Rock oN Company 2012 NAMM ショー・レポート!

過去最大級の新製品ラッシュが目前に迫る!! Winter NAMM 2012 by Rock oN

スティービー竹本とルービン白井のNewコンビがOcean Way Studio直撃取材を敢行!! スティーヴン・ミラー氏の全面協力により実現したOcean Way Studioの全貌を大公開!!


1月の寒空の中、南カリフォルニアのNAMM熱気を求めてスティービー竹本とルービン白井が出発!驚くこと無かれ私ルービン白井は、Rock oN入社前に2年ほどロサンゼルスに在住歴あり(それでもルービン?!)。以来の渡航である第2の故郷と心に決めたLA/OC Tourは感慨もひとしおなのです。今回はその深い情熱でレポートをお届けします!

 今回は、JAPAN Airlineでの渡米。国内外に吹き荒れる経済不安の中、どん底から順調に経常利益を積み2012年にはANAよりも高い業績を上げ始めた新鶴丸ことJAL。私は、なんと初機上。やっぱり米国系のAIRになれた体には、本当に優しいホスピタリティがありました。

機内で選んだ異色の二本立ても(ブラット・ピットの「マネーボール」と宮崎あおい主演の「ツレがうつになりまして」)大きく異なった世界観を広げたのでした。こういった先があるからこそ、ちょっと海外に足が向かなくなった世代にもダイレクトに海外に出て行って体感してほしいと思ったりするのでした。そうこうするうちに、窓にはLAの北端、サンフェルナンド・バレーが!「I’m Baccccck!!!!!」と叫ぶ(あくまで心の中で:笑)。入国したLAXでのヒンヤリ(23日頃から急に寒くなったとのこと)した空気は、渡米でヒート気味の心のクールダウンにも最適でした。

 

●憧れのOcean Way Recordingへ!

 到着も早々に、NAMM直線のツアー目玉である伝説のレコーディング・スタジオ、ハリウッドのOcean Way Recordingへいざ向かうのでした。Ocean Way Studioは、ハリウッドエリアのど真ん中に存在。星の数ほどあるレコーディング・スタジオの中でも誰もが世界のトップ・レベルと認めるスタジオ。驚きの、その始まりは1952年Universal Audioの創設者であるビル・パットナムが立ち上げたThe United Western Studiosに遡ります。ビルが開発したコンソール、アウトボードと優れた音響で人気が高まり60年代にはRay Charlesの”I Can’t Stop Loving You”やThe Mamas & The Papasの”California Dreamin”などなど最もヒットを産み出すレコーディング・スタジオとしてその知名度を広げていきました。その後1985年にサンタ・モニカでデモ・スタジオの経営とラウド・スピーカーの製造を行っていたアレン・サイズが買い取り現在のOcean Way Recordingとなりました。その後も現在に至るまでMicheal Jackson “Thriller”を始めKanye Westの”Late Registration”等幾多のヒット作、グラミー受賞作品を産み出し続けているのです。

ロビーや廊下には壁一面にゴールド・ディスク、プラチナ・ディスクが飾られ、Frank Sinatra、Nat King Cole、Rey Charles、Quincy Jones、Michael Jackson、Green Day、Radiohead、John Mayerとまさにアメリカ音楽の歴史を物語っています。Frank SinatraとQuincy Jonesが一緒に作業をしている写真など他では見られないでしょう!そんな豪華な廊下を抜けて今回見学させてもらうStudio Bへ。案内してくれた同スタジオのプロデューサー/エンジニアであるスティーヴン・ミラー氏にいろいろと話しを伺うことに。

●現在のレコーディング環境への憂慮

最近のレコーディングにおけるトレンドについて質問すると、少し残念そうな顔をして「今は自宅で簡単にレコーディングできる。そしてそれをそのまま作品としてリリースしてしまうんだ。しかし残念ながら多くのアーティストはそれをきちんとしたクオリティで完成させていないことに気づいていない」と語り始めたスティーヴン氏。

「エンジニアとしてあるべき知識や経験も無しにDAWやミックス・プラグインを持っているという理由だけで自分はエンジニアだ、と思い込み、さらにはソフトに『マスタリング・ソフト』って書いてあるからマスタリングもできると思い込んでしまうんだ。でも物事はそんな簡単じゃない」「15年前はしっかりしたスキルを持ったエンジニアがしっかりした機材、環境を備えたレコーディング・スタジオでアルバムの制作をすることが当然だった。でも今じゃそれはほんの一握りのトップ・アーティストだけに許される特権のようになってしまった。この10年~15年で音楽業界は大きく変わってしまったんだ。若い子たちは音楽にお金を払うという感覚が無い。無料でダウンロードできるものだと思っている。これは非常にアンフェアであり、由々しき事態だ。音楽にお金を払うならゲームに払う、その次は映画。結果アーティストがペイされないのでレコーディングにお金をかけられない。メジャーのアーティストでもきちんとしたエンジニアを雇わずにエンジニアと称して素人の友達を連れてくる。その結果うまく録音もミックスも進まず時間の無駄となる。さらにベッドルームで自宅の小さいモニター環境でレコーディングしてきてここでミックスをしようときちんとしたモニターで鳴らすとひどい音になっていることが多いんだ。こんな状況で音楽を作っていたら本当にダメになってしまうよ。事態がこれ以上悪くならないことを我々は祈ってる」
と未来の音楽界のことを心から想うスティーヴン氏ならではの意見でした。


