Spectrasonics近日発売予定期待のTrilogyを展示
同ブースではディストリビュート元のILIO新製品も展示

 2002年に最も多く売れたプラグインインストゥルメントの一つであるStylus、Atmosphereで、VST/MAS/RTASユーザーの高い支持を受けたSpectrasonicsは、近日発売予定の新製品Trilogyを中心にデモを展開。エリックパーシング自身がデモを行っているコーナーは、いつも人だかりができていて、近くでデモを聴くにはしばらく待たなければならないほどでした。

 Atmosphereは、アコースティック、エレキ、シンセと3種のベースをカバーしたこのインストゥルメントで、昨年のNAMMショー、AESショーでデモしていた開発途上版でも、圧倒的な音の良さが話題になっていましたが、長い間待たされただけのことがあり、いろいろと信じられない仕様が追加されていました。その中でも感動的だったのは、鍵盤を離した時に再生されるノイズの数々です。ベースを演奏する時は、弦をはじく強さにより、弦がフレットにあたるノイズが発生しますが、Trilogyの生/エレキベースパッチでは、ベロシティ段階により各強さに対応したノイズがリリース後に再生されるようにプログラミングされています。この通常のサンプル集やシンセプリセットでは無視されているノイズを付加したことによる表現力の向上は耳を疑うほどで、「サンプラーによるベース=単調」という概念をうち砕かれる思いがしました。

 またアメリカではSpectrasonics製品のディストリビューションも行っているILIOですが、同ブースでは当然、ILIO自身の新製品もデモしていました。なかでも話題だったのは、カークハンターのストリングス集に続く「Virtuoso
Series Orchestral Brass Sections」。10枚組DVDに30GB以上の素材を納めた管楽器集ですが、価格はストリングス集を超えないようです。映画音楽関係者の多い西海岸らしく、実際にスコアを編み上げる上での細かい質問の多いデモコーナーでしたが、自分もバイオリンを弾くカークハンターが、親身になって応答をしていたのが印象的でした。

 その他、ILIOがディストリビュートする製品に、USBのPlug Soundシリーズがあります。このUSBは、Spectrasonics Stylus,Atmosphereなどの他、MOTU製品の項で紹介したソフトサンプラーMach FiveのエンジンとなっているUVI Engineの開発元ですが、今回はオルガンモジュールCharlie、シンセモジュールUltrafocus、教会オルガン&コーラスモジュールAngel、FXモジュールXtreme FXと4つの新製品を発表していました。Mach Fiveで公開されたサラウンド機能など、強力なエンジンを持つメーカーとして、目が離せない開発元になるでしょう。