2015年9月4日〜6日にかけて、東京・千代田区の日本武道館にてHATSUNE MIKU マジカルミライ 2015が開催された。
マジカルミライとは、今やひとつのカルチャーのジャンルとして確立されたのではないかというVOCALOIDから初音ミクを筆頭とするキャラクター達が、画面の向こうから抜け出して現実の会場でライブ・パフォーマンスするという、今年で3年目になるイベントです。
3日間あるライブの内、RockoN Webスタッフが9月6日金曜のライブに参加しました。
会場となったのは日本武道館。開演10分前に到着したときには、ほぼ席が埋まり、会場に流れるBGMに合わせて既にペンライトが振られている状態でした。
5分押しで会場が暗転すると、一気にその場のテンションがヒートアップ!オープニングアクトがはじまった瞬間にそのテンションはMAXになります。1曲目は、初音ミクというものがネットを介し世界でも受け入れられたと認識させられた、GoogleのCMでおなじみ「Tell Your World」。初音ミクの代表曲とも言える曲が流れたことで、会場の一体となってヒートアップ!
「初音ミクが、そこにいる!!」
曲とともにステージ上に登場した初音ミク。外見こそはゲームで見慣れたそのままのように見えますが、なんというか、存在感と重みが全く違います。若干心配していた3D臭さはほぼ無く、他の一般的なライブのように「普通に」初音ミクのパフォーマンスを感じ、楽しめます。
会場に3面ある大型スクリーンに映し出されたときに気づいたのですが、衣装の質感がとても奇麗にリアルに再現されていました。光の反射で衣装の素材間が分かるかのような、そんな感じです。また、パフォーマンス中はステージ上を左右に広く踊るのですが、いくつかのスポットライトの間で踊るように、暗いところと明るいところとを移動します。その際の光の当たり具合が、非常に自然に立体的に表現されていました。
さらに、技術的にその体は投影されているというのはわかるのですが、映像的なブレといいますか、そういうものが感じられず、現実にステージ上にいるかのように錯覚してしまう程。これらが合わさって、まさしく「初音ミクがステージ上に存在している!」と実感してしまいました。
↑こちらはマジカルミライ2013のリハーサル風景。このように地道な作業の積み重ねで、ミクは踊り歌うのです。
多彩な楽曲とキャラクター
その存在感に驚いている合間にもライブは進行してゆきます。とにかく多いVOCALOIDの曲ですが、楽曲はこのイベント用に発売されたOfficial CDに収録されたモノがメインで、そのジャンルはEDMからバラードまでと幅広いものになっています。
ライブ前半はアップテンポの楽曲やVOCALOIDが得意とする人には歌うことがほぼ不可能な早口な楽曲等でテンションがガンガンあがっていき、参加者が若干疲れたかな、というところでゲームにも収録されている名バラード曲の「深海少女」やセツナ系楽曲の「glow」などを合間に入れながら冷めすぎない程度にミドルテンポの曲なんかも歌っていきます。
また、ライブ中には他のVOCALOIDファミリーである鏡音リン・レン、巡音ルカ、KAITO、MEIKOといったキャラクターたちが登場し、それぞれのキャラクター用の楽曲をソロで/初音ミクとデュエットで、といったまさに見せるステージを展開していました。
途中からは初音ミク自身も楽曲により衣装、スタイリングをガラリと変え、大変多くの楽曲、バリエーションを楽しみ感じることができます。VOCALOIDは歌わせることに特化したソフトなのでトークを作るのは苦手とするところですが、若干つたないながらも挨拶程度のトークなどもあり、そこでまた会場が沸きあがっていました。
会場の一体感は鳥肌モノ
常に盛り上がる会場ですが、ほとんどの参加者の手には色を変えられるペンライトが。現在様々なものが発売されているようですが、イベントで公式に発売されていたものは「キングブレード」というもので、ボタンを押すと設定した色に切り替えられるものになります。今回、観覧した場所は後ろ側だったのですが、会場全体でリズムに合わせてペンライトを振り、またキャラクターや楽曲が変わるとそのイメージカラーに合わせた色に素早く切り替わるなど、さも統率されたかのような全体の一体感にぞくぞくしました。
