昨年InterBeeにおいてヤマハフラッグシップコンソール「RIVAGE」登場の速報から早半年。「RIVAGE」の多機能性はさることながら、その直感的な操作性とインターフェイスは多少デジタルミキサーに経験のある方ならすぐにでも運用できるような磨きぬかれたプロダクトデザインでした。
今回、Musikmesse 2015においてはタッチパネルに最適化した直感的なユーザーインターフェースを核とする新開発の操作体系「TouchFlow Operation」を引っさげ、自宅スタジオから商業スタジオまでミキシングに関わる全てのユーザーに対し快適なオペレーションができるデジタルミキサー『TFシリーズ』3モデルが発表されました。
規模や目的に合わせて選べる3ラインアップ
今回発表された『TFシリーズ』には3モデルがラインナップされています。『TF5』はモノラル32ch入力、『TF3』はモノラル24ch入力、『TF1』はモノラル16ch入力構成で、それぞれにモノラル入力数+マスター1本のモーターフェーダーを備えています。
入力数やフェーダー数以外は使用が共通ですので、すべてのユーザーに対し『TFシリーズ』のクオリティが平等に与えられるとのこと。アナログ入力のほかiPad/iPhone/USBストレージデバイス/コンピューターなどからの再生音も入力ソースとして選択でき、USBデバイスへの2トラック録音やUSB接続によるマルチトラックレコーディングも対応してますので、レコーディングやPAなど様々な用途に使用されることでしょう。
TouchFlow Operation
タッチパネルだけで直感的にほとんどのオペレーションを行うことができるユーザーインターフェースがあることにより、クリエイターやエンジニアはより直感的で創造的なオペレーションができます。例えばライブPAなどの場合、操作子に目をとらわれて肝心のステージで演じられているステージから視線が離れっぱなしになってしまうことはもってのほかですね。『TFシリーズ』で採用されている「TouchFlow Operation」インターフェイスは、音を直接触る感覚で、素早く流れるようなスムーズなミキシングを行うことができるとのこと。
スワイプして上下左右にスクロールしたり
ドラッグしてEQを調整したり
ピンチでEQのQ幅を変更といったこともお手のものです。右下に配置されているTOUCH AND TURNノブは、「RIVAGE」の登場においても気に入った機能の一つであり、変化させたいパラメーターを液晶上で一度タッチしてから、細かくコントロールできるノブとなっています。
また「MGPシリーズ」「MGシリーズ」などで評価を得ている「1-knob COMP」機能や、今回『TFシリーズ』で採用された「1-knob EQ」を使用することにより、豊富な知識と経験が求められる熟練のエンジニアでなくとも直感的にコンプやEQを使用することができます。もちろんマニュアルモードで従来通りの詳細な調整もできますよ。
いたるところに簡単に使える仕掛けが満載
audio-technica、Sennheiser、Shureといったマイクメーカーや数々のサウンドエンジニアと協業し、数々のマイクや楽器、スピーカーシステム、インイヤーモニターを使用する際に即戦力として使えるプリセット、「QuickPro Presets」も搭載。これらを使用することによりシステムの最適な設定が完成できるとのこと。経験の浅い方にも非常にハードルが低くミキサーを手軽に採用できる親切な設計となっています。
iPadやPC/Macをコンソールとシームレスに連携して、プリセットの事前作成や、リモートコントロール。更に各演奏者が手元で自分のモニターミックスを作るキューシステムともなります。
『TFシリーズ』では、3つの専用アプリケーション、「TF Editor」「TF StageMix」「MonitorMix」が用意され「TF Editor」(PC/Macアプリケーション)では各種パラメーターの編集だけでなく、シーンデータ、プリセットの管理、キーボードによるチャンネルネーム入力などの機能を備え、時間や場所を問わずオフラインでの事前準備を効率良く行えます。
そして「TF StageMix」は『TFシリーズ』のワイヤレスコントロールを可能にするiPad用アプリケーションです。客席やモニタースピーカー前などのリスニングポジションで音を聴きながらリモートミックスを行なったり、コンソールの近くに置いて本体のユーザーインターフェースの拡張として使用することも可能。
「MonitorMix」、『TFシリーズ』のAuxミックスをワイヤレスでコントロールできるiPhone / iPod Touch用アプリケーションです。最大10台まで同時に使用することができ、各演奏者が手元で自分のモニターミックスを作ることが可能となり『TFシリーズ』を運用するにあたりエンジニア、ミュージシャン、オペレーターといずれも便利に使用ができるとのことです。
デジタルミキサーの導入のハードルを下げ、プロフェッショナルな要求に応える音質を実現させた、『TFシリーズ』。今まで02Rや01Vなどヤマハのデジタルミキサーを使用された方ならより興味がでることでしょう。この機能と操作性はイメージするだけでも自然な導入ができると思います。気になる価格はTF1が€2,500,TF3が€3,000,TF5が€3,500程度とのこと。なかなかコストパフォーマンスも高そうです。
最後にヤマハにおける物理モデル技術「VCM技術」を開発されたK’LabのDr. Kこと国本利文氏と「RIVAGE」前にてパチリ!
Writer 阪田
コメントを残す