• 2015.12.24

All About iZotope ~ 革新プロダクトを送り出すブランドの素顔 ~ Vol.1


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MiMグローバルインタビューでは、先進的かつ野心的にサウンドの未来を探る人物、企業へインタビューを行いその発想の泉を探ります。今回は、USA Bostonを本拠地にし、飛躍的なテクノロジーでサプライズを起こすiZotope CEO Maek氏を訪問。その源泉から未来を予見させる言葉を探ります。


「革新的な技術力」、「既存製品のジャンルを刷新する新しさ」、「ユーザーの使いやすさを最優先」。iZotopeの製品を描写するなら、このような言葉が出てくるでしょうか?全て褒め言葉ばかりですが、ユーザーへの浸透や評価を見ると、この言葉に誇張はないと思います。この度、国内代理店であるTAC SYSTEM 山崎氏にご協力いただき、マサチューセッツ州ボストンにあるiZotope本社を訪問。CEOであるMark Ethier氏をはじめ、キーパーソンにお会いしお話をお伺いするとても貴重なチャンスを頂きました。この革新プロダクトを送り出し続けるiZotopeの素顔をお届けすべく、3回に分けてレポート記事を公開します。Sales RepresentativeのZac Kenney氏には、丁寧にオフィス内を案内していただきました。(この模様はVol.2でお伝えします。)この場を借りて、御礼申し上げます。

まず、今回のVol.1では、iZotope創始者の一人であり、CEOのMark Ethier氏のインタビューをお届けします。なかなかメディアに露出されることが少ないMarkさんへの貴重なインタビューになりました。iZotopeのフィロソフィーとは?素晴らしい製品を生み出してきた秘密は何なのか?を探ります。また、インタビュー前日にOzone7がリリースされたばかりという絶好のタイミングで、Ozone7の開発秘話や、今後予定している新製品について、ソフトウェアはもちろんのことハードウェアの可能性などもお伺いしました。


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iZotopeM_47__3Rock oN : 先ほどSales RepresentativeのZac Kenneyさんに素晴らしいオフィスとスタジオを見学させてもらいました(この模様はvol.2で公開しますのでご期待ください。)。今回は貴重な機会を頂きありがとうございます。この時間は、CEOであるMarkさんにインタビューし、iZotopeの原点についてお伺いしたいと思っています。まず、Markさんの生い立ちを伺えますか?

Mark Ethier氏(以降、Mark氏) : はい、よろしくお願いします! 私はボストンのアップサイドに生まれましたが、他の出資者の中にも同郷の者が数人いますが、私たちは共にマサチューセッツ工科大学(以降 MIT)に入学しました。MITには音楽とコンピューターサイエンスの学科があり、私たちは音楽科の学生で、クラシック科でした。私はピアノを弾き、学位は作曲科で取得しています。

Rock oN : MITに音楽のコースがあるとは知りませんでした。1つのキャンパスに科学と音楽の両方があるというのはとても面白いですね!

Mark氏 : ご存知の通りボストンにはたくさんの音楽学校があり、多くの教授がMITの他の学校でも教えていました。それが、カリキュラムの内容が充実している理由かもしれません。音楽と数学には通じる部分がたくさんあります。iZotopeはこの2つの「幸せな結婚」であると信じています!
私が友人とiZotopeを創立したのは、まだ私がMITに在籍していた時にさかのぼり、4年生の時です。音楽とコンピューターサイエンスを学んだ後、起業したいと考え、レコーディングについて学び、会社を設立するためにはコンピューターと音楽を一体にする必要があると気付いたんです。私たちの最初の製品は「Vinyl」ですが、この製品はアナログ・レコードをシミュレーションするために作りました。フリー・ソフトとして制作し、ウェブサイトにアップしましたが、直ぐにたくさんの人々がVinylをダウンロードしてくれたんです。2001年の事でしたが、成功を確信した私はその年の夏に数人の友人と地下室に居室兼オフィスを構え、その夏の終わりにOzoneをリリースしたんです。

About Boston
バークリー音楽大学

バークリー音楽大学


アメリカ マサチューセッツ州 州都である都市ボストンには、アメリカ最初の大学である、ご存知ハーバード大学や、Mark Ethier氏も出身である、多くのノーベル賞受賞者を輩出するマサチューセッツ工科大学(MIT)、そして音楽学校最高峰の1つに数えられるバークリー音楽大学があり、多くの優秀な学生が世界中から集まるアカデミックな側面を持つ。小澤征爾が常任指揮者を務めたボストン交響楽団、ニューヨークパンクシーンを彩ったジョナサンリッチマン率いるモダン・ラヴァーズやオルタナ最重要バンド、ピクシーズを輩出した街として音楽的に豊かな一面も。このような土壌が惹きつけるのか、iZotopeに加え、AVID、Cakewalk、Motuといった多くのソフトウェアブランドが本拠をここに構えている。


Rock oN : Ozoneはそんな初期からあった製品なのですね!?

