1月末に開催されたNAMM Show 2013での電撃発表から約2ヶ月半。発売間近のKORG MS-20 miniがRock oNにやってきました!スタッフのIH富田が誰よりも早くハンズオンレポートいたします!(IH富田)
MS-20 miniは、19787年にKORGから発売されたモノフォニックアナログシンセサイザー「MS-20」の現代版!当時の仕様をそのままにミニ鍵盤サイズにスケールダウン。さらに当時はあり得なかったUSB MIDIアウトを搭載しています。
先日の公開で大好評をいただいたMS-20 開発者インタビューでもお伝えした通り、内部パーツはそのほとんどが当時のモデルに使われたパーツで、さらに当時の設計者が自らの耳でチューニングを施したというKORG渾身のMS-20 mini。この度KORGさんのご好意でほんの数日間だけお借りすることができました。
では興奮で高鳴る胸をなんとかクールダウンさせながら静かに開封してみます…。
まずは開封してみてびっくり!噂通りマニュアルには元祖MS-20の原版が使われています!
これは当時のファンにはたまらない仕様ですね。初めて見る方もその昭和な雰囲気に新鮮なものを感じるのではないでしょうか。
そして本体はこちら!問答無用で結線して音を出したい!…のですが、そこはプリセットのないアナログシンセ。まずはツマミの位置を調整し、ベーシックな矩形波の音が鳴るようにします。
これまでソフトシンセしか触ったことの無い方はここで少し戸惑うかもしれませんが、一旦慣れてしまうと目をつぶっててもできるのでどうぞご心配なく。マニュアルにも音を出すためのセッティング図解が載っているのでそれを見ながらお勉強をしましょう。
さてこのMS-20 mini、音声を出力する場所は正面にあるパッチング部分の一番右上「SIGNAL OUT」と書かれたところです。
ここは周りのパッチングジャックと同じく端子形状がmini TSとなっています。そこでmini TSケーブルを用意したとしても、ミキサーやオーディオI/F側で一般的なTSフォンジャックに変換する事になりますよね。それは煩わしいし、変換によってMS-20 miniのサウンドを劣化させるのはもったいない!
だからRock oNではオリジナルのMS-20 mini用ケーブルをカスタムメイドしました!ジャックはノイトリックとカナレ、ケーブルはMOGAMI 2549を使用!長さは3mでライブシーンにも対応します!そしてなんと期間限定でMS-20 miniをご購入の方に限り無償でプレゼント!これはRock oNだけの特典ですので、ぜひご注目くださいね!
MS-20 miniは2VCOなので片方のピッチを少しずらしたデチューン効果が出せますが、ソフトシンセのような128段階では表現できない微妙なズレを耳で聴きながら作ることができます。この「微妙」というのが本当に良い意味あいまいで、アナログシンセならではの「ちょうどイイ!」音を作ることを可能にします。
オシレーターの次はフィルターもチェック。ここは特にアナログシンセの真骨頂。フィルターのデキでシンセの価値が変わると言われるほど重要なポイントです。
Moogほど太すぎず、中域に独特の粘りがあるローパスフィルターはとても個性的で気持ち良い!ハイパスフィルターは効きが自然で嫌みがありません(意外でした)。元祖MS-20が世界中で今もラブコールを受けている理由がここにあるんですね。
ただMS-20 miniのフィルターを使う時はレゾナンスの値に要注意!演奏中につい上げすぎてスピーカーを吹っ飛ばす寸前まで行ってしまいました。アナログシンセは生楽器。ダイナミクスも鳴っている周波数帯域もデジタル楽器とは比べ物にならないほど広大です。
この他フィルターも、エンベロープジェネレーターも、LFOも、あらゆるパラメーターが128段階では表現できない動きをし、サウンドを奏でてくれます。
そして悩んだ挙げ句、一から勉強することにしました。(How to的なものを期待していた方、ごめんなさい!)
そこで必要となるのがこのセッティング チャートと呼ばれる図。このパラメーター通りMS-20 miniのツマミをセットしケーブルをパッチすると、その音になるというアナログなプリセット表です。ここに載っている様々音を実際に試しながらパッチングの仕組みと使いどころをおぼえていきました。
たとえば多くの方から問い合わせが寄せられるこのスイッチ。これはこのままでは特に機能が無く、押しても何の反応もありません。実はこれはパッチングジャックとつながっていて、ケーブルで任意の場所に繋ぐことによって初めて動作するんです。
例えばスイッチを押したらLFOがかかるとか、フィルターがかかるとか。この図にあるエレキベースのセッティングではこのボタンを押すことで全音分のピッチが上がり、ハンマリングオンとして機能しました。よくできてますねー。押した時だけ音が鳴らないキルスイッチとして使っても面白いかもしれませんね。お遊びで、押したらホワイトノイズの爆発音が鳴る自爆スイッチとか。あなたならどう使います?
このスイッチの上にあるホイールもやはりこのままでは何にも使えません。パッチングして初めてピッチやモジュレートホイールとして使えます。
この「丁寧に理解して使う」という行為はまさしく楽器を扱うことそのものです。だから一度理解しておぼえてしまうと自分のもう一本の腕のように思いのままにサウンドメイクを楽しむことができます。一つでも生楽器を演奏できる方ならこの感覚は分かっていただけると思います。
あっと言う間に時間が過ぎ、試奏を終えなければいけない時間がやってきました。
MS-20 miniには生楽器としての手応えを感じました。モデリングでは到達できない曖昧さや有機的な動き、そして感覚的で立体的な音像の美しさ。
そのまま使っても十分魅力的ですし、パッチングをして音作りの深みに入っていくことも可能です。もちろんそこに他のシンセサイザーやコントローラーを繋げばMS−20 miniの可能性は無限に広がります。
この記事を作成現在、NABとMusikmessen 2013ショーレポートからは新しい時代を切り開くアナログシンセの新製品情報が多数届いています。
一世を風靡したもののデジタルシンセやPCMシンセにおされ、そして最近ではプラグインに圧倒されほぼ姿を見せなくなったアナログシンセが今、時代のニーズに答える形でパワーアップして登場してきています。
当時の仕様のまま復刻したMS-20 miniはそこにさらに刺激を加える存在となることでしょう。ぜひあなたもMS-20 miniに触れ、見て聴いて、この魅力を体感してください。
詳しいスペック&ご注文はこちら!
(生産ラインの都合上、残念ながら初回台数は少ないものと予想されています。次回入荷をお待ちいただいているお客様には大変申し訳ございません。)
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