音響理論と確かなプログラミング力、そしてその確かな音に対する解析力で名を轟かせているNugen Audio社。ラウドネス関連のソフトウェアが話題となる中で、今回登場したのはSEQのEQマッチング機能をステレオオーディオに特化したソフトウェア「SEQ-ST」が新登場。
SEQシリーズはEQカーブを直接書き込むことが可能なインターフェイスを用いオーディオを分析し、周波数特性の解析結果から最適なEQカーブを導き出すという優れもの。また、前述のEQマッチング機能を用いることによって音質の違いや音の不調和を一つのデータに照準を合わせ調和をとることができ、ポスプロ関係の編集現場では欠かせないツールとなっています。
その機能をステレオに絞り込み、よりリーズナブルにかつステレオのみの編集に最適化したものがSEQ-ST。放送関連にとどまらず音像解析やEQの設定の高度化を求めているユーザーに新たなる、EQの提案が可能になることは間違い無いありません。SEQ-Sと同様に位相のズレは全くないため、「音」を仕上げていくマスターの作業の一つの大きな提案と言えます。
また、同時期に行われるアップデートでは解析能力の飛躍的な向上に加え、L/R、M/S(SEQ-Sの場合はサラウンド対応)に対して3種類まで個別のEQカーブを記録させ独立設定が可能になり、より複雑な音像処理を可能にしている点も見所です。
また、IBC2015でAudioMedia誌のBest of the Showを受賞した「Halo Up Mix」も展示。こちらの製品はステレオのソースをサラウンドへアップミックスする際にオリジナルのステレオのソースのコンテンツを一切損なわず、かつアップミックス・パラメーターをGUIで直感的にコントロールすることが可能。空間中のエネルギーの分布を視覚的に示し、ファントムセンターとハードセンターの調整をする際には重宝すること間違いありません。
どちらの製品にも言えるのはNugen Audioが誇る、空間作りに対する「自然さ」である。キャラクターを損なうことなく音場のイメージを最適化する同社のこれからのさらなる進展に期待がかかります。