerが設立しました。マイクロフォン、モニタースピーカーの開発に着手、他のプロオーディオ製品をは一線を画す次世代の製品を生み出すことを目標に掲げました。
当初はモニターの測定用としてマイクを開発していましたが、そのマイクの性能の良さが徐々に評価され、今ではマイクロフォンのブランドとして揺るぎない地位を築きました。現在、米国のニューハンプシャー州に本社を構え、品質と音質に徹底的にこだわり開発、生産しています。ユーザーに良質なプロダクトを届け続ける世界有数のブランドになっています。
Earthworks Microphone驚愕の性能
フラットに伸びた周波数特性
型番の二桁の数字は、その数値まで極めてフラットに周波数特性が伸びていることを表しています。マイクロフォン製品にはチャートが同梱され、20kHzまではどのモデルでもフラットな特性を持っています(という理由で、SR20などにはmp(マッチドペア)がありません)。これはマッチドペアを改めて作るまでもなく、品質管理が徹底されていることの裏返しです。
リニアなf特は、より自然でリアルなサウンドを実現し、ミックス時に埋もれにくいという特徴を持ちます。また昨今話題が沸騰しているハイレゾ音源の制作の現場でも非常に高い評価を得ています。サンプリングレート96kHz, 192kHzでこそ真価を発揮できる楽器用マイクロフォンブランドは、おそらくEarthworks、Sankenなど片手で数える程しか存在しないでしょう。
レスポンスが高速なダイアフラム
元々はM30などの測定用マイクから名を挙げたブランドです。先端が少し細くなっている筐体は、学術的な論文でもその有効性がレポートされています。その小さなダイアフラムによって、トランジェントを正確に収音し、色づけのない自然な音質を実現、ダイナミクスを忠実に表現することが可能です。三味線やハンドクラップなどアタックの非常に早いソースでも正確に音の立ち上がりを記録できるんですね。また音の立ち上がりと同時に、減衰も鋭く表現します。音の粒立ち、質感が極めてリアルに再現されるのはこのためです。
これと似た思想で、 音の出口としてはFujitsu TenのEclipseシリーズがあります。こちらも正確なインパルスレスポンスを持っており、音の粒立ちをこの上なく忠実に再現してくれます。Eclipse好きはEarthworks好きなのは間違いないでしょう。
ニア・パーフェクト・カーディオイド&ニア・パーフェクト・オムニ
Earthworksのマイクロフォンを語る上で欠くことのできない特徴が、極めて正確な指向性です。単一の場合は、 軸内のどのポジションでもほとんど音の変化がありませんし、無指向性の場合は高い周波数であってもポーラーパターンはほぼ正円を描きます。周波数が高ければ高いほど指向性が強くなるので、一般的なマイクでは正面とサービスエリアの両サイドでは音色に違いが出てきます。これはマルチマイクで収音したときに位相のズレを生じさせたり、また他のパートの音のかぶりにも濁りが出ます。
Earthworksは無指向性マイクは完全に「無指向」であるのと同時に、単一指向性でも非常にクリアな音が収音可能です。たとえば2本のペアマイクをピアノに立てた場合も、どこからが左のマイクでどこからが右のマイクが区別がつかない!とプレイヤーに言わしめる程です。
サウンドサンプル
実際にサウンドサンプルを聞いてみましょう。上から、まずはQTC40とQTC50の音質の違いです。こちらはEarthworks本国のサイトに掲載されているアコースティックギターの同一ソースによる比較です。可聴域外の性能の違いとはいえ、うっすらとその違いを耳で聞き取ることができます。
続いて、ギターの同じフレーズを無指向性のQTC40mpと、単一指向性のSR40mpで取ったファイルが並んでいます。こちらは指向性の違うマイクでステレオでレコーディングしたときの違いがよく分かります。単一の場合は音色ひとつひとつの粒立ち、無指向の場合はレコーディングした場所のルームアコースティックをそのまま反映していることが分かります。先に述べたように、2本以上のマルチマイクでEarthworksのマイクは本領を発揮します。
最後に人気のピアノマイクPM40T(PM40のツアー用折り畳みタイプ)と、QTC50mpの音色の比較です。こちらはアップライトにPM40Tを立てたので若干アタックの強い音になっていますので参考まで。QTC50mpは、アップライトの下部を足元から狙っています。
オススメラインナップ
永遠の定番QTCシリーズ
Earthworksと言えば、やはり無指向性マイク。もともと測定用のマイクの開発に端を発っしているので、たとえばQTCシリーズは同社を代表するモデルになります。とくにQTC1と呼ばれていた頃から愛好者の多いQTC40は、コストパフォーマンスと性能、まだユーザーからの評価という意味では看板製品と言えるでしょう。
この辺りの製品はやはりマッチドペア(mp)で揃えたいところです(サクラの木箱も素敵です)。アコースティックギターやピアノアンビエンスやドラムのオーバートップ、またホール収録のメインマイクなど、あらゆるシチュエーションでレコーディングに幅を持たせることでしょう。また耐圧性能も優れているので、エンジン音など大音量ソースでも大丈夫です。
ジュリアードのお墨付き!?
またマイルス・デイビス、ジョーダン・ルーデス、チック・コリアそしてスティーヴ・ライヒなど錚々たる音楽家が在籍していたジュリアード学院のチーフエンジニア、Marc L. Waithe氏もフェイバリットに上げるピアノマイクPM40(Marc L. Waithe氏は世界でも有数のEarthworksヘビーユーザーです)。こちらは、セッティングが非常に簡単で、グランドピアノに乗せるだけでOKです。先端の無指向性マイク部分はグースネックになっており、微調整するだけです。
PM40を実際に体験したピアニストによると、通常のマイクはどこからがLチャンネルで、どこからがRチャンネルが、その分かれ目が分かるはずが、このPM40はその境目が分からないくらいナチュラルなステレオ音像を作り出します。グランドピアノを置いている日本のレコーディングスタジオにも、ぜひPM40を備えておいてほしいと願うばかりです。
総括
よく言われるようにEarthworksのマイクはEQの必要がほとんどありません。私も実際にQTC40mpを使用していますが、これは本当にその通りなんですよね。とくにハイエンドの伸び方が特徴的で、EQをしないまま人に聞かせると逆に「何かEQしてますか?」と聞かれる程、音がヌケてきます。
いたずらにブーストすることなく、原音の成分をしっかりとキャプチャーしているので、あとでエフェクターでいじる必要がないのです。これは、レコーディング用のラインナップだけでなく、SR40Vのようなステージ用のマイクでも同じことが言えます。一度体験していただければその魅力に取り付かれますので、ぜひお試しください!
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