3rd Day Report / McDSP
FilterBank、CompressorBankと、Pro Tools EQ、コンプレッサーの定番を輩出しているMcDSPは、AES直前に発表した「Revolver」を中心にデモを展開。
今となっては、コンボルーション・リバーブという方式そのものは、珍しいものではなくなりましたが、これまでのMcDSP製品同様、実用性と柔軟度の高さを兼ね備えた製品に仕上がっていました。

多くのコンボルーション・リバーブが、著名なホール、教会など現実の空間をサンプリングしたインパルス・レスポンス・ライブラリーを強調しているのに対し、Halls、 Rooms、Plates、Chambers、Gatesといったカテゴリーに分類されたフォルダに収録されたAMS、AKG、EMT、Lexicon、T.C. Electronic、Yamaha、Eventide、 Rolandなど歴代のリバーブ名器のプリセットが並び、FilterBank、CompressorBankに続く「リバーブ・バンク」とでも呼びたくなる内容でした

ブースでデモを行っていたジェイク・ソーンさんの話では、「教会やスタジアムのサウンドがゴージャスなのは確かかもしれないけど、ポップスを中心としたミックス作業のなかで、教会の響きが毎日必要になるかといえば、そうでもないだろう。いっぽう、Revolverが目指したのは、スタジオで毎日使いたくなるプリセットを供給して、なおかつエンジニアがこれまで使って来たハイエンド・リバーブ同様のサウンド調整ができるリバーブを提供することにある。」と、いうことでした。

全体的なリバーブの長さをIRレベルで調整する「Length」つまみ、リバーブの前/後に挿入可能なEQや、ホストのテンポにシンク可能なポスト・ディレイを備えるなど、ミックス素材にあわせてリバーブ音を調整したい時、かゆいところに手が届く仕様をそなえているところには、McDSPユーザーならきっとニヤリとさせられることでしょう。

なお、Revolverのプラグイン・フォーマットはRTASのみとなっていますが、TDMの処理能力の問題というより、数秒間にわたるIR、ディレイを処理するRAM容量に妥協したくなかった、という理由だそうです。Pro Tools 7では、TDM環境でもAUXフェーダーやMasterフェーダーにもRTASプラグインをインサートできるようになるなど、RTASプラグインの使い勝手が向上する方向を見据えた、懸命な判断だと思います。

特別な時に使う、特別なリバーブではなく、毎日使えるコンボルーション・リバーブとして定番になりそうな、新製品です。

その他、このRevolverのLE版と、新製品Analog Channel LE に、FilterBank LE、CompressorBank LE、Chrome Tone LEからSynthesizer One LEまでバンドルして、TDMプラグイン1個分の価格という、RTASプラグイン・バンドル、「Project Studio」も発表していました。

M-Box、M-Poweredユーザーでも、スタジオ定番のプラグインを使い始めることができる、とても魅力的なバンドルですね。