『染谷和孝氏presents!SHURE マイキングセミナーvol.3』レポート


本日 9月6日 16:30から開催された『染谷和孝氏presents!SHURE マイキングセミナーvol.3″ アイディアが勝負!フォーリーサウンド制作 “』の速報レポートを新人スタッフのアシッド渋谷がお届けいたします。フォーリーサウンドって何だろう?という方にもぜひ目を通してもらいたい興味深いセミナーでした。


今回はサウンドデザイナー/ミキシングエンジニアとしてファイナルファンタジーシリーズなどをはじめ、ゲームや映画で活躍されている染谷和孝 氏と、テレビ・ラジオCM製作で音響効果などを担当されている竹中次郎氏のお二人の実演(!)を交えたセミナーです。

さて、「フォーリーサウンド」とは映画の中の効果音のこと。中でも日本では「1.登場人物の動作音(足音、衣擦れ等)」と「2.その他の動く音(水中音等)」を指すことが多いようです。フォーリーという名称は最初にこれを始めたユニバーサルスタジオの効果音担当課長であったJack D Foley(1891-1967)氏の名前から由来しています。

アイディアを駆使して映像に臨場感を付加することが仕事の「フォーリーアーティスト」が生み出した効果音を録音技師が録音します。この作業はフォーリーアーティストを含めても3〜4人くらいの少人数で行われます。

フォーリーサウンドはとにかく映像に説得力を持たせる事が重要です。俳優の着用した靴、身に付けたアクセサリー、着ていた洋服など、それぞれから発生する音も千差万別!染谷氏はそれらのアイテムを写真に収め、音と共に管理しているそうです。

人が歩く時、様々な音が発生します。その人物が革のコートとブーツを身に付けていれば、それらの音を別トラックで録音しておき、バランスを変える事でその人物のキャラクターを表現します。足音だけ大きくすればより尊大な人物像に、また衣擦れを強調すれば少し焦った感じなど。フォーリーサウンド奥が深い!他にも、大迫力の火災音はコンビニ袋から。大砲の発射音はなんとハンカチから作れるとの事です。

映画のフォーリーサウンド作成には主にガンマイクとピンマイクを使用。それは実際の映画撮影で多用されるマイクに近い性質のものを使う事で、音に共通点を持たせるためです。一方、アニメーションやCGのフォーリーでは音質とS/Nを重視し、コンデンサーマイクをよく使うとの事。違いが面白いですね。

セミナーの後半からは登場人物達が刀で闘うアニメに合わせて染谷氏が身近な道具で音を付けます。何と抜刀の「シャキーン」というサウンドは、100円ショップで購入したという二本のスコップを擦り合わせる音で表現!!DIYな現場作業に思わずワクワクしてしまいます。

主な使用機材
SHURE
VP89(ショットガン・マイクロホン)
KSM32(スタジオ/ライブ 楽器用マイクロホン)
MX183(ラベリア・マイクロホン)

フォーリーサウンド作成ではAvid Pro Toosが使われています。音の加工にはセリフやシーンの設定に合わせてEQやコンプレッサーを多用します。足音や衣擦れ、はたまた刀が触れ合う音など人が出す音はアタック成分が強い為、S/Nが良くて自然に聴こえ、またすぐに歪まないタフさを持った機材をチョイスするそうです。

目の前で披露されるフォーリーサウンド制作に会場は俄然盛り上がります。主人公が戦場を駆け抜ける映像に合わせ、染谷氏が持参の石板と藁の上でステップ。刀を振り回す音は、短い釣り竿をスウィングしてシャープに表現。


豊富なアイディアと身近な素材そしてひらめきを元に、Pro Toolsと簡単なiZotope RX2(レストアソフト)のみを目にも止まらぬ早さで編集し、私達の目の前で染谷 氏は映像に見事な臨場感を生みだしていました。

物語の中に完全に溶け込み影に徹しながら作品の驚きや感動を生み出すフォーリーサウンド。それを生み出す染谷 氏の職人技とアーティスト魂に映像からだけでは決して分からない音作りの神髄を垣間見る事が出来ました!

また映画、TV、アニメなどのメディアの違いによるマイクの使い分けやPro ToolsとRX2の直感的な使用方法など音楽制作とは違うツールの操り方に「必要なものはアイディアとマイクだけ!」というメッセージを受けた気がします。
最後に。PTを使いながら「本物の刀買うより安い」と説明する染谷氏はユーモア溢れる素敵な方でした!

以上、現場からアシッド渋谷がお送り致しました!

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