●何故Ocean Wayがトップ・スタジオであり続けられるのか

Ocean Way Recordingがトップアーティスト/プロデューサーに愛用され続ける理由はどこにあるのか、伺ってみると「こっちに来なよ」と天井の高い、50人編成のオーケストラも入る大きなレコーディング・ブースのほうへ。そして衝撃的な答えがそこにありました。「声を出してごらん。どうだい?自分の声がこんな風に聴こえたことがあるかい?」普通の話声程度の音量なのにとても大きく、周囲に広がりそれでいて決して濁らない自分の声が伝わってきたのです!
「ここの響きは特別だよ。より大きく、より広く、声の周りに空気を産み出し美しく引き立たせるんだ」


「音が非常にクリアで芯のある、迫力のある音が録れる。特に部屋の右奥の角は「Magic Spot」であり、Ocean Way Drumsの録りもそこにドラムを設置したんだ。Frank SinatraからGreen Dayまでそれぞれ全く異なる音だけど、それでも根本的に大切な、素晴らしい生音が録れるんだ。コンソールやアウトボードももちろん重要だけど、一番重要で代え難いのがこの部屋の音響、そしてそれを録るマイクロフォンだ。ここには最高の部屋とマイクがある。それがこのOcean Way Recordingの成功の秘訣だよ」

さりげなくレコーディングの神髄とも言える貴重な言葉を紡ぎつつ、廊下の先にあるマイクの保管室も案内してくれるスティーヴン氏。

「数々のヴィンテージ・コンソール、アウトボード、そしてマイク。特にマイクは最高のコンディションのヴィンテージ・マイク、レアものをたくさん揃えている。U47、U67、C12等も複数揃えているのはもちろんのこと、C12AやNEUMANN 251、どうだい?これはAKG C24、C12のステレオ・バージョンだ。珍しいだろ?今なら$35,000は下らないよ。それらの機器を知り尽くした経験豊富なテクニシャンが徹底してメンテ、管理を行っているんだ。他ではせっかくのヴィンテージマイクでも悪いのコンディションのものが多く、残念だよね」

Ocean Wayに来る前は有名な商業スタジオと言えばレコーディングブースと同じくらい広いコントロール・ルームがあるのが普通だと想っていましたが、なんと不思議なことにコントロール・ルームが比較的小さいのです。そのことについて聞いてみると、
「それはこの建物が1958年当時の設計のままだからだよ。構造上改築できないんだ。マルチトラック・レコーディングが開発される前にはレコーダーとエンジニア、プロデューサーそしてアーティストだけがコントロール・ルームにいればいいだけだったので大型コンソールを入れるようなスペースは考えられていなかったんだ。でも今はまた小さくなってきている。PCとモニター、小型のコントローラーがあればそれでいいんだからね」

また、あまり知られていないかもしれませんがOcean Way Recordingにはエコー・ルーム(Echo chamber)があるのです!これは弊社セミナー講師やメールマンでもお馴染み瀬川氏からいただいたとっておき情報でそのことについて聞いてみると、
「そう、今ハリウッドでEcho chamberが残ってるのはこことCapital Studioくらいだよ」
とのこと。残念ながらその日はセッションが入っていて見せていただくことはできなかったのですが、「空っぽの部屋にマイク、スピーカーを設置してあり、マイクの位置を変えたりしながらその曲に合ったリバーブを作り出すんだ。しかも温度にも左右されるんだよ。気温が低いとドライな感じになるし、高いとよりウェットで少し曇ったような音になる。セッティングがすごく難しいんだ。でも本当にナチュラルなリバーブを録ることができる。こればかりはどんなプラグインでも再現できないよ。」
こんな環境も音を知り尽くした優秀なエンジニアだからこそ活用できるわけですね。

●海外初お披露目のSym Proceed SP-MP4 × 世界トップ・エンジニア

今回、弊社MI事業部スタッフがカッティング・エッジな最新マイクプリ、Sym Proceed SP-MP4を持って来ており海外初お披露目に。Dave Matthews BandやJack Johnson等のエンジニアを手がけるスティーヴン・ミラー氏もこれを一目見て「お、いいね。シンプルだけどその中にゴージャスさを感じるな。Millenniaや初期のAvalonの良さに通じるものがあるね。スイッチ類もとてもしっかりしている。ステップ・ゲインも66dBまであるのか。すごいね!」とご満悦の様子。同スタジオ・オーナーのアラン氏と共に後日実際に試していただくことに。透明度の高いサウンドと優れたトランジェント特性で演奏家の感じている音をそのまま伝える事をコンセプトとする「SP-MP4」、世界のトップ・エンジニアがどんな感想を出してくるのか、非常にたのしみです!