Mark氏 : はい、Ozoneの最初のバージョンがリリースされたのは、私が大学を卒業した数ヶ月後です。なぜその夏の終わりにOzoneをリリースしたかというと、お金が必要だったのです。食べるためと家賃のためです(笑)。最初の1ヶ月のセールスはせいぜい$3,000~4,000だったと思いますが、その時はそれで十分でした。私たちは食料を手に入れ、部屋から追い出されずに済んだのですから(笑)。販売はウェブサイトのみ、対応OSはWindowのみ、フォーマットはDirectXのみでした。まだMacにもPro ToolsにもVSTにも対応していませんでした。

iZotopeM_45__3Rock oN : その時のOzoneはスタンドアロンのアプリケーションですか?

Mark氏 : いえ、プラグインです。この製品は、「私たちのような人たち」のために作りました。というのは、2000年頃にはコンピューターは十分な速度を持つようになり、自宅でのレコーディングが可能になっていました。しかし、多くの製品は商業スタジオ向けに作られており、Pro Toolsはホーム・レコーディングで使うには高価すぎました。そこで、ミュージシャンのための機材を作り始めることにしたのです。なぜなら、私たち自身が自宅でレコーディングするミュージシャンだったからです。

Rock oN : まるほど、ミュージシャンシップを感じるストーリーですね。ところで、社名をiZotopeにした理由は?

Mark氏 : ことばの響きがクールだったから!他に特別な理由はないですよ(笑)。ちなみにロゴはAdamからインスパイアされたものです(笑)。

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Rock oN : ソフト開発と音響解析の技術は、学生時代に身に付けたものですか?

Mark氏 : 音楽と科学はとても相性がいいと思います。私はピアニスト、キーボード・プレイヤーであり、よくライブでシンセサイザーも演奏しました。ですから、音楽の中で使われているテクノロジーにはいつも関心がありました。音楽と数学は1つになると思っています。脳内のクリエイティブな部分とロジカルな部分の融合で、レコーディングや音楽制作、オーディオ・エフェクトなど数学的に高度な処理が必要なことも、その動機になるのは音楽への関心があるからです。

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Rock oN : 製品を作ろうと思った時に、学生時代に学んだことを背景とした新しいアルゴリズムや音響的テクノロジーのアイデアを持っていたのですか?

Mark氏 : MITで音声信号のプロセッシングについての授業を受けていたので、自然にその知識をオーディオにあてはめることができました。また、調査研究と新製品開発についてのノウハウを経験する授業もありました。大学の中で調査をして、あるアイデアが実現できないことを理解したりしました。これは“Academic Researcher”、または“University Researcher”と呼ばれ、この経験が、実際に製品を開発する際に役立ちました。

Rock oN : Ozoneのアイデアは、学生時代に既にあったんですね?

Mark氏 : そうです。オンラインのフォーラムを見ていると、ユーザーがマスタリングに対して求めているものが何なのかがわかったんです。それは何かというと、多くの人がマスタリングとはなんなのかを理解できずにいた、ということです。そうした人たちはマスタリングのことをオンラインで「ブラック・アート」と呼んでいました。つまり、謎だという意味です。「何をどうしているのかさっぱりわからない、」と。私たちはOzoneを作りながら、マスタリングの個別の工程を全て詳細に学びました。それをユーザーに伝えようと思ったのです。それが、私たちが2001年にOzoneと同時に「マスタリング・ガイド」を公開した理由です。ユーザーはプロダクトと共に、どう使うのか、ということについてのエデュケーションを得ることができたのです。

Rock oN : マスタリングについて、MIT、あるいはどこかのスタジオで勉強されていたのでしょうか?

Mark氏 : いいえ、Bob Katzのマスタリング・ブックで学びました。どの作業をどのようにして行うのか、すべての要素を学びました。私が感じたのは、マスタリングは科学とかなり似ているということでした。ビットレートやサンプルレートなどがまさにそうでした。こうした部分は既によく理解していたので、クリエイティブな部分について目を向け、さらに深く学びました。

iZotopeM_22__3Rock oN : 謎に満ちていたマスタリングを科学的に分析するところから始められたということですね?

