こんにちは、秘密のモリさんと申します。今回のRock oN Staff BlogはVOCALOIDについて書かせていただきます。
初音ミクがブレイクして以来、加速度的にその名を広め、今ではテレビCMやオリコンチャートでもその名前を目にするようになった「VOCALOID」。
2004年に初のVOCALOIDソフトウェアが発売されてから、その技術は進化し続け、2014年12月現在では第4世代となる「VOCALOID 4」シリーズが発売開始されています。
初音ミクたちの歌声を紡ぎ出すこの「VOCALOID」の技術。その始まりはどのようなものだったのか、そしてどのような進化や変化を遂げてきたのか。
その歴史を振り返るとともに、実際にVOCALOIDを使う際のポイントなどをご紹介いたします!
人間に近い声を目指して。歌声合成技術開発。
サンプリングベースの音源やソフト音源が出現し始めた2000年。様々な楽器がソフト音源化する中、「じゃあ次は歌声だ」との考えから、出来るだけ人間に近い声を目指し歌声合成技術の開発が始まります。
そこから生まれたのが初代「VOCALOID」、2004年にZero-G社から販売された「LEON」「LOLA」です。
当時、話し声の音声に関してはすでに何十年も研究されていましたが、歌声に関しての研究は少なかったといいます。
話し声の合成には「テキスト音声合成」という方式がありましたが、これを「歌」に使用するには声と声の繋がりの点で難があり、波形の断片同士を繋げ音声を滑らかにする処理の開発に試行錯誤が繰り返されました。
また、初代「VOCALOID 1」の時点では掠れた音声、いわゆる「ハスキー」な声の合成が難しく、この表現を可能にする合成方式も研究されていきました。この改良が「VOCALOID 1」から「VOCALOID 1.1」、そして大ヒットとなる初音ミクのエンジン「VOCALOID 2」へと繋がっていきます。
1から2へのアップグレードでパッケージもスリムになりました。初代のパッケージはデカかったです。
増えていく機能。進化していく表現力。
合成技術およびエンジンが進化していく中で、実はエディター画面やエディットの機能も少しずつ変化しています。
VOCALOIDユーザーの多くは「VOCALOID 2」あるいは「VOCALOID 3」のエディターが一番なじみ深いかと思われますが、初代の「VOCALOID 1」のエディターは、画面レイアウトが現在と多少異なっており、初代独特の機能もありました。
(ノートのアクセントやビブラートをクリック&ドラッグで付加できるアイコンパレットや、EQのような機能をもつレゾナンスなど……)
また、VELOCITYの役割も初代はどちらかといえばノートのアタックの強さに作用するものでしたが、子音成分の合成の進歩に伴ってか「VOCALOID 2」以降では子音の長さに作用する機能へと変化しています。
初代からのユーザーの中には、VOCALOIDが進化していく中でかつての機能を懐古している方もおられるかもしれませんね(笑)
最新の「VOCALOID 4」ではガナリ声を表現する「Growl」や、シンガー内の二つのライブラリをクロスオーバーできる「Cross-Synthesis」など、これまでになかった大きな機能の追加があります。
こうして過去を振り返ると、その技術と表現力の進化をしみじみ感じずにはいられません。
VOCALOID新製品発表会レポート!「VOCALOID4 Editor」「巡音ルカV4X」など驚きの新製品・新機能を続々公開!
いざ、VOCALOIDを調整!
このように進化を続けてきたVOCALOIDですが、いざVOCALOIDを始めようとするとまずどこからどのように調整したら良いのかわからない、各機能の使い道がわからない、いまいち思ったようにいかない……という方も多いのではないでしょうか。
好みの声は十人十色、調整方法も千差万別かもしれませんが、私が普段VOCALOIDを使用する際に必ず行う調整方法を、インターネット社のGUMIことMegpoidを使用していくつかご紹介します!
まずはポルタメントタイミング!声の繋がりをスッキリ調整!
