NAMM 2013 Rock oN Show Report

近年まれに見る新製品ラッシュはもうすぐそこに!! Winter NAMM 2013 Arrival Report by Rock oN

NAMM2013前哨戦のArrival Reportではサンタモニカの『Apogee Electronics』を独占取材! ダウンタウンのVintage King Audioレポートも必見!!


 

東京は一年で最も冷え込む季節。まだ道路に雪が残る東京を後に、スティービー竹本&ギャラクシー卓志がカリフォルニアに向けて出発。寒いのが大の苦手の私ギャラクシー卓志は、帰ってくるころには、すっかり東京が春になっていないかと念じながら、初の西海岸へ意気揚々と旅立ちました。温暖で自由な空気で満ちあふれたオープンな土地、南カリフォルニアからレポートをお届けします!

今回の便では、エアバス社のA380に搭乗。この旅客機、初の総2階建てで最大の大きさを持つんだそうです。シンガポール航空の機内食も、炊き込みご飯に鳥肉、つけ麺と、長旅の出発にはやさしいメニュー。ご飯がおいしいだけで、体温が1.5度は上がります。一行、いざアナハイムへ!

 

●25のミッションを終えたスペースシャトルエンデバー実物と感動の対面!

現地では、レンタカーに6人乗っても軽やかに走れるシボレーをチョイス!シボレーをレンタカーって、アメリカって感じでいいですよね!一行はこれから、空港から近いカリフォルニア・サイエンス・センターを目指します。

お目当ては、昨年暮れに全米の注目を集めながら、東海岸から飛行機と車でやってきたばかりのスペースシャトル「エンデバー」。展示会場は、一般公開されて間もないせいか、熱気もまだ覚めやらぬといった状況で、多くの観光客で賑わっていました。

本丸へ行き着く前にまず目に飛び込んできたのが、なんとアポロ!60年代にこれで月面着陸を果たしたのかと思うとしみじみとします。極度に狭い操縦席は、古めかしい革製のシートベルトと、質素な(?)椅子。この空間の中で月まで行った孤独感と恐怖は相当なものでしょう。アームストロング船長その他、当時の宇宙飛行士の皆さんの覚悟と度胸に感服しました。

 

 

順路を辿っていくと、そこにはテレビや映画で見た事のあるNASAの司令室!ここでスペースシャトルと通信しながら、チームでプロジェクトの成功を目指したんでしょうね。さらに進んで、別の建屋まで移動。すると、そこにはエンデバー号が堂々鎮座!ボディ側面の、NASAのマークと星条旗、「United States」のロゴを見ると、「あゝ、アメリカ合衆国」とただただ身体で感じます。

 

エンデバーと言えば、日本人宇宙飛行士、毛利衛さんや若田光一が搭乗したことで有名ですね。当時のTVや新聞などのメディアがこぞって大きく取り上げていたので、われわれ日本人にも馴染みのあるスペースシャトルなのです。毛利さんの「宇宙からは国境線は見えなかった」との言葉は、この操縦席の中から生まれたものなのかと思うと感慨深いものがあります。スペースシャトルのミッションはSTS-○○と名付けられ、合衆国のこれまでのミッションの履歴もパネルで展示されていました。中には打ち上げ73秒後に空中で爆発炎上した、あのチャレンジャー号も(STS-51L)。オニヅカさんという日系の飛行士も登場していたようです。

●一路サンタモニカへ!  Apogee Electronics本社にて昨年来店いただいたロジャー氏と再開!

早朝から一路サンタモニカへ車を走らせる事1時間半、通勤ラッシュに揉まれながらもサンタモニカ Berkeleyストリートに位置するApogee本社へと到着。そこでは昨年末Rock oN Companyにも来店いただいたプロダクト開発ディレクターのロジャー氏と再開を果たしました。
早速ロジャー氏案内のもと、同社にコンサルタントとして名を連ねるBob Clearmountain氏デザインのスタジオを拝見!
ミックジャガーをはじめ多くのビッグセッションが行われたというレコーディングスタジオでは、アーティストや撮影用途だけでなくApogee Labとしての機能も持っており、従業員達の製品テストなどにも使用しているとのこと。

スタジオ自体は商業目的ではないため、売り上げはなんとチャリティーになっており、利用用途を気にせずチャレンジさせてくれるのも商業スタジオには無い魅力と言えます。(この赤いカーテン、各所のプロモーション動画などで良く見かけますよね)

スタジオの脇には言わずと知れた銘機STUDERのA800テープレコーダーも保存状態の良い1台が常設。お待ちかねコントロールルームにはBob Clearmountain氏が70年代後半に使い始めたというNEVE8068コンソール。こちらは以前New YorkPwer Stationで使用されていたモデルで、偶然にも氏が40年ぶりに再開を果たした思い入れの1台。

その他にも同社Symphony I/OやProTools HDシステムをはじめ、8068の脇を固めるように自社&他社の新旧名プロダクトが配置されている様はLabっぽさが強く伺えますね。