今後の活動などを聞いてみると、
「Ocean Way Drumsの第二弾が出る予定だよ。これは今度のNAMMでのお楽しみだ。それとドラム以外だったらピアノをやってみたいね!」
と意気揚々のスティーヴン氏。こんなに時間をかけて丁寧に案内していただき、感謝感激雨霰です!
窓の外をふと見ると、隣の映画スタジオであるSunset Gower Studioをトム・クルーズが通り過ぎて行った!との情報が。残念ながら自分の目では確認できずじまいでしたがそんな大物が近くにいるのもさすがハリウッドですね。 スティーヴン氏との再開を約束して我々一行はOcean Wayを後にするのでした。

ところで話しは代わりますが、アメリカに行くとメチャメチャ甘いケーキやお菓子ばかりでお困りのあなたにはウエスト・ハリウッドのUrth Caffeがオススメ!ここはこだわりのオーガニック・コーヒーが絶品ですが、甘さを押さえ、フレッシュなフルーツがトッピングされたチーズケーキやタロットがまた美味!場所はウエスト・ハリウッドのラ・シエネガ・ブールバードから西側のメルローズ・アベニュー沿いとおしゃれなショップや業界人の集まる人気エリア。東京で言えばさしずめ青山とか表参道みたいなもんでしょうか。ラブラブなカップルでいっぱいの店内に野郎4人で押しかけ甘味を食す、という我々のシュールな姿にも店員さんは暖かい眼差しで見守ってくれました。
その後はビバリーヒルズのお屋敷が並ぶビバリー・ドライブからコールドウォーター・キャニオン・ドライブを登りきり、先月サンレコの表紙を飾った映画監督、デヴィッド・リンチの同名映画でも有名なマルホランド・ドライブへ。ここはLAを一望できる山道で周辺には多くのハリウッド・セレブが住む高級住宅街。映画のイメージだとなんだか少しおどろおどろしい感じがしますが、実際はとてもいいところでここから眺めるLAの夜景はルービン白井の大のお気に入りポイント!かわいい女の子と一緒だったら文句無しなんですが(笑)

いざディナーへ!腹も減って来たところで5年前、足蹴く通ったなつかしのキューバ料理店、Versilles(バーサイユと発音。日本語ではベルサイユですね)にて夕食にありつく。

ここはLAでは有名なキューバ料理の専門店で、$10ちょっとでお腹いっぱいになるお手頃価格とそのカリブ海独特の風味で人気のお店。オススメは黒いんげんとコメを混ぜたライスにポークの蒸し焼きのメインディッシュ。ポークがマリネされており、ライムなどで独特の酸味を効かせていて食欲をソソリます。ミックスライスはカレーのようなスパイスも入っており独特の味わい。ロケーションはカルバーシティのベニス・ブールバード沿い。(http://www.versaillescuban.com)LAに行く際は是非寄ってみてください!始めはクセがあると思うかもしれませんが、食べていくうちに段々病みつきになりますよ!

● そして舞台は今年もアナハイムコンベンションセンターへ!!

 NAMM開催の前日(つまりこのArrivalレポートを書いている当日)に我々もアナハイムコンベンションセンターへと到着!!

レジストを終えた我々はこの日はなんとRolandプレスイベントに特別に参加させていただくことに!

注目の新製品詳細についてはRolandさんの情報公開と同じタイミングでの公開となりますので明日の1st Dayレポートにてお伝え致します、ご期待下さい!

そしてもう皆さんご存知の通り2012NAMM SHOWは近年まれに見る新製品ラッシュ!!

NAMM初日の12:00にUniversal Audioから発表される大型新製品とは一体!? そしてNordやmoogにAKAI、ArturiaやTeenage、KAWAIまでハードウェア新製品登場の話が飛び交うブランドも現在だけでものすごい数に!! 会場からのtwitter速報、メーカーへの核心に迫るインタビュー動画など新製品情報だけでないRock oNクオリティのレポートでNAMM2012の興奮と感動をお伝えする予定です。
明日からの1st Dayレポートにご期待下さい!!

 

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