3rd Day Report / IK MULTIMEDIA
IKまたまた頼もしい新製品多数登場!
新製品ラッシュの続いた2004年を終えて、すでに「飽和感」さえ囁かれているプラグイン & バーチャル・インストゥルメント業界で、「ふーん、なるほどねー」といった感想以上の反応を得るのは困難になってきていますが、IK Multimediaブースには、「そうきたか!」と驚かされるニュースがあふれていました。
サンプラー・ユーザーをあっと驚かせるニュースは、ミロスラフ・ヴィトウスによるオーケストラ・ライブラリーをAU/DX/VST/RTASイン ストゥルメントにした「Philharmonik Miroslav」の登場でしょう。ミロスラフ・ヴィトウスといえば、Akai S1000、SampleCellといったサンプラーの全盛期に、オーケストラ・ライブラリーの代名詞として君臨していたライブラリー。そのサンプル CD-ROM版で既発売のネタだけでなく、ミロスラフが録音を済ませておきながら製品化していなかった素材を含む500以上のパッチ、合計5GB以上が 入って69,800円(税抜き予価)というのは、40万円以上していたCD-ROM版を持っている人にはショックかもしれません...
IK Multimediaでは、既存のライブラリーだけでなく、ミロスラフ・ヴィトウスがこれまでレコーディングしてきた全データにアクセスして製品化する 権利を得て、単なるAkai、Giga版等のコンバートではなく、メモリが贅沢に使えて、16パートのレイヤーの簡単なSampleTank 2エンジンを最大限生かせるよう、プログラミングしなおした、ということです。 そのプログラミングに携わったSonic RealityのDave Kerznerは、こう語っていました。「市場には、大容量を売りにしたオーケストラ・ライブラリーが溢れているけれど、ミロスラフの特徴は、容量では なく、その音楽的なサウンドです。ミロスラフは素材のレコーディング時、単に『強く/弱く』といった指示ではなく、『ドボルザークのあの曲のあのフレー ズを弾く時のように』といった指示を出していたということですが、ミロスラフの音を1音鳴らしてみると、それだけで音楽的に鳴ることが感じられることで しょう。だから、ゆっくりでも鍵盤で弾いてみると、それだけで音楽的なオーケストラサウンドが生み出せるのです。」 Philharmonik Miroslavは、SampleTank 2エンジンを元にしていますが、パネルに並んだパラメーターは「ビブラート」、「トレモロ」、「スウェル」などオーケストラの奏法にあわせたものとなっ ており、表現力を重視した設計になっています。 膨大な奏法パーツが用意され、マニュアルを読みながらパーツを組み合わせて完璧な再現を目指すたライブラリーが必要なこともありますが、日常の作曲活動 で必要になるのは、手を触れた瞬間に楽想が浮かんできて、音に導かれるように指が動き、それをレコーディングするだけでスケッチが完成するようなオーケ ストラ・ライブラリーなのかもしれない。そんなことを考えさせられた。

QT movieがご覧いただけます!
イメージが掴めるとおもいます。

QT MOVIEでGROOVYなデモをお聞き頂けます!!
Ampeg SVXが登場! プラグイン業界に詳しくなくても、ベース弾きなら「Ampegがプラグインになった」と聞けば、きっと驚くことでしょう。ベースアンプの歴史そのものと いってもいいAmpegですが、自分たちのアンプをプラグイン化するにあたって「レコーディングの現場やツアーで活躍しているプロの要求を本当に理解し て、音、インターフェース、使い勝手から『ミュージシャン』の視点に焦点をあわせているメーカーを探したら、IK Multimediaしかなかった」ということで、IK Multimediaとの提携を申し出たそうです。 モデリングされたのは、SVTCL Classic、SVT 5 Pro、B15R Portaflex Flip Top、BA500ですが、ワウ、ディレイ、コーラス、ファズといったペダルエフェクターも含まれています。 音の出し方も、ダイレクト/アンプ経由の音をパラレルに処理した後でミックスする など、現場の使用方法を意識した設計となっています。 会場では、ギタリストとのセッション・デモ時にキーの打ち合わせさえ「そんなもの、必要ない」と手をふるほど、「細かい準備は面倒だが、最高の結果が得 られないものは許せない」といったベーシストが演奏していましたが、Genelecのスピーカー、サブウーファーから鳴っている音に全く違和感を感じ ず、プラグインの存在さえ忘れるほど演奏を楽しんでいました。プラグインというと、「音を変えるエフェクター」といったイメージを持ってしまいますが、 本当に難しいのは、この「違和感を感じさせず、存在さえ忘れるほど演奏に専念させてくれる音や反応の早さ」を実現することなのかもしれません。その演奏 に引き寄せられるように集まってきた人垣も、「プラグインの機能をチェックしてやろう」といった態度ではなく、スリリングなセッションの展開に固唾をの み、あまりに余裕あふれる演奏の巧さにため息をもらすなど、純粋に演奏を楽しんでいました

■ AmpliTube 2 IK Multimediaに目を付けるきっかけとなったギターアンプ/エフェクト・モデリング・プラグインAmpliTubeが、早くもVersion 2になりました。 IK Multimediaの話では、AmpliTubeのアップグレードではなく、プログラムを根本からすべて書き直した、というAmpliTube 2。配列順の入れ替えが自由になるなど柔軟度の高くなった30種類のペダルエフェクター、SM57/RE20/Senheiser Blackfire/U87/C414/K0184など選択肢の増えたマイク、Fender Superverb/Delux/BassMan、Mesa Double Rectifier、Marshall JCM900、VOX AC30/AC10、THD Bivalveなど、モード別にインターフェースの絵まで変わるアンプ部、シリアル/パラレル接続可能なチューナー > ペダルエフェクター A/B > アンプ A/B > キャビネットA/B > ラックエフェクター A/Bといった仕様の強化以上に、プラグインそのものに起因するレイテンシーの徹底的な排除、96/192kHでの使用を初めから意識した設計による超 正確なモデリングなど、ギタリストの求める音、操作感を妥協無く追求したことに大きな満足を感じているようです。QT MOVIEでのデモ!START!

訂正です。デモしていただいた方はDAVE KERZNERさんです。

昨年のAESショーで公開されていたSonik Synth 2、Studiophonikなども展示していたIK Multimediaブース。いつもの真っ赤な色をベースにしながら、今年は黒を巧くあしらい、「Musicians First」という標語のもと、「すべては、ミュージシャンのために」という姿勢をはっきりと打ち出していました。時々訪れるゲストミュージシャンによ るプレイがすごいのは当然ですが、それ以外の時も、SampleTank 2 XLのドラムキットを手弾きで叩き続けるIK Multimedia USのスタッフ、ギターやベースを弾くIK Multimediaイタリア本社のスタッフによるセッションで盛り上がるなど、ともすればスペックの話に追われがちなソフトウェアブースの中で異質と もいえるほど、音楽的な盛り上がりを見せていたのが、印象に残りました。 最後に、忘れていましたが、T-RackS TDM版リリース予定、というのも、ビッグニュースですね!
IK Multimediサイト http://www.ikmultimedia.com/

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