スタジオ向かいに位置するオフィスの方は撮影NGのため今回お見せする事は出来ませんが、FounderのBetty Bennett氏がECOをテーマに設計したという通り、植物の緑と太陽光が入り交じった美しいデザイン。南カリフォルニアの太陽光を利用した発電システムも搭載する等、デザインで市場をリードするブランドらしいモダンさを十分に感じさせてくれるものでした。

スタジオに戻った後はロジャーさん(下写真中央)に加え、以前フリーランスのエンジニアとしてオーシャンウェイスタジオ(昨年のArrivalレポートで登場)で働いていたデザインエンジニアのLucas Van Der Mee氏(下写真右)、そしてGreg Laney氏(下写真左奥)の3人をお迎えして独占インタビューを敢行! Apogeeの中でも古株だという三方勢揃いの貴重なインタビューをご覧下さい!

●全ての始まりはアナログフィルター開発! デジタルオーディオ市場をテクノロジーでリードするApogee History

1985年に創立されたApogeeヒストリーは『944 Filter』開発から始まります。CDメディアがリリースされて間もない当時のデジタルオーディオは暖かみの無い金属的なサウンドに終始しており、多くのエンジニア達からサウンド面での不満が噴出していました。Benet氏はアンチエイリアス・フィルタに原因があると考え、SONYの業務用24chレコーダーPCM3324用アクティブLow-Passフィルターを開発します。
当時3324用のフィルターのために$5000もの費用を投じるカスタマーは少なく、普及には時間がかかったとロジャー氏。しかし、確かなクオリティは確固たる評価へとつながり、944シリーズは1988年にグラミー賞『TECH AWARD』を受賞するなどApogeeにとって初めてのビッグヒットプロダクトとなりました。
その後も各種コンポーネントからワードクロックの開発に成功以降、Apogee最初のA/DコンバーターであるAD500(同Award受賞)、ディザリングアルゴリズムUV22(CUBASEユーザーならお馴染み)を始め、94年のハードウェアUV1000、96年のAD-1000にて立て続けにグラミーTECH AWARDを受賞。AD/DA、クロック、ディザリングとあらゆるデジタル技術/フォーマットに適応するだけのテクノロジーを手にしていったApogee Electronics。90年代半ばにDigidesign(現Avid)から直接開発を依頼されて作ったモデルAD-8000ではProToolsとの互換性を確保し、1998年のグラミーTECH AWARDを再び受賞するなど、その技術力は常にデジタルオーディオシーンをリードしてきた存在と言えます。

●ドラマッチックな向上をもたらせない限り始めない事。それがApogeeの哲学

これほどAD/DA、クロック、ディザリングに特化したきっかけについてロジャー氏は、『まず944Filter開発以降アップグレードするにはどうしたら良いか』を常に考えてきたと言います。その当時外部A/Dコンバーター自体が市場にほとんど存在せず、コンパクトでフレキシブルなコンバーターが市場から求められていました。デジタルオーディオ市場は日本と同じく、利便性は高くともまだまだ期待する音が得られない。『その当時原因はまだわからなかったが、その解決がやがてソリューションになるのでは』と思って進んだのがきっかけだと語ります。
その後先述の通り数多くリリースされていった名プロダクト達。最近ではI/Oシリーズの開発が盛んですが、次期ワードクロックモデル(Big Ben以降)の開発は予定されているかを伺ってみたところ、それは今のところ無いとGreg氏。
Greg:『次のクロックをを出すにはBIG BENから技術的な向上が必要なんだ。Apogeeの製品コンセプト、哲学として、ドラマッチックに向上をもたらせない限り始められない』
Roger:『テクノロジーにおけるメリットが無いものは意味がないと考えている。今はまさに大きな変化をもたらせるテクノロジーを探しているところなんだ』
なるほど、ApogeeをApogee足らしめる所以がそこなんですね。ではデザインに関して伺いますが、Appleとパートナーシップを組んだ『Duet』リリース以降デザインコンセプトが変わったイメージがあったのですが、きっかけは何だったのでしょうか?
Roger:『決してAppleとパートナーになったからではないよ。よりシンプルなデザインを求めた結果がその時だっただけなんだ。』
そうだったんですね。考えてみればDuetシリーズ以降ビッグノブスタイルのI/Oは爆発的に普及しましたよね。
Roger:『どれだけ模倣されたかが、そのプロダクトの価値を表しているんだよ(笑)』

●Symphony I/OがRock oN Award『Long Seller Award』を受賞! 最後は全員で記念撮影!!

