2nd Day Report / Sony Oxford
今回の目玉は新製品のOxford Reverb!

Pro Tools、Powercoreユーザーの皆様におなじみのSony Oxfordでは、Sonyブース内のメインステージ、Sony Oxfordデモスタンドと、AES協会のオーディオデータ規格を展示したブースの3箇所でデモを展開していました。
今回の目玉は、なんといっても新製品のOxford Reverb。最近のリバーブ・プラグイン業界の流れに詳しい方は、「また、新しいコンボルーションリバーブ(サンプリング)か?」と想像するかもしれませんが、Sony Oxfordが発表したのは、TDMチップ上で使える、伝統的なリバーブです。
ただし、発想的には、「アーリーリフレクション・タイム」、「リバーブ・タイム」といった「タイム」の設定から追い込むものと、「部屋の形(横長、正方形、縦長)」、「サイズ」、「横幅」、「部屋の材質による吸収の度合い」といった「空間のイメージ」をリバーブに翻訳してくれるOxford Reverbの違いは大きいかもしれません。数字、パラメーターを惰性で設定するのでなく、「空間のイメージ」をまず思い描いて、そこに音を配置する発想で使ってほしい、という制作者のメッセージが伝わってきそうです。

肝心の音ですが、一言でいうと「実用的な音」といえるでしょう。Sonyブースのメインステージでは、ドラム、ギター、ボーカルといった各素材のリバーブのバランスを調整していく様子を再現していましたが、各素材がミックスの中でシックリと落ち着いていく様子には、飛び道具的な驚きはないものの、プロが毎日必要としているのは、こんなリバーブなんだろうな、と感じました。デモとしては、リバーブをかなり浅めにかけたものだったのですが、ミックスがまとまった段階でリバーブをバイパスした時に、単に残響音が消えたというよりも、それまであったリッチさが消え、元の音はこんなに貧弱だったの?と驚かされました。

このOxford Reverbは、アーリーリフレクション部分と、リバーブテイル部分をはっきりと分けて使えるのも特徴ですが、ドラムを使ったデモでアーリーリフレク ションだけにした時、いかにもリバーブといった音の伸びは無いのに、エアー間がでている所は、さすがに部屋鳴りを生かしたドラム音には独特の伝統のあるイギリス人の設計だなー、と関心しました。

RAM容量に依存することの多いコンボルーションリバーブは、CPU消費量を睨みながら作業することになりがちですが、HD Accel、HDはもちろん、Mixでも使用可能なOxford Reverbは、確実に安心して使えるという意味でも、「実用的」なリバーブとして歓迎されそうです。

一方、デモスタンドの方では、あえてM-Boxを使ったPro Tools LE上でデモを行っていましたが、よく聞くと、実は、FireWireのPowercoreがつながっており、fxpansion社のVST-RTAS Adapterを経由したPowercore版を起動する実験をしていたようです。現時点では、プリセットの互換性などまだまだ検証すべきことがあり、オフィシャルなサポートはできないが、ほとんどすべてのトラックにOxford EQ、Dynamics、Inflator、Reverbなど、なんらかのSony Oxfordプラグインを起動しながら、Pro ToolsのCPU消費量メーターが半分も振れない様子には、満足していたようです。デモスタンドに立っていたエリックさんが、「僕は自宅でも、Digi 002とPowercoreの両方を持っているから、この組み合わせはとても助かるよ」とウィンクしていたのが、印象に残っています。「正式なサポート対象外」ということを気にしない方は、実験してみても面白いかもしれません。

このプラグインブースの隣では、Super MAC、Hyper MACという、Sony Oxfordのオーディオ転送技術のデモを行っていました。Super MACは、Ethernetケーブル1本で、44.1kHz PCMなら48ch、192kHzでも12ch、そしてDSDも24chまで転送可能な規格で、Sony Oxfordでは、その端子の着いた基板をオーディオ機器メーカーに供給していました。今回発表していたHyper MACはさらに強力で、Giga Ethernetケーブル(Cat-6またはOptical Physical Media)1本で、44.1kHz PCMなら192ch、192kHzでも96ch、そしてDSDも192chまで転送可能!という規格ですが、今回は基板の供給ではなく、技術ライセンスという形をとるようで、大手コンソールメーカー、マスタリング機器メーカーによる採用がほぼ決まっているようです。会場ではPrismのオーディオインターフェースでデモをしていました。こうした部分は、ふだん私たちの目には触れない部分ですが、R&D(研究開発)に力を注ぐSonyOxfordの底力を垣間みたような気がします。

Sony Oxfordプラグイン
http://www.minet.jp/oxford/

fxpansion VST-RTAS Adapter
http://www.minet.jp/fxpansion/vst_rtas/index.html

Sony Oxford Super MAC
http://www.sonyoxford.co.uk/pub/supermac/index.html

Sony Oxford サイト http://www.sonyoxford.co.uk/

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