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昨今パソコンの高性能化が進み、作品の内容によってはノートPCでも十分な制作環境が整ってきています。それにより制作システムの省スペース化やモバイル化が注目を浴びるようになり、省スペースの極みとも言えるミニ鍵盤を採用したMIDI鍵盤が各社から勢力的にリリースされています。
しかし、ミニ鍵盤というと簡易的な入力装置もしくはフルサイズ鍵盤の代用、という位置づけで捉えられているものも多く、「鍵盤というよりもスイッチに近い」「グニャグニャと不安定なタッチ」で思うようなデータ入力がしにくいものが多いのも事実です。
多くのミニ鍵盤ユーザーが持っているそれらの不満を解消する製品はないものか?ベストなミニ鍵盤は?そうして見つけたのが、今回私たちRock oN eStore編集部がハンズオンレビューするKORG microKEYシリーズです。実際に楽曲制作をしながら、スペックだけでは語れない本当の使い心地と利便性に迫ります!
microKEYは25鍵、37鍵、61鍵の3機種をラインナップ。鍵盤数だけでなく、それぞれ仕様とバンドルソフトがわずかに違います。
microKEY25
シリーズの中で唯一、ジョイスティックの装備とiPadへの直結を可能にしたモデル。少ない鍵盤数ならではコンパクトさが魅力で、リズムや波形編集が主体のダンスミュージックなどに最適。
microKEY37
他社製品が32鍵や49鍵をラインナップする中、演奏性とコンパクトさのバランスを取り、3オクターブ分という絶妙な鍵盤数が設定されました。microKEYのメインとなるモデルで、あらゆる用途にバランスよく使えます。
microKEY61
5オクターブにも及ぶ最長モデル。両手を使ったピアノの打ち込みや、サンプラーに配置された膨大なドラム/SE音源をトリガーすることを可能にした、まさにプロフェッショナルのためのミニ鍵盤といえます。
※バンドルソフトについては、下記「珠玉のプラグインの数々をバンドル」内の表をごらんください
この他、microKORG誕生10周年を記念して、microKEY25と37の限定プレミアムカラーモデルが発売されることがKORGから発表されています。「フル・ブラック」モデルと「ブラック×レッド」モデル、どちらもレギュラーモデルとはガラリと雰囲気が違っていて、精悍でかっこいいですね。発売は11月上旬を予定しています。
「Happy Birthday,microKORG!プレミアム・カラー・モデル」の詳細はこちら!>
● タッチにこだわったナチュラル・タッチ・ミニ・キーボード
microKEYを使ってみてまず驚くのが鍵盤タッチの良さ。いわゆるミニ鍵盤にありがちな不安定さはなく、ストローク長も十分確保されていて、これまでのグニャグニャ、ペコペコとした鍵盤では不可能だった128段階のヴェロシティの表現が十分可能です。実際にMIDIデータを見ながら打鍵しましたが、ちゃんと強弱に追従してくれています!
具体的には、使われているパーツや機構が同じ「microKORG XL」とほぼ同じタッチ感と考えていただくとイメージしやすいかもしれません。
また鍵盤のベロシティカーブは8種類+固定の中から選べるので、プレイスタイルに合った表現が可能です(※設定は専用ソフト「KORG KONTROL Editor」で行います)。私の場合はデフォルトで使っています。
フルスケールの高級鍵盤にはかないませんが、microKEYはこれまであまり意識されることのなかったミニ鍵盤のタッチにこだわり、「弾けるミニ鍵盤」として完成しています。もしかするとキーボードにあまり慣れていないユーザーならば、指を大きく開かなくて済む分、データ入力でもライブ演奏でもmicroKEYの方が使いやすいかもしれませんね。
microKEYは、ソフト音源のライセンスを数多くバンドルしています。そのバリューなんと最大10万円以上!DAW内で使ったりスタンドアローンで使ったり。ビギナーからプロフェッショナルまで価値あるラインナップです。中でも注目すべきは MS-20、Polysix、Mono/Poly、M1、WAVESTATIONなど往年のKORGシンセのソフトウェア版と、マルチエフェクトMDE-Xが一つになった「KORG Legacy Collection スペシャル・バンドル」でしょう。アナログ/デジタル/PCMの各音源方式のシンセサイザーのソフト版が一度に手に入ってしまうなんて驚きです!
KORG Legacy Collection スペシャル・バンドルは(残念ながら)61鍵モデルにのみ付属となりますが、25/37鍵モデルにはM1のサウンドをソフトウェアで楽しめる「M1 Le」が付属します。(¥9,975でKORG Legacy Collection スペシャル・バンドルにアップグレードもできます)
バンドル・ソフトウェア内容(2012年6月現在)
今回は音源として「KORG Legacy Collection スペシャル・バンドル」だけを使ってエレクトロハウス作りに挑戦します!データ入力はもちろんmicroKEY。中でも唯一ジョイスティックを搭載した最小の25鍵モデルを使用します!その理由も後ほどご紹介しましょう!
太く暖かい質感ながらもキレのあるMS-20や、モジュレーションを駆使した有機的なサウンドが魅力のMonoPolyがとにかく良い!ソフトシンセならではの利点として、これらはプリセットが用意されているのですが、アナログシンセらしさを残しながら今の音楽シーンにマッチしたものが多数収録されていて、とても使い勝手が良いです。「Legacy Collection」という製品名ではありますが、全く古臭さを感じさせません!このプリセットの充実ぶりを活かしたかったので、今回の音作りは基本的に、プリセットを呼び出してそれを加工する方法をとりました。
M1のドラムも良いですね。みなさんが一度は聴いたことのある、80年代を象徴するパーカッシブでエフェクティブなあの音色が自分のMacから鳴っている事に嬉しくなってしまいました。今聴くと新鮮に思えますね。(とはいえ、M1だけで現代的なドラムサウンドは出せなかったので、キックとハットだけは別途用意しました。)
そして一つだけ要望を。どの音源もよくできているのですが、GUIのサイズが小さすぎるように思えます。特にツマミがギュっとつまっているMS-20は各パラメーターの文字が少し見づらいですね。マウスオーバーすると対応するパラメーターが表示されるものの、作業の効率からいうと、拡大とかできると100点だと思います。
また、今回25鍵モデルを選んだのは、シリーズ中唯一これに搭載されているジョイスティックを使いたかったという理由があります。
このジョイスティックにシンセのフィルターとレゾナンスをアサインして、スティック1本でMS-20のフィルターカットオフとレゾナンスを同時にコントロールしたかったんです。シンセサイザーが主役を担う楽曲では直感的に、そして有機的な動きのフィルタープレイが命です。個人的にはこのジョイスティックの使いやすさは非常に有効でした。
今回のように、ビートやループが主になるエレクトロでは多くの鍵盤を必要としないので、25鍵はちょうど良い選択だったと思います。miniKEYのミニ鍵盤は打鍵のレスポンスが良く、フルスケール鍵盤よりもストロークが短いため、ドラムの打ち込みに適しているという利点も発見できました。microKEY25は、DJやトラックメーカーにぜひお勧めしたいコントローラーです!
また、25鍵モデルはCamera Connection Kitを介することによってApple iPadに接続できてしまいます!
実戦でも使える本格的な音楽系iAppが登場している今、iPadのみでライブに挑むプレーヤーも増えてきているのはみなさんご存知でしょう。
今回はAKAI Synth Stationを弾いてみました!ピッチとモジュレーションを1本のスティックでコントロールできる「ジョイスティック」とヴェロシティ付きの鍵盤は、これまでタッチパネルを叩くといった感が強かったiPadの演奏を、「弾く」という演奏本来の気持ちよさに帰してくれます。今回のような生演奏はもちろん、Apple GarageBandのようなシーケンサーソフトの打ち込みの際にも、microKEY25の鍵盤は有効でしょう。
今回はダンスミュージックの制作で、25鍵モデルを中心としたハンズオンレポートとなりましたが、限界までタッチにこだわったミニ鍵盤を装備し、KORGの「音の財産」が詰まった豊富な音源までバンドルしていることから、KORG microKEYは、ジャンルや使用目的を問わず幅広く使える製品だと言えます。
新規でMIDI鍵盤の導入を考えている方にはもちろん、「システムのコンパクト化を図りたい」「今使っているミニ鍵盤は演奏しづらい」などの不満を抱えているユーザーにもぜひ試していただきたいですね。
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