Apogeeが生み出してきた様々なテクノロジーの融合、それは豊富なモジュール構成や各種フォーマットに対応するSymphony I/Oに色濃く象徴されていると言えるでしょう。2012年従来のApogeeファンだけでなく、新規ユーザーを獲得し続けたプロダクトとしてカスタマー投票と審査の元に『Long Seller Award』に同製品が輝いたのは同社の歴史を振り返れば必然と言えるのかもしれません。
現在はensembleが廃盤となり、4Pre+8LineのI/O製品としてQuartetが君臨。Symphonyも価格改定され、次なる動きも期待されるAPOGEEブランド。iOSでのハイサンプリング機はもちろん、業務ラインでの尖った製品発表も期待したいところです。
明日開催のNAMM SHOW内では新製品発表も控えているとの事! 続報にご期待下さい!!
最後にApogeスタッフとともに皆で記念撮影、皆さんNAMM設営直前のお忙しい中、本当にありがとうございました!

●Recording Equipmentに特化した人気SHOP、ビンテージキングLAへ

次に目指すのはダウンタウンに位置するビンテージキングLA。中古のコンソールやアウトボード販売というイメージが強かったのですが、一見さんお断りなクローズドな門構えで普段は完全予約制とのこと。(NAMM期間中なのでそのまま入ることができました)しかし店内に入ると、高さ2mはあろうかという木製のラックとコンソールが立ち並ぶ美しい内装に目を奪われます。店内には楽器類は無く、用途別のアウトボードとコンソール、マイクロフォンにだけフォーカスを絞り、一部ビンテージ以外は全て新品での展示となっていました。

こちらにはManeyやNEVEをはじめとする高級アウトボードたくさんマウントされていましたが、圧巻だったはズラリと並んだAPI500モジュール群。9Uの中に30個程のモジュールがギッシリとマウントされています。自分好みのチャンネルストリップやサウンドを自在に追い求められるようRock oNでも今後はこれくらいの展示を行ってVPRを日本で盛り上げて行きたいですね。

また各々のラックやコンソールは、たとえばマイクプリ、EQ、マスタリング、サミングアンプ、ポストプロダクション用などといったように、テーマ別に設置されてしました。コントロールサーフィスのコーナーには、Artist Mix、Artist Control、Avocetなどと同時に、Rock oNでもおなじみのニアフィールドモニターもズラリとセッティング。Focal、Adam、Avantone、EGGなど。スモールモニターの売れ線は日本もアメリカも共通点があるようですね。

驚いたのは、アナログレコードのカッティングをやっているということ。スタッフに優秀なカッティングマンがいて、あらゆるジャンルのVinylをカッティングしているらしいのです。マスタリング〜カッティングの過程をワンストップでできるのであれば、当然ながらクライアントの信頼もグンと上がるというものです。

そして奥の部屋にはモニタースピーカーを試聴できるリファレンススタジオが!Antelope社のクロックが数種類、Avid HD I/O、Apogee Symphony、Lynx Aurora 8、Antelop Eclipse 384など各社の最高峰レベルのインターフェースが使用されている模様。スタジオも壁、天井、床など独特な形状の内装で反射を防ぐ設計になっており、ラージモニターが所狭しと壁に埋め込まれていました。そしてここでもAPIが大活躍!コンソールにはModel 1608というAPI500モジュールがインストール可能なモデルが採用されています。(ただしモニターの設置場所を考えると、試聴する位置がスイートスポットから外れたりするかもしれませんが..)

●やはりビーチ!来て見てサンタモニカの風(古)を感じます!

 

さてスペースシャトルに音響機材と「モノ」いろいろ見て回ったので、一行は「ココロ」休まるビーチへ繰り出します。(もちろんこの季節は海水浴できませんが..)1月のLAは、ちょうど東京の4月くらいの心地よい気温。湿度も低く、サラリとした風が気持ちよいです。水平線は、カリフォルニア独特の色合いで、絶妙なグラデーション。朝焼け、夕焼けも特徴的で、まぎれもなくあの「ホテル・カリフォルニア」世界観です。そしてなぜか大砲(海辺の大砲って日本かよ!と思いましたが..)の上に頭を乗せて、パチリ。笑顔も自然とこみ上げてきます。お腹も減ってきたので、サンタモニカのアップルストアの近くで軽く食事を取り、来るショーレポート本番に向け気力、体力を蓄えます。

 

● 遂に明日! 2013 NAMM SHOWが開幕!! 今年は近年稀に見る新製品ラッシュ!! お見逃し無く!

夜のアナハイムコンベンションセンター付近には今年新たにモニュメントを始め、センターストリートや正面野外特設ステージ、LEDイルミネーションが美しい噴水の数々など昨年よりさらにスケールアップした風景が広がっています。明日からの開幕に向けて会場付近はLIVE三昧、テンションMAXでお届け致します! さぁ2013 NAMM SHOWは昨年を上回るほどの新製品ラッシュが予想されています!!新しいだけでなく、既成概念を壊すような衝撃的プロダクトにもご期待下さい!
会場からのリアルタイムなTweet、核心に迫る独占インタビュー動画など、新製品情報だけでないRock oNクオリティのレポートで、NAMM 2013の臨場感と熱気をお伝え致します!! 1st Dayレポートにご期待下さい!!

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  1. MacBookPro買ったんで、稲妻Duet出してくれたらいいなぁ〜

    山口 @ 2013年1月24日 9:40 PM

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