NAMM 2014

Winter NAMM2014 : Arrival レポート

NAMM 2014 Rock oNレポーター岡田&赤尾が現地に到着!音楽都市ロサンゼルスの音楽スポットからレポートをお届けします!

NAMM2014 ショーレポート NAMM2014 ショーレポート

9時間のフライトを経て今年も一路LAXへ。装いも新たに我々を迎えてくれた2014年のLAX、未知なる新製品との出会いに今から胸が高鳴ります!(ちなみにLAX改装は入口部分のみ。手荷物検査の通路や所要時間は全て昨年のまま、ようやく脱出した我々は早速最初の目的地へと向かいます。)

さて皆さん、Steve Vai、Adrian Belew、Terry Bozzioこの3名に共通なアーティストは誰でしょうか?そう、Frank Zappaです。私的にはCaptain BeefheartとのコラボもしくはJohn Lennonのライブアルバムへの参加等が印象的ではありますが、やはり前述の3人のミュージシャンを輩出したことはその功績として最も輝かしいものだと思います。(Adrian BelewにBob Dylanの物まね〜しかも歌で!〜をさせてそれをレコーディングし、世に発表したことも凄いことではありますが。。。)

Frank Zappa邸宅跡

さて今回のNAMM2014のArrivalレポートとしてこちらFrank Zappaの邸宅跡を最初に訪問しました。場所は

2401 Laurel Canyon Boulevard Los Angeles, CA

になります。Hollywoodの中心部からおよそ車で30分ほど北上した場所に位置しております。

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最初に邸宅跡と明記しましたが、こちら残念ながら存在していたFrank Zappaの邸宅は火災で消失、現在は当時から存在していたプールを残すのみとなっております。

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Frank Zappaと言えば、一般的には歌詞検閲にたいする反対運動や、著作権に対する明確な意思表示等が有名で割りと彼の作品自体に触れられることが少ないと思います。私はそのFrank Zappaの作品の最も魅力的な部分は、簡単には真似の出来ないオリジナリティにあると思うのですが、みなさんいかがでしょうか。

Dr. Johnは彼の犯罪歴によるLAへの逃避行の時期にFrank Zappaとのセッションを幾度か経験し、割りとその作品の創り方にネガティブな意見を持っていたようですが、私はそれは強烈なまでのオリジナリティの創出の副作用だと思っています。

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逆に言えば、Dr. Johnの楽曲は他者が演じることができますが、Frank Zappaの作品はそうは簡単にいかないのではないかと。。。(この下りDr. Johnを批判している訳では無いのであしからず。Dr. Johnも私大好きですので。)

ちょっと話しが横道にそれました。今回訪れたFrank Zappaの邸宅跡はもしここに当時の建物を見る事ができたならば、彼の創作にはプラスの要因として働いたであろうことが素直に納得できる場所であったことを最後に明記させて頂きます。

EASTWEST Stuido訪問

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The Beatlesの名プロデューサーとして有名なGeorge Martinの名著「耳こそが全て」の中で当時のEMI Studioに8ch.レコーダーを導入すべくFrank Sinatraが設立したばかりのReprise Recordsに当時最新機器のそのレコーダーを見に行き、EMIに8ch.レコーダーを導入しようとするシーンがあります。結果はEMIの経営陣に反対されEMIにはその時8ch.レコーダーは導入されなかったのですが、私的には凄く印象に残るシーンでした。

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さて今回訪問したEASTWEST Stuidoですが、実はかつてその建物内に前述のReprise Recordsのスタジオが存在していたそうです。なんか音楽の歴史を目の当たりにしてかなり感動した事を最初にお伝えさせて頂きます。

NAMM2014 ショーレポートさてそのEASTWEST Stuidoですが設立は1957年になります。みなさんご存知のUREIを生み出したことで有名なBill Putnamが中心となりWESTERN RECORDERSとして運営が開始されました。設立当時はFrank Sinatra、Bing Crosy、Quincy Jones等が主にこのWESTERN RECORDERSを利用していました。

これは当時の音楽業界の動きと関係があり、映画Rayの中でRay Charlesが一旗揚げるために当時の音楽の中心地であったCHICAGOを訪れた際にまだ10代だったQuincy Jonesと出会うシーンがあるのですが、前述のBill Putnam、Frank Sinatra、Bing Crosy等はCHICAGOを中心に音楽活動を行っていました。しかし映画産業の隆盛に伴いその活動の場所がロサンゼルスに移動したことによりWESTERN RECORDERSがハリウッドで設立される結果に至ったそうです。

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ずっと時間は進みますが、1989年にAllen SidesがWESTERNRECORDERSを買収しOceanway Studioに(現在のOceanway Studioは同じブロック内に存在します。)。1999年にRick AdamsがそのOceanway Studioを買収しCello Studioに。更に2006年Doug RogersがCello Studioを買収し現在のEASTWEST Stuidoと変貌を遂げてきました。みなさんご存知かと思いますが、EASTWEST StuidoはHollywood Stringsで有名なEASTWESTが所有のスタジオです。ただ基本は外貸しで自社のソフトウェアの録音には1年に1度くらいしかスタジオを使用することは無いそうです。

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さてそのEASTWEST Studio。基本は1957年の設立当時のままの建築物を使用し、フランス人の総合デザイナーPhilippe Starckが内装を手がけました(アサヒビールスーパードライホール・フラムドールのデザインでもPhilippe Starckは有名です。)。随所に遊び心が満載のスタジオですが、基本はオーケストラまでの収録が可能な大型スタジオであるStudio1(ちなみにこのスタジオからUREIの製品群が産まれました!!)。