Mark氏 : 音楽的な経験はクリエイティブな領域のものです。対して、それを理解するのは科学的な側面です。これがマスタリングに関する難しい部分です。ディザー、サンプルレート・コンバージョン、リミッティング、エンコード等々。これらはすべて数学的なもので、私たちには理解しやすいものでしたが、多くのミュージシャンにとっては非常に難解な部分でした。当時はCDの時代でしたが、マスタリング・スタジオではまだ従来のツールが主流でした。プロフェッショナルのエンジニアであっても、ディザーやコンバージョンという概念を理解することに苦しんでいたのです。私たちはマスタリングに関する数学的な部分をシンプルにすることで、多くの人にやりたいことを実現できるツールを提供したかったのです。

Rock oN : iZotopeを設立した時に、この業界が今のように育っていくというイメージ、つまり、将来のビジネス・プランのようなものはあったのでしょうか?

Mark氏 : いいえ、自分でも驚いています(笑)。時が経つにつれ、より多くの人々が私たちの製品を気に入ってくれるようになり、コンシューマーからプロフェッショナル、音楽エンジニア、ポストプロダクションへと顧客層も厚くなっていきました。私たちは便利で面白いプロダクトを作りたいと願っていましたが、この会社が幾多の困難を乗り越え、ここまでの規模に成長するとは思っていませんでした。本当に驚いています。

Rock oN : 会社スタート時にご自身で考えていたミッションと、現在、会社でやろうとしているミッションに何か違いは感じますか?

Mark氏 : 変わっていないと思います。私たちのミッションは人々をクリエイティブな方向へインスパイアし、導くことです。ユーザーはプロダクトの使い方について知識を必要としていて、私たちはエデュケーション・プログラムを実施し、たくさんの目に見える具体的なフィードバックを提供したいと考えています。それは誰にでもできることではありません。また、私たちは常に新しいテクノロジーを創造しようとしています。そのためにリサーチや新しいアイデアを生み出すことを続けています。最初のインストゥルメントであるIrisを作った時、私たちは何か新しいものを作りたかったのです。単にアナログ・シンセサイザーの新機種を出すのではなく、新しいアイデアを実現したかったのです。Ozoneについても、常に新しいテクノロジーを実現するために努力しています。ですから、私たちのミッションは何も変わっていません。変わったことと言えば、当初は趣味のミュージシャンが主だったユーザー層でしたが、徐々に広がり、音楽制作とポストプロダクションのプロフェッショナルまでが私たちの顧客になったことです。これが一番大きな変化ですね!

Rock oN : ボストンには規模の大小を問わず、音楽制作ツールのメーカーが多くあります。ボストンを拠点にするアドバンテージはなんでしょう?

Mark氏 : 現在では、大学・研究機関と、技術に関して特にリレーションを持っているということではありませんが、MIT、バークリー音楽大学を始めとして、色々な学校で弊社について講演する機会があります。プロダクトが、なぜ、どのようにして作られたかということについて話すんですよ。それがきっかけになり、弊社に興味をを持ってもらい、会社スタッフとして採用される人もいます。

NYから移動すると本当にクリーンで穏やかな人と町並みへ風景が変わる。正にインディアンサマーの暖かなボストンへの訪問。

NYから移動すると本当にクリーンで穏やかな人と町並みへ風景が変わる。
正にインディアンサマーの暖かなボストンへの訪問。

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Rock oN : アナログからデジタルへの変化以後、同規模のインパクトを持ったイノベーションはオーディオの分野に起こっていないと思います。近い将来、これに匹敵するイノベーションがこれから起こるとお考えですか?

iZotopeM_67__2Mark氏 : 大きな変化は既に1つ起こっていると思っています。最初期のデジタル技術は単なるアナログのコピーでしかありませんでした。これに対してRXのようなプロダクトは全く新しいものです。かつて、有名なプロデューサーで私のメンターでもあるソロモンが言っていました。「RXを使って初めて、コンピューターがどれほどアナログと違うのかがわかった」と。ビジュアル・フィードバックをはじめ、RXでできることはハードウェアでは実現できません。私は、このことはアナログからデジタルへの変化以後、大きな飛躍の1つだと思っています。次の変化は、レコーディング、シェア、プロセスなどが多くの意味でもっと手軽なものになることだと思っています。商業スタジオやホーム・スタジオの中だけではなく、どんな場所もスタジオにしてしまう。iPadやiPhoneなどのモバイル・デバイスを使えばコラボレーションも手軽にできるようになります。これが次の大きな変化でしょうね。

