Alicia KeysやMary J. Bligeら多くの大物アーティストを手がけるトップ・エンジニア:トニー・マセラッティのミックス術がプラグインとして登場!!!
このところ以前にも増して勢いのあるWaves。言わずと知れたNo.1プラグイン・デベロッパーです。そんなWavesは今回、「Waves Signature Series」という新しいバンドル・ラインを発表していました。「Waves Signature Series」は、特定のソースに適したプロセッシング・フロー(シグナル処理の流れ)をそのままプラグイン化した製品で、著名なエンジニアやプロデューサーとのコラボレーションで開発されます。例えば、ニューヨークのあるエンジニアは、ベースのトラックに1176LNとAPIのEQ、そしてフランジャー・プリセットのSPX90を必ずインサートしますが、「Waves Signature Series」はその処理を丸ごと「ベース用プロセッサー」として1つのプラグインに収めてしまおうという試みなのです。これまでありそうで無かった、全く新しいタイプのプラグインですね。
その第一弾としてリリースされるのが、「The Tony Maserati Collection」。Mary J. BligeやBeyonce、Alicia Keysら数多くの大物を手がける、現代のR&Bのプロダクションを代表するエンジニア、トニー・マセラッティとのコラボレーションによって開発されたプラグイン・コレクションです。「The Tony Maserati Collection」は、以下の6種類のプラグインで構成されます。
1)Maserati VX1(ボーカル・トラック用プロセッサー)
2)Maserati DRM(ドラム・トラック用プロセッサー)
3)Maserati ACG(アコースティック・ギター・トラック用プロセッサー)
4)Maserati HMX(ハーモニック・ジェネレーター)
5)Maserati B72(ベース・トラック用プロセッサー)
6)Maserati GTi(ギター・トラック用プロセッサー)
このようにボーカル、ギター、ベース、ドラムと、楽曲の基本となるトラックのプロセッサーはすべて網羅されています。
例えば、Maserati VX1はEQ、ダイナミクス、ディレイ、リバーブの組み合わせで成り立っており、ボーカル・タイプに合わせて3種類のアルゴリズムを切り替えることが可能。その中の1つ、“Contour 3”というアルゴリズムには“Air”というパラメーターが用意されており、ボーカルにシルキーな“艶”を付加することができます。R&Bのトラック制作をしている人にとっては、このMaserati VX1だけでも“買い”なのではないでしょうか。WavesのWebサイトに掲げられている「ヒット・サウンドが欲しければ、The Tony Maserati Collectionで素早くトラッキングを行ってください」というキャッチ・コピーにも思わず頷いてしまいます。
また、ドラム・トラック用のMaserati DRMも強力。キック/スネア(トップ)/スネア(ボトム)/ハイハット/タム/オーバーヘッド/ルームという7種類のアルゴリズムをソースに合わせて選択したら、あとはSensitivityやThump(低域の周波数)、Trebleといったいくつかのパラメーターを(適当に)調整するだけで、カッコいいドラム・サウンドがすぐに出来上がってしまいます。うーむ……これは想像以上にヤバい製品かもしれません!
今回、NAMMの会場にはトニー・マセラッティ氏本人がやって来ていて、幸運にもじっくりとお話する機会に恵まれました。マセラッティ氏にその開発プロセスについて伺ったところ、まずは処理前のソース(裸のトラック)と処理後のソース(ファイナル・ミックスを終えたトラック)をWavesに送り、それをプログラマーがQ-Cloneなどを使って解析、あとはそこからいろいろと調整していく……というのが基本的な流れとのことでした。マセラッティ氏、意外にもアウトボードをメチャクチャ多用しているそうで、最終的なミックスもPro Tools|HDからApogeeのDAを通ってChandlerのMini Rack Mixerで行っているとのこと。Lexicon PCM70やヤマハREV1といった古いアウトボードも手放せないモノが多いらしく、そういった多くの機材で味付けされた処理が「The Tony Maserati Collection」に凝縮されているというわけですね。
非常に魅力的な新製品である「The Tony Maserati Collection」。R&B/ヒップホップのトラック制作に関わる人はもちろん、Pro Toolsで音楽制作を行うすべての人必携のプラグイン・スウィートと言えるかもしれません。エンジニア修行している人は、ミックスの勉強にもなると思います。
唯一、残念なのはネイティブ版(RTAS/Audio Suite/VST/Audio Units)のみのリリースで、TDM版が提供されないということ。これについては、将来的な対応予定を含めて現在Wavesに確認中です。
それではトニー・マセラッティ氏本人のデモンストレーションをご覧ください!
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2009.2.2、コメントの受け付けは終了致しました。感想、ご意見をお寄せ下さった皆様、ありがとうございました!
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いいですね、このプラグイン。
でも64bitに対応するのはいつなのでしょう??
Comment by 久保田 昌寿 — 2009 年 1 月 17 日 @ 10:47 PM
基本を網羅したWavesは新しい流れになってきていますね。
The Tony Maserati Collection
ルックスはなんだか暖かい音を出してくれそうですね,
実際の音はどうなんでしょうか?
Comment by nobe — 2009 年 1 月 17 日 @ 11:26 PM