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American RecordingsのRick Rubinが多用することでも分かるようにロック・バンド向きの中型スタジオStudio2。そしてThe Beach Boysの大名盤Pet Soundsが録音されたことで有名な小型スタジオのStudio3。更に現在改装中で来月2月からオープン予定の小型スタジオStudio4の4部屋でEASTWEST Studioは構成されています。ちなみに改造中のStudio4はその付随施設が秀逸で大型シャワー室、ラウンジ、更には屋外ラウンジをも併設。創作意欲が絶える事のない環境を演出していました(正直スタジオ自体よりもその付随施設の方が大きい事に圧倒されました。)

ではそれぞれのスタジオの機材面でのレポートをお届けしましょう。

EASTWEST Studio 1

Studio1の機材で特徴的なのは、何と言っても80チャンネルにも及ぶNEVE 8078コンソールです。

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実は2台連結されており、マイケルジャクソンの「BAD」(1987年)のレコーディングのために、ジョイントされたそうです。

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コンソール右手に並ぶアウトボードの中にはUreiの1176がありますが、文中でも述べた様に、エンジニアでもありデザイナーでもあるBill Putnamさんが、まさにここでデザインし、ここで作られたのだそうです。また、後ろのラックにはFairchild670やGML 8200、Teletronix LA-2Aなどの機材もスタジオに鎮座しておりました。

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NAMM2014 ショーレポートまた、このスタジオのBoothは三つあるスタジオの中でも一番大きく、空間を生かしたレコーディングが出来るので、オーケストラなどの大編成にも使われる部屋となっていますが、この部屋ではPOP、ROCK、ほとんどのジャンルで使われるそうです。他に、Steinwayのピアノが納められたピアノブースがありました。

また、壁の反響板は可動式となっていますが、1972年から動かしていないそうです。それだけ、この部屋の設計はすばらしく、Pop、Rock、Jazz、など多種多様なジャンルの音楽に対応出来るスタジオではないでしょうか?

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EASTWEST Studio 2

Studio2のコンソールもやはりNEVEでした。このNEVE 8028はStudio1のNEVEコンソールよりも10年程古く、1977年に作られたものが今でも現役で動いています。

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もちろん、この部屋にもUREI 1176が鎮座していました。スタジオ1がオールジャンルの音楽に適しているのに対して、スタジオ2はBoothの響きがタイトなため、Rockに適した部屋となっているそうです。1972年にブースの壁面にディフューザーを足した以外は変えていないそうです。

既存の建物の中にスタジオを建てたので、様々な制限があるにもかかわらず、スタジオデザインをしたPhilippe Starckさんはとにかく天才的で、様々な問題もクリアしてこの環境を作り上げた事に私達もただただ、「天才」としか言い表せないのが非常に悔しいくらいでした。

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EASTWEST Studio 3

Studio3のコンソールはTridentで、FaderがNEVEで構成されていて、世界で6台しか残っていないそうです。

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アウトボードラックの中にもいくつかNEVEモジュールが混ざっており、好みに応じて自由にインサートが出来るようきれいに整備されておりました。

また、Boothも一番小規模で、タイトな響きです。ですが、小さいけど力強い音質となっているそうで、スタジオマネージャーであるCandaceさんも大変気に入っているそうです。

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我々がインタビュー中も、自分たちの声がStudio2よりもだいぶタイトに聞こえていました。この部屋はピアノソロや、アコースティックギター、3ピースなどの編成を録音したり、時には12人入った上で、Hammond B3をBooth内で演奏したり、、、と様々な編成で録音される事もあるそうです。もちろん、この部屋にもUREI1176はアウトボードラックが指定席のごとく完備されておりました。

EASTWEST Studio 4

そして、今現在建設中のStudio4。

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他の部屋と比べるとだいぶ小さな部屋でしたが、こちらの部屋はEdit用に設計されたそうで、コンソールにはSSL G+を採用したそうです。

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この部屋は来月オープン予定だそうです。きっとこの部屋にもUREI 1176が設置される事でしょう。出来上がりが楽しみですね!!

今回EASTWEST Studioを訪問するにあたりスタジオ・マネジャーであるCandaceさんにお話をお伺いしたのですが、一番印象的だったことはStudio3の彼女の印象でした。それはStudio3にはMighty Powerが存在しており、素晴らしい作品を造り出す何かが存在していると言うコメントでした。前述のThe Beach Boys「Pet Sounds」をはじめ、ママパパの「Carifornia Dreamin’」、一昨年に亡くなられたScott McKenzieの名曲「San Francisco (Be Sure to Wear Flowers in Your Hair)」がこのStudio3から生み出されたという事実はそれを証明していると私は思ったのですが、みなさんいかがでしょうか。

ライブハウスRoom 5

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Arrivalレポート初日の締めはNorth La Brea Avenueに位置するRoom 5 LOUNGEでのライブ鑑賞になります。この日はGreg FriiaをホストにNashvilleのシンガーソングライター4人(Emily Reeves、Arielle Austin、Vince Melamed、Pete Sallis)の計5名によるジャムセッション風アコースティック・ライブでした。

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所謂オルタナ・カントリーの中でもPOP色の濃い楽曲が中心でいずれ人気が出来る要素を感じることはできました。

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とそんな訳でNAMM2014 Arrivalレポート初日を終えたいと思います。こちらのArrivalレポート、FBでは告知済みのSUNSET SOUNDSのスタジオ訪問とMichael Jacksonの墓地訪問がまた控えております。明日にはアップ予定ですので、お楽しみに!!

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