オーディオ・プロセッシングは、よりスマート、よりインテリジェントになっています。オートマティックにできることはますます増えていくでしょう。私たちのフィロソフィーは「すべての人をクリエイティブにしたい。」ということです。ですから、コンピューターがオートマティックにできることがあるなら、私たちはそれを実現しようとします。だって、ノイズ除去が楽しい人なんていないでしょう? 仕方なくやっているはずです。それよりもクリエイティブな決断を下したり、ミックスをしたり、そういう部分の方が楽しいはずですよね!

Rock oN : 日本のエンジニアさんから「RXの機能は本当に便利だけど、私の仕事がなくなってしまう!」と言われたこともありますよ(笑)。

iZotopeM_6__2Mark氏 : ハハハ、私が知ってるエンジニアは、皆さん自分の仕事を愛しています。ですが、それはクリエイティブな部分があるからで、決して退屈な作業が好きではないと思います。私たちはユーザーが求めているものを作ろうとしており、そのための材料は揃っていると確信しています。その材料を統合して、シンプルかつ技術的に適切な製品に落とし込めることができます。だからこそ、ユーザーはiZotopeのプロダクトを信頼し、クリエイティブな側面に集中することができるのです。

Rock oN : 新しい体験をユーザーに提供しているOzoneですが、Ozone上で目にするエフェクトのパラメーターは見馴れたものばかりですし、Ozoneだけでなく、プロセッシングに関わるパラメーターというのは長い間変わっていません。次の新しいパラメーターということについてアイデアはありますか?

Mark氏 : あります。RXを見ていただければわかる通り、ダイアログやボーカルトラックをノーマライズする部分で、”S”音やブレス音の量をコントロールすることができます。歯擦音やブレス音を検出する感度を調整するパラメーターがあり、これは従来のアタック・タイムやリリース・タイム、ニーといったパラメーターとは別物です。ツールをコントロールするためではなく、プロセスの結果をコントロールするためのパラメーターです。従来のパラメーターは電気回路に由来するものでしたが、RXのこのパラメーターは電気回路とは無縁です。逆に電気回路では実現できません。その点で、新しいパラメーターと言えるでしょう。ハードウェアのコピーではなく、ソフトウェアだからこそ可能なことを実現するプロダクトを開発したい。それが”Brand New”だと思っています。

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Rock oN : ディストーションやサンプラーなど、新しいサウンド・プロセッシングの技術が新しい音楽ジャンルと密接に関係していることがありました。iZotopeが開発する新しいプロダクトは、新しい音楽とどのように関わっていくとお考えでしょうか?

Mark氏 : OzoneやRXはある意味で実用的なプロダクトと言えます。一方でIris、Trash、Stutter Edit、Breaktweakerといったまったく新しいプロダクトもあります。例えばIrisでは、ユーザーはまったくタイプの異なるサウンドを作ることができます。Stutter Editは使い方によってインストゥルメントにもエフェクトにもなります。これらのプロダクトがユーザーに新しい音楽スタイルのアイデアをもたらしてくれることを願っています。Ozoneがリリースされるまでは、多くの人は自分でマスタリングなんてできないと思っていました。しかし、今ではたくさんの人がOzoneを使っています。私にとって「インスパイア」とは、誰もが「できるわけない」と思っていたことをやってもらうことです。

Rock oN : オーディオ・プロセッシングのためのツールは市場に数多くありますが、iZotopeのプロダクトはどういった点で他社製品と違うとお考えですか?

Mark氏 : 2点あります。1つは、私たちの製品はユーザーが簡単に扱えるということを念頭にデザインしています。2つ目はプロセッシングに関わることですが、私たちは多くのものを1つに統合しています。通常、マルチエフェクターであっても各段階では個別に処理され、それらを繋げることで実現します。iZotopeの製品ではEQやコンプレッサーだけをかけた時でも、裏では他の色んな要素が処理されており、最良の結果が得られるようになっています。手軽に使えるユーザー・インターフェースでありながら、様々なアルゴリズムがシンプルに統合されているということが、私たちのプロダクトが持っているアドバンテージと言えるでしょう。

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Rock oN : 昨日、Ozone7がリリースされましたね。おめでとうございます!Ozone7にはビンテージ・プロセッシングが実装されました。このアルゴリズムは、どのようにして作られたのでしょうか?