初期状態のVOCALOIDの歌声は、合成技術の賜物により声同士がよく繋がり滑らかな歌声となっています。
が、そのために大きく音程が変化するポイントなどで声が繋がりすぎ、音程が不明瞭になったり、のっぺりとした声に聴こえることがあります。これを「ポルタメントタイミング」のパロメータを下げることにより改善します。
先ほどのベタ打ちより音から音への移り変わりがはっきりし、やや歯切れ良くなった思います。アップテンポでやや早口な曲にはポルタメントタイミングをより小さめに、ゆったりとしたバラードなどには気持ち大きめにすると具合がよくなると思います。
子音の調整で音の輪郭をはっきり!
ノートのベロシティを下げることでその音の子音部分が長くなり、発音がはっきりします。
マ行、ナ行では音の始めに「n」が追加されたような表現になります。また、カ行やサ行、タ行など強めの子音を含む音では、前の音との繋がりを断ち切る効果も得られるので、「ふっても」など小さい「つ」の表現にはこの方法が便利です。
「こんこ」「ふっても」などの言葉の子音が追加され、発音に少しパワーが加わったのがわかるでしょうか。
また、「ゆき」「あられ」といった、ヤ行や母音のノートで始まる言葉にはこの方法が効きにくいため、頭にごく短い「i」や「n」のノートをあえて追加することで同じような効果を付加することができます。
そして、ノートの長さもこの段階でざっと整えます。ほんの少しの差で歌い方が大きく変わることがあるので、クオンタイズとレンジを1/64に設定し微調整しましょう。
「しゃくり」を少し大げさに!
人間の自然な歌声には、音程を低いところから持ち上げる「しゃくり」の表現がたびたび入ります。
上記の調整でも多少その表現が付加されていますが、オケとミックスする過程でリバーヴ等のエフェクトをかけるうち、細かな表現は埋もれてよくわからなくなってしまうことがあります。
そのため、歌い出しなど特に表現をはっきりさせたい部分には少し大げさに感じるくらいに「しゃくり」を入れます。
ノートを二つに分割し、最初のノートの音程をわざと大きく下げることで強めに「しゃくり」の表現を加えました。この方法のほかにも、ノートにアクセントを加えたり、Pitchのパロメータを調整することでも同じようなしゃくり表現を追加するができます。
また、ノートを分割する場合、後のノートを母音にするか「ー」にするかで実は結構違いがあります。両方試してみて、良いと思う方を入力しましょう。
まとめ
いかがでしょう?
もちろん調整はこれだけではなく、VOCALOIDにはまだまだたくさんのエディット方法があります。ライブラリによって声のクセが違うため、使用感は多少変わると思われますが、ベタ打ちにこの3点を加えるだけでもかなり歌声が生き生きとしてきます。
最初から細かな表現を追求するより、まずはざっくりと基本的な部分を整えてから、こだわりや好みのニュアンスを追加していくと、途中で調整疲れを起こすことなくバランスのとれた完成にもっていけるように思います。
また、2014年12月現在最新のエンジンは「VOCALOID 4」となりますが、VOCALOID 3、2、および1の一部の製品も現行となります。(製品によって動作条件、対応OSが異なります)
最新のものだけでなく、エンジンにこだわらずお好みの声質のライブラリを選ぶことでより楽しくVOCALOIDを歌わせることができると思います。
VOCALOIDを始めたばかりの方だけでなく、調整していたけれど少し行き詰まってしまった方の原点回帰にも、参考にしていただければ嬉しいです!
「STAR WARS フォースの覚醒」はどのように作られたのか
今年のRock on AWARD2016は掲載されていない製品にもどんどんとうひょうできます![...]
クロスフェード…それはCreatorとProductの化学反応[...]
RME Babyface Pro発売を記念し、創業者マティアス・カーステンズ氏インタビュー[...]
