2004年のNAMM & AESショーで大きな話題となった後、国内でも年末ギリギリにリリースされたStylus RMX。いつも、一つの製品に1年以上、じっくりと時間をかけるSpectrasonicsなので、今年のNAMMショーでは大きな新製品の発表はあり ませんでしたが、Stylus RMXの拡張音源「SAGE Expander」シリーズと、Stylus RMX ver. 1.2で追加された点を中心にデモを行っていました。 6タイトル発売になる「SAGE Expander」シリーズの中で、特に耳を引くのは、Retro Funk、Back Beatといった「生ドラム」を中心にしたライブラリーでした。
Stylus RMXのコア・ライブラリーの中心となっている、サウンドデザイン力満開のビートも良いのですが、時には生ドラムよるベーシックなトラックも欲しくなる ものですよね。Sealのアルバム(トレバーホーンのプロデュース力の凄みが光る名盤が多い!)でも欠かせないドラマーとなっているエイブラハム・ラボ リエルJr.によるプレイを納めたBack Beat、レイドバックしたフィーリングが抜群のRetro Funkといった生ドラムループは、カオスデザイナーとの相性も抜群でした。ループ全体にカオスデザイナーをかけた時は、「こうやって、やみくもに、常 にフィルだか即興だかわからないプレイをし続けるドラマーっているよねー」とウインクして笑いをかっていましたが、その後、エディットグループで4分音 符を固定したまま他のビートだけにカオスデザイナーをかけていくと、ビートの頭をタイトに支えつつ、裏拍では常に微妙な即興を混ぜてくれるドラマーのよ うに鳴っていました。 その他「Liquid Groove」という、ひんやりとしたエフェクトの施されたパーカッション&ドラムループ集もデモしていましたが、最近のStingのアルバムそのまま の音なので、驚かされました。ここ数枚のStingのアルバム・ブックレットのSpecial Thanks欄には、かならずSpectrasonicsやEric Persingの名前がクレジットされていたのには、こんな訳があったのですね.... Stylus RMX本体のアップグレードver. 1.2では、ラジオディレイ、スプリングリバーブといったローファイ系エフェクトの他、滑らかで密度の濃いリバーブや、各エフェクトのプリセットが大量 に追加された他、Pro Tools v6.7マルチアウトへの対応など細かいアップデートがなされているようです。Stylus RMX登録ユーザーは無償アップグレード可能ということなので、ユーザーの方はRMXコミュニティページを確認してみてください。 ところで、意外なほど使えるStylus RMXの内蔵エフェクターですが、どうもその開発には、価格を超えた音楽的なプラグインで有名なNomad Factoryが協力しているようです。Stylus RMXのビンテージリミッター等の音が好きな人は、Nomad Factory製品もチェックしてみると良いでしょう。