izotope-ozone-7-box-and-uiMark氏 : リサーチ担当のスタッフによって、たくさんのハードウェアが集められました。彼らは部品を取り出し、再構築して新しいものを作ろうとしました。キャラクターや操作感は古いアナログ機材でありながら、何か新しいことができるものを作ろうとしたのです。昔の機材をエミュレートするのではなく、それらにインスパイアされた新しい何かを目指したのです。彼らの言葉によれば「オーセンティックなハードウェアでありながら、かつて存在しなかったモデル」ということです。

Rock oN : ビンテージ機材をソフトウェア化する際のアプローチは、その振る舞いを測定しているのでしょうか。それとも、回路をモデリングしているのでしょうか?

Mark氏 : 両方です。回路のモデリングと音響的な測定を行います。なぜなら、私たちにとって最も重要なことは「よい音がする」ことですので、自分たちがよいと思える音を見つけ、どうしたらその音が実現できるかを考えます。

Rock oN : 日本のマーケットやユーザーについてどうお考えですか?

Mark氏 : 日本は世界でもベストな市場の1つです。私たちのやっていること、プロダクトの持つパワーを理解して、作品の中で使ってもらっている。それはつまり、たくさんの人が音楽/映像、趣味/プロ、いずれにあっても私たちのプロダクトが便利であることをよく理解してくれていると考えています。これまでに6回ほど日本に行ったことがあり、Edius、任天堂、Sony、Canonなどいろいろな企業を訪問しました。素晴らしい人がたくさんいて、iZotopeと同じようにテクノロジーとクリエイティビティを統合することにみなさん情熱を抱いていました。

Rock oN : 御社のサポートポロシーについて質問があります。サポートは無期限だということですが本当ですか?

iZotopeM_52__2Mark氏 : 本当です! 私たちのプロダクトはとても使いやすいですし、たくさんの情報がウェブ上にあります。ですから、実際のところサポートが必要なユーザーはほとんどいません。たとえサポートを無期限にしても大きな負担ではないのです(笑)。もちろん、これをずっと続けていくのは大変なことです。ですが、私たちの考えではエデュケーションやサポートも、プロダクトと同様にユーザーの体験を形作るもので重要だからです。新しい機能を実装した時は必ずユーザーからフィードバックをもらいます。ユーザーが本当に求めているものを探りながら、サポートしていきます。

Rock oN : 3Dサラウンドについてはどうお考えですか? 特に、映像とともに体験する3Dサラウンドについてお伺いしたいのですが。

(「これを見てください!」と届いたばかりのVRヘッドセットを手にしながら答えるMark氏。)

Mark氏 : とても興味深い内容です。アメリカではホームサラウンドを推進する努力が続けられていますが、上手くいっていません。私が思うには、みんなそこら中にスピーカーがあるような状況は嫌なのではないでしょうか。たくさんのスピーカーと複雑なセッティングが必要ですからね。私が知る限り、Soundbirdsがバーチャル・サラウンドでいい結果を出しています。私はこの方向を追求する方がいいのではないかと思っています。しかし、みなさんセンター・チャンネルをどこに置くかに神経質になっています。IBCでDolbyのデモンストレーションを見たのですが、彼らはヘッドホンで3Dサラウンドを上手く再現しており、とても興味をそそられました。

私たちは主にミックスが3Dになる前の段階に関わっていると考えています。オーディオのチャンネルを増やそうと考えたこともありますが、RXでダイアログを作業する時のことを考えると、エディットにしろリペアにしろ、作業自体はモノ・チャンネルで行われます。ですから、結果的にはチャンネル数はステレオに留まっています。3Dサラウンドが普及する場はホーム・シアターではなく、映画館でしょう。アメリカでは映画産業は非常に大きなマーケットですからね。

Rock oN : 差し支えなければ、開発中の新製品はありますか?

Mark氏 : 世界中のミュージシャンやエンジニアを見てきて、未来に何が起こるかを考えてきました。近い将来、音楽制作はどのようになっているか、その時、ミュージシャンやエンジニアはどんなツールを必要とするだろうか、次のレボリューションは何だろうか、とね。そして、その答えに達し、現在、開発中の製品があります。その製品はエンジニアだけではなく、ミュージシャンに注目しています。どうしたら彼らをもっとレコーディングやプロダクションに直結させられるか、ということを主題にしています。

Rock oN : ソフトウェアはもちろんのこと、ハードウェアの可能性もありますか?