『シンセサイザーの楽しみ』ともう一度向き合おう。情熱とこだわりがシンセの歴史を変えて行く!キーマンのお二人に直接インタビューをすることができました。[...]
mirziamov.ru MiMグローバルインタビューでは、先進的かつ野心的にサウンドの未来を探る人物、企業へインタビューを行いその発想の泉を探ります。USA Bostonを本拠地にし、飛躍的なテクノロジーでサプライズを […]
2015年10月17日(土) Rock oN Umedaにて行われました、『今解き明かすマイクロフォン導入メソッド』 ~ノイマンU47FET等々リッチなサウンドとともに、マイク選びとマイキング導入編!~様々なブランドのマ […]
プロのクリエイター達と最新製品が化学変化を起こす CREATOR × PRODUCT を大好評公開中。ここではそのスピンオフとしてRock oNスタッフによる製品レビューをお届け!動画や文章を使い、独自の目線で製品に迫り […]
10月6日、ヤマハ銀座店にてヤマハ新製品発表会が催されました。多くの新製品が実演と共に紹介されましたが、中でも最も注目を集めていたのはLine 6のフラグシップ・ギタープロセッサー「HELIX」!発表会ではLine 6の […]
9月3日から一週間ほどアニメ「うしおととら」の録音〜ミックス〜マスタリングのために東京に戻りました。あいにくその1週間、一度も晴れる事がなく久しぶりの雨続きの日々と台風を経験しました。台風18号により被災された皆様には心 […]
目覚ましい発展を遂げるレコーディング機材にフォーカスし最新の技術に触れることができるFuture Site。より発展した次世代のレコーディングワークフローを展望! 1960年代からマルチマイク・オーバーダビングを多用した […]
Line 6製品を集約した「Line 6 EXPERIENCE」コーナーがリニューアル!Line 6のコンセプトである、ユーザーのアイデアを元に最良のプロダクトを提供し続けるLine 6製品を、直感的なPlug& […]
Steingberg NUENDO7 & OM Factory & Audiokinetic株式会社 & Rock oN companyによる4社のコラボがスタート!先日行われたNUENDO7の発 […]
理想のサウンドを実現するには正確なモニタリング環境が不可欠。スタジオ規模で最高のパフォーマンスを発揮するラージモニターから、自宅でも高解像度のモニタリングを可能にするニアフィールドモニタースピーカーを徹底的に比較し、自分 […]
Rock oN 渋谷店にまた名物コーナーが加わりました!リファレンススタジオ横の防音ルームに設けられたハイエンドマイクの試聴コーナーは、誰にも気を使うことなくじっくり好みのマイクを選び出せるこだわりの広い空間。 Mac […]
Novationは今こそ各種DAWのコントローラーをリースしている会社の印象が強いように思えますが、時代を彩ってきた名機を多数輩出したシンセメーカー!TB-303やTR-808/909をシミュエートしたBass Stat […]
関連コンテンツ Manley Labs全製品が12月24日まで限定10%OFF!さらにDUAL MONO MICPREが奇跡のラスト入荷を果たします!
関連コンテンツ Manley Labs全製品が12月24日まで限定10%OFF!さらにDUAL MONO MICPREが奇跡のラスト入荷を果たします!
アナログファン垂涎の超絶アナログサウンド!ELEKTRONのスタッフが完全にライブ使用を目的に開発しただけあって操作系にも最高の手応え持つanalog RYTMの魅力に迫ります! 関連情報 Elektron Overbr […]
一本は持っていたい民族楽器音源。特に、和琴・箏の音源は現代ではジャンル関わらず幅広く使われています。ただ今までその奏法一つ一つを「こと」細かく収録されているということはあまりなかったのではないでしょうか。奏法の種類が特に […]
最新で最高の音楽制作イクイップメントを音響処理されたリアル空間で存分に体験。時間を忘れる快適な空間でクリエイティブマウンドを刺激してください!
