3rd Day Report / fxpansion
スティーブ・アルビニのサウンドアーカイブ登場!
ドラム・キットを選ぶ。スネア、ハイハットなど、ピースを差し替える。ダイレクト・マイク、オーバーヘッド、ルーム、PZMと17本のマイクをフェーダーに立ち上げて調整する。そんな、スタジオ作業の感覚で使えるドラム音源として、Rock OnでもベストセラーになっているBFD。

これまでも、Pearl Chad Smith Signature、1940s WFL Ludwig Dual Strainerなど、ビンテージドラムマニア垂涎のキットを集めたBFD XFL、ミッチェル・フルーム&チャド・ブレイク門下生で、トム・ウェイツ、シェリル・クロウ、ロス・ロボス、ノラ・ジョーンズ等の仕事で有名なエンジニア、ハスキー・ヘスカルズの主催する「8 Bit Audio」によるBFD 8 Bit Kitと、拡張音源をリリースしてきましたが、今回発表された「BFD Delux Collection」は、なんと、あのスティーブ・アルビニによる、エレクトリカル・オーディオ・スタジオ録音。NIRVANA『In Utero』、PIXIES『Surfer Rosa』など、スティーブ・アルビニによるサウンドの質感が大きな要素を占める名盤を手がけてから、もっとも引き合いのあるエンジニアとなった彼のサウンドが使える、というだけでも、BFDを買いたくなる人がいるかもしれませんね。

BFDのオリジナル開発メンバーである、スティーブ・デューダが、スティーブ・アルビニと知り合いだったことによって実現したプロジェクトですが、制作は簡単ではなかったようです。ふだん、ハイハット等にダイレクト・マイクを立てないスティーブ・アルビニに、ダイレクト・マイクの設置を依頼するときなど、「もしも、ミュージシャンにどうしてもダイレクト・マイクを立ててくれと言われたら、どこに立てる?」といった仮定形の質問をするなど、いろいろと工夫したようです。もともと、デジタル・レコーディングにも懐疑的なスティーブ・アルビニですが、スネアの音を127種類の強弱で録音するなど忍耐を要する作業につきあってくれたのは、自分のテクニックによるサウンドのアーカイブを残したい、という気持ちがあったのかもしれません。そのサウンドは、これまで以上に勢いのある生々しいサウンドで、RolandのV-Drumのパッドで叩く人と、その音につられて集まる人が絶えないなど、注目度の高さを感じさせられました。Josephson e22、c42、c609、Royer R122、Altec 150といったマイク選びや、約55GBと、BFD関連音源の中でも最大の容量となったドラムの種類と、贅沢なベロシティ・レイヤーなど、スティーブ・アルビニの名前を別にしても、最強のBFD音源といえる製品です。