最後の楽曲「ハジメテノオト」などは参加者が一体となり大合唱。すべてが終わって照明が明るくなったあとも、その余韻を味わっているかのように、ペンライトを振り席から離れる人がなかなかいなかったのが印象的でした。
このマジカルミライというライブは、いつもは画面の向こうでパフォーマンスしている「初音ミク」が、画面という制限を取っ払って、多くのファンとともに、ひとときの時間だけ熱く燃え上がる、そんなイベントなのではないのかと感じました。
会場の盛り上がりも、一体感も、他の一般的なライブコンサートと何も変わらず、もしくはそれ以上に何の違和感も無くとにかく楽しく熱狂的で最高に盛り上がれるライブです。
ちょっと興味が有る、興味があるがまだ参加していない、初音ミクとは何なんだろう?、そんな方は是非ともマジカルミライに参加して、現実に現れ、そこに確実に存在するリアルな「初音ミク」を体験してみてください。
今回、マジカルミライと併設された企画展ですが、日本武道館近く、科学技術館の1階をメインに行われました。
概要としては、ほぼグッズに関するものになっており、様々なグッズや、今後発売予定のフィギュアのモックアップ、製作が発表されたばかりの「初音ミク -Project DIVA- X」の試遊、PlayStation PROJECT MORPHEUS等も体験するスペースが設けられていた。
7つ程に分かれている部屋のうちの1つでは、クリプトン・フューチャー・メディア SONICWIREチームが「VOCALOID」に関する展示を、YAHAMAからは「ウェブキャスティングミキサー AG03-MIKU」を用いたニコニコ生放送のノウハウ体験講座を展開していました。
クリプトン・フューチャー・メディア
SONICWIREチーム
クリプトン・フューチャー・メディア SONICWIREチームのブースでは、初音ミク V3、巡音ルカ V4X、KAITO V3、MEIKO V3を展示販売、当日購入で「クリプトン・フューチャー・メディア公認 初音ミク V3 徹底攻略ガイドブック 調声からDAWでの曲作りまでがわかる本」が特典として付いてくるお得な内容となっており、見ている間に2〜3人がするりと購入していった。
ブース内では、Piapro StudioがiMacで立ち上がっており、体験できるようになっていたが、見ていると体験というよりPiapro Studioを普段使っている方々が疑問に思っている事を聞きにブースを訪れ、疑問を解消する〜といったものが多かった。
また、iMacの前にはNI MASCHINE MK2が置いてあり、これを使った「HATSUNE MIKU GLITCH VOCAL TOOL」のデモンストレーションも行っていた。Ableton Liveを使い、それぞれのパッドにアサイン、パッドを叩く、押す等することで発音し、奏でるといったツールで今年(2015年)8月にリリースされたばかりである。
アサインした声をぶつ切り表現したり、スクラッチしたような表現をしたりと、楽曲のスパイスとして利用できるのではないだろうか。
YAHAMA
ウェブキャスティングミキサー AG03-MIKU
YAHAMAのブースでは「ウェブキャスティングミキサー AG03-MIKU」をPCとともに2セット準備し、その場でやりたい事や疑問点を聞き、解説しながら実際に配信をするところまで体験できるように展示していた。「AG03-MIKU」は、入力はマイク用1チャンネル、音楽用2チャンネルといった非常に割り切ったシンプルな内容でありながら、配信時に必要となるループバック機能とUSBオーディオインターフェース機能を備えた個人配信用に特化したミキサーである。
ブース内にはニコ生主さんがおり、隣で機能等を解説しながら配信までのセットアップを行い、最後は一緒に楽しく会話、配信していた。
音楽に関する展示は一部でしかなかったが、全体を見通すと、普段は見れないフィギュアのモックアップや試作品にオフィシャルでも使用されているイラストの絵師の方々の色紙・コメントの展示、発売前の新作ゲームの試遊や体験、会場限定のグッズ販売、はたまた北海道観光協会の展示など、内容は幅広く初音ミクのファンなら非常に充実し