先日8月21日、Rock oN Umedaにて STEINBERG×NATIVE INSTRUMENTS タッグセミナーが開催されました。ポピュラーDAWソフト「Cubase PRO 8」とワールド・スタンダード「KOM […]
Reference Studioを含むRock oN Umedaの天井に仕込まれたPHILIPSのhueは、明るいLED照明と直感的なテクノロジーを融合した電球です。 元気になる青系統の白からやさしい黄色系統の白まで同じ […]
1月15日にグランドオープンを迎えたRock oN Umeda。当日は本当にたくさんのお客様と関係各位にお越し頂きました。 Rock oN Umeda 店内には様々なファンクションを持たせたコーナーがあります。グランドオ […]
やってまいりました、Rock oN Umedaブログです。どんどん仕上がって参りました! 什器と商品をどんどん搬入中。今はこんな感じです。 散らかっております…。 什器に機材を設置していきます。自宅といい勝負。…ってか、 […]
劇伴作曲家 井内啓二さんインタビュー公開。話題の「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」を担当された井内啓二さんの音楽人生に迫りました!
People of Sound最年少、23歳ということもあり、彼の世代ならではの音楽観について大変興味があり、神戸のご自宅スタジオにお邪魔してお話を伺ってきました。
【前半】に続き、田辺さんと約20年ぶりに共同作業を行ったというCharaさんが登場。再び共同作業を行った時の模様、そしてCharaさんの活動の現在についてお話をお伺いしました。
第31回目は作編曲家の田辺恵二さんです。AKB48を始め、J-POPシーンで数々の作品の作編曲プロデュースとしてご活躍中です。今回のレポートは【前半/後半】に分けてお届け。この【前半】では田辺さんのご自宅スタジオに...
第30回目は高野寛さんです。デビュー25周年のアニバーサリー期間に入られるということで、グッドタイミングにお話をお伺いしました。高野さんが歩んで来た25年、そしてこれからへの展望を含め、ミュージシャンとして...
第29回目は、BOφWY、GLAY、JUDY AND MARYといったビッグアーティストの音楽プロデューサーとして活躍され、日本の音楽シーンに大きな足跡を残されてきた佐久間正英さん。都内にあるスタジオにお邪魔して、...
AES2015 at New York 特設サイトオープン!音楽溢れるニューヨークから発信されるパワフルなニュースをお届けします! 2016年を騒がすことになる製品が登場するか!?
新たなスタイルへの移行提案が、より具体性を帯び、ラスベガス/フランクフルトから飛び出すことを期待!
「2015年新世界。ネットワーク&クラウドでソーシャルに繋がるサウンド!」がキーワード。 Rock oNスタッフが、そのパッションをユニークな切り口でリアルタイムに発信します!
AESの興奮冷めやらぬ中、幕張メッセにて19日より開催のInterBEE会場の興奮を2日にわたり現地レポート!コアブランドの新製品はもちろん、本国スタッフが多数来場されている事もありインタビューなどもお届け!!
第137回AES(Audio Engineering Society)CONVENTION、本格化するAoIPプロダクト導入、高品位試聴環境への回答、パーソナルコンソールのあり方などなど、サウンドと音楽における技術革新の祭典が今始まる!
音と映像機器のアクティブな最新動向ならここで! 音楽クリエータを刺激する新製品登場にも期待が高まる、秋の1大エンターテイメントを現地レポート!
世界最大規模の映像・音響機器の祭典NAB 2014が今年も開催!4K、ファイルベースワークフローというキーワードが世界中を駆け巡り、放送・業務機器に大きな変革が訪れている今。業界のニーズに対応すべく続々と登場する次世代ソリューションの息吹を、Rock oNが NAB 2014 会場から余さずレポート!!
NAMM 2014 を湧かせた新製品に、欧州ブランドがCutting Edgeなプロダクトで華を添えるエキサイティングイベントMusikmesse 2014 が遂に開幕! 情熱的なプロダクトや未来を切り開くブランドキーパーソンへのインタビューなど、興奮の坩堝にRock oNが深く切り込みます!
SNSとの連携を強化し、新製品で盛り上がるメーカーブースの息づかいとその舞台裏まで徹底レポート!2003年以来11年ぶりのNAMM参加となるROCK ON PRO岡田とNAMM SHOW初参戦のROCK ON PRO赤尾のOld/Newコンビでレポートします。乞ご期待!!