Mark氏 : 公式にアナウンスしていないのでまだ秘密ですが、来年リリースの予定ですので楽しみにしていてください!!

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iZotopeM_61__2Rock oN : 会社がこれだけ急成長を遂げた理由を伺ってもよいでしょうか? どういう分野の成長が要因になっているのでしょうか?

Mark氏 : 音楽とポストプロダクションのセクションがありますが、どちらも同等に成長しています。私たちはより広く世界中に製品を届けることができるようになりましたし、プロダクトも増えました。この2つが成長の大きな要因だと考えています。スタッフの数も増やしたいと考えています。ボストンには才能溢れた人材がたくさんいます。当社がユニークなのは、セールス、マーケティング、エンジニアリング、プロダクト・マネージメントなどの部署に加えて、エデュケーション専門のチームを持っていることです。さらに開発部門から独立したリサーチ専門のチームも持っています。この2つは他の企業にはあまりない部署ではないでしょうか。特に小さな企業ではリサーチのための独立したチームを持っていることは稀です。専門のチームであることで、1つのプロジェクトに、より長い期間をかけてることができます。エデュケーション・チームは今年立ち上げたばかりですが、1つのプロダクトについてだけでなく、複数のプロダクトの組み合わせ方についてのエデュケーションも行います。ですから、ユーザーはiZotopeの製品を使い始めた時から、RXやOzoneでベストな結果を出すための方法を学ぶことができます。

Rock oN : Markさんは今でも製品の開発に加わるのですか?

Mark氏 : さすがにもう自分でプログラムを書くことはありません(笑)が、プログラマーに意見を伝えることは積極的に行っています。私たち社内にはコラボレーションの文化があり、社内中からアイデアが集まってきます。隔週金曜日には全社員が集まるデモンストレーションを行い、参加者は実際にOzoneやRXを使って、新機能のアイデアなどをフィードバックします。100人以上が集まりますので、まるで展示会です(笑)。いくつかテーブルを用意し、それぞれの場所でプレゼンテーションを行いますが、参加者は自由に歩き回ったり、座って見ることもできます。

社員が集まる食堂にはDJスペースも設けられている。

社員が集まる食堂にはDJスペースも設けられている。

Rock oN : 最後の質問です。とても大きな空間で、すごく光と木が調和し高い天井がもたらす快適な(Vol.2で全貌を公開予定です。ご期待ください!)オフィスであることに驚いています。多様なミーティングルームが点在して、リアルなスタジオまで配置されています。このオフィスはあなたがデザインしたのですか?

Mark氏 : そうです! 2、3年は変える必要のないよう、精力的にデザインしました。見た目にも居心地的にも文化的なものにしたかったんです。開放的な空間設計、窓からの自然光をメインにした照明、ミーティングのための大きなスペース。まるで家にいるような、または自然の中にいるようなフィーリングを感じられるものにしたかったのです。とても気に入っています。

Rock oN : 本日はお忙しい中、ありがとうございました!

Mark氏 : こちらこそありがとうございます。新しいオフィスにお招きすることができて嬉しく思っています!日本ユーザーに心から感謝致します!

ます、iZotopeの素顔を探るにあたり、最重要パーソンであるCEO Mark Ethier氏にお話をお伺いすることができた貴重なインタビュー、いかがだったでしょうか? 実際お会いして、温厚で謙虚な話し方が印象的でした。また、その海の様に深いブルー目の奥には、強い信念と無邪気な好奇心を感じさせ、魅力的なパワーを放っていました!

「優れたテクノロジーを有する」論理的で厳密な側面と、「すべてはクリエイティブのため」といった柔らかな発想の側面のバランスの良さ。あくまでも、製品を使う目的は「人を感動させる作品を生み出すため」といった信念が、創業時から今まで変わらず、ブレずに続いているという空気を感じました。数々の革新的プロダクトを生んできた土壌は、Mark氏のこういったパーソナリティが育んできた結果であり、そのいいバイブレーションが新しいオフィス内に広がっていました。

2016年に予定されている新製品も含め、そのizotopeプロダクトの展開は未来の音楽へつながると感じています。


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さて、Vol.2では、Sales RepresentativeのZac Kenney氏にiZotopeの新しいオフィス内やiZotope Studiosを案内してもらいます。また、Vol.3では、社内で完全に独立したセクションであるリサーチ部門のマネージャーAaron Wishnick氏に、iZotope製品の基幹をなす技術的側面に焦点を当て、お話をお伺いしました。

引き続きご期待ください!

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