1st Day Report / SPECTRASONICS
スタッフによるファーストインプレッション採点付き(5つ星で満点)
SPECTRASONICS : SPECTRASONICS、待望の新作プラグインインストゥルメント発表。"STYLUS RMX"!

今やプラグインインストゥルメントの定番となったSPECTRASONICS製品ですが、前作TRILOGYの発売から約1年、ついに待望の新作が発表になりました。タイトルはずばり「STYLUS RMX」。単なるSTYLUSの続編にとどまらない、全く新しいプラグインの登場と言っても過言ではありません。
まずはこちらがメイン画面。随所に前作よりも洗練された感が伺えます。収録サウンドは、前作の2倍の約1000ループ。100種類のキットを内包。そして、画面右下に確認できるように、マルチチャンネルでの受信が可能に。前作からの一番の相違点は、MIDIファイルブラウザが本体に統合された、という点。STYLUSでは、「Groove Control」対応のスライスループをロードしてから、シーケンサーのMIDIトラックに対応MIDIファイルをインポートする必要がありましたが、「STYLUS RMX」では、ブラウズウィンドウでループ名を選ぶだけで、「Groove Control」ループがシーケンサーのテンポにシンクした状態で再生されるようになりました。実際、SPECTRASONICS代表のERIC PERCINGによるデモが行われ、リアルタイムでのMIDIファイルの差し替え、ループサウンドの差し替え、リバースボタンを活用した「生きた」ビートが展開されていました。
「STYLUSRMX」のマルチティンバー仕様を生かして、ch1パートでドラムループを選び、ch2でコンガループを選び、ch3でシェイカーを選ぶといった作業を、再生を一切止めることなく行うことができ、「RMX」という名の通り、「リミックス」が簡単に行えます。プラグイン上ではスライスループ素材とMIDIファイルが一体化している感覚で操作できる「STYLUS RMX」ですが、「STYLUS RMX」からシーケンサーのMIDIトラックにドラッグするだけでMIDIファイルを書き出すことができるので、従来のSTYLUSのように、スライス単位でMIDIファイルをエディットしたいという時も、安心です。その他、エフェクト内蔵によるエフェクト画面、マルチチャンネル対応によるミキサー画面もメインとは別に装備。デモ会場でも、ドラムループはメインLRから再生しながら、コンガループはLogicのサラウンドパンで定位位置を決める、といった作業を行っていました。このエフェクトがまた、観客の賞嘆を招きます。
まったく新しいグルーヴを生み出す「CHAOS MIXER」ウインドウも注目が集まる機能。Groove Controlループの再生時に、さまざまなランダム化が行えるこの機能を使えば、一つのループを再生しながら、スネアやキックの鳴る位置がランダムに入れ替わったり、時々、スライスサンプルをリバース再生したものを加えるといったことを自動的に行うことができ、一つのループを繰り返し再生しても、2度と同じパターンは再生しなくなるので、「まさに、人間」といったプレイが可能になります。カオス、とか、ランダムというと飛び道具的に聞こえる機能ですが、パーカッションループなどに微妙にかけると、一つのループを延々と繰り返すのとは全く異なる、何分でも飽きないパートになっていました。ここで、Eric Persingは「Musically Intelligent」という言葉を使っていましたが、すべてが「機能のための機能」ではなく、「音楽的に破綻しない結果をもたらすこと」に、これまで蓄積されたノウハウを投入していることが伺えます。そして、なによりも鋭いのが、「エディットグループ」指定機能です。STYLUSのZone Editを進化させた「エディットグループ」では、「メイン」、「スネア」、「表拍(4/4なら1拍目と3拍目)」、「裏拍(4/4なら2拍目と4拍目)」などと指定したグループごとに異なるエディットを行うことができます。この「エディットグループ」は、すべてのパラメーターに対して有効で、従来のフィルター、ピッチ、パンといったエディットはもちろん、エフェクトや、カオスミキサーに大しても有効なので、「スネアの鳴る瞬間にだけリバーブをかける」とか、「表拍/裏拍はランダム化の対象からはずすことで、ビートの柱を維持しながらハイハットをランダム化する」といったことまで可能となっています。この、MIDIとスライスループをプラグイン内で統合し、元のループのBPMが何であってもシーケンサーのテンポに自動シンクした状態でマルチティンバーの各パートにどんどん重ねて、「エディットグループ」ごとにリアルタイムで変更をかけていく、といった仕様は、Spectrasonicsが新たに編成した社内チームによって開発された新エンジンテクノロジー「SAGE(Spectrasonics Advanced Groove Engine)」に基づいており、今後も、このSAGEベースのプラグインを作る予定ということです。とにかく、煩雑になることなく、これだけの機能を追加したSTYLUS RMX。肝心のサウンドは、前作よりも「生音」が非常に強化された感をうけました。
2004年の秋/冬頃の発売を目指しているという、「STYLUS RMX」。現行のSTYLUユーザーにはアップグレードプランも用意される予定。新しい定番プラグインの登場といえるでしょう。

STYLUS RMXの詳細はこちら
SPECTRASONICS サイト http://www.spectrasonics.net/

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