Rock oN Company ショー・レポート!AES 2012

AURAL SONIC

物理学の常識をくつがえす脅威の調音・遮音・吸音材AURAL SONIC


衝撃的な効果を持って突如現れたAURAL SONIC。いま、プロ音響の現場からも高い注目を集めています。

AURAL SONICは従来の吸音材の半分以下の厚みで同等の吸音効果を発揮します!しかも、それだけではなく調音。遮音までもを可能としています。それらが全帯域に対して効果を得られることも大きなメリットです。一般的に低域を吸音しようと考えると分厚い吸音材は必須ですが、このAURAL SONICは自身の内部で、入力波を横方向(部材の内部)に閉じ込め減衰をさせるということを可能としています。

カタログの表記をそのまま記載するとすれば、吸音性能は1インチのAural SONICで12インチ厚の吸音材に匹敵。しかも通常設けられる空気層は必要ありません。

この内部に閉じ込める、音の反射方向を横方向へスライドさせることで、実際の物理的な壁の位置よりも奥に仮想的なデフューズされた壁面を存在させることが可能なのです。これにより調音効果までも得ることが可能。

出典:InterBEE2011

それにより今までは建築音響でしか解決を図ることの難しかった定在波に関しても改善効果を得ることが可能となっています。

下記のグラフにもあるように低次倍音はある程度のこりますが、②にある様な高次倍音に関しては、高い効果を発揮。

また、全域において-20dBの吸音効果を得られているのがお分かりと思います。

出典:InterBEE2011

更にAURAL SONICは内部に音を閉じ込めるため、反射音に若干の遅延を生じます。もちろんコンサートホールの様なわけには行きませんが、無数にランダムにタイムシフトされたそのサウンドは従来の問題を解決する大きな手がかりとなるはずです。

部屋のサイズを変えることなく、空間容積を大きく見せることの出来る、こんな調音・吸音・遮音材は今までありませんでした。

空間容積による制約、定在波の発生、行き過ぎた遮音による居心地の悪い空間。日本国内の住宅事情からくる物理的な制約 / 問題を一気に解決することで出来る可能性を秘めた、優れたプロダクトに、アメリカでも絶賛を持って導入が始まっています。

最近の事例では、2012アカデミー授賞式のオーケストラピットに採用されたりと、その効果を知り実運用が始まっています。巨大なグラスウールではなく、1枚のパネルで、驚異的な効果を発揮できるので、汎用性、設置性、施工といった面でも大きなメリットが、今後の展開が非常に楽しみです!

また、その高い効果はすでに国内外のエンジニアにも絶賛を持って受け入れられています。国内では、サイデラマスタリングのオノセイゲン氏、アメリカ国内でもエンドースにPeter Erskine,、Jim Andersonといった名前が挙ります。ホームスタジオの音響改善から、録音ブース等、幅広い応用の可能な非常にクオリティーの高い製品です。

このAES会場でもブース展開されており、なかでも「Mobile telephone boothと銘打たれた展示は見た目にもインパクトを与えていましたが、本当のインパクトはその中に入った体験です。

オーディオ機器ということもあり、かなりの喧噪に包まれる会場ですがこのブースに中に入るとしっかりとした音場のセパレートがなされます。オーディオの分野だけではなくマテリアルとして医療、学校など公共の場でも更に活躍の場は拡がりそうです。

さらに、今回は別途用意されたホテルの一室で、より環境を整えたオノセイゲン氏のデモンストレーションを体験できました!

某ホテル28階の一室に入ると、通常の部屋に試聴環境が整えられており、AURAL SONICはその環境にまさに置いただけだけの形でセッティングされていたのですが、実際音源が出力された途端、ホテルの一室がミキシングルームのようなタイトな空間に!さらに、音源を流しながら一つ一つAURAL SONICを外していくと、次々に音が拡散し始めて聞いていた音源がどんどんぼやけていってしまいます。

いかに普段のリスニング環境がいい加減なものであったか、本来リスナーに届くべきクオリティが反故にされていたか反省しきりです。

この個別アテンド、我々取材班のほかにもオーディオ関連に拘らず、幅広い業種の方が来場されていましたが、デモを体験していくと皆さん感嘆の息を漏らしていかれます。専門家でなくとも効果は実証・実感されるとなると一般的な用途への転用も大きな可能性です。

また興味深かったのは、音源をアイソレートするかもしくはマイクという入り口を塞ぐかの発想によってフレキシブルな組み合わせでのセッティングが可能になる点。シチュエーションを選ばないオールマイティさも感じられます。なお、サイズの小さいAURAL SONICでも2名の会話をアイソレーションさせるほどの効果となるため、スタジオ内のちょっとした機材ラック、また想定外の場所に位置する持ち込み機材などへの対応もクイックに行えます。

東京でもこの威力を体験したい方は東京都現代美術館にてこの10/27(土)から来年2/3(日)まで開催の「アートと音楽」展にてオノセイゲン氏、坂本龍一氏、高谷史郎氏の作品として体感が可能です。

茶室をモチーフにしたアートコラボレーションを現代を代表するクリエイター3氏で構築、単なるデッドな空間ではなく、かすかに感じられる外の世界、そして和の美意識を持った静謐な内部空間をAural sonicで作り上げているとのことです。これは貴重な音場体験になること間違い無しですね。

現在、カリフォルニアに本拠を置くAURAL SONICですが、この11月開催のInterBEE 2012でもその姿が見られる予定とのこと。

米国内向けのカタログを見ると、90cm、120cmサイズの連結可能・持ち運び可能なパネルがすでにその姿を現しており、順次日本国内への導入予定が進んでいる様子です。このパネル、連結の形によってはボーカルブースにも、ギターアンプを囲む形にもなり、ユーザーによる組み合わせの自由度は高そうな印象です。

もともと、フレキシブルな形に対応できる素材だけに、ニアフィールドのスピーカー背面に立て掛けられるようなコンパクトなパネルなどがあれば自宅リスニング環境のブラッシュアップにも劇的な効果が期待できますよね!今から楽しみなプロダクトがいよいよ日本上陸となりそうです!

1 Star2 Stars3 Stars4 Stars5 Stars

現在、5点満点中、4.36点です。
この記事に対して、14名の方が採点に参加してくれています

Loading ... Loading ...

現地のレポート・スタッフ他、このサイトをご覧いただいている皆さんが楽しめるようなコメントをお待ちしております! (スタッフへの励ましのお言葉もお待ちしています!)


AES2012の記事を検索

ページの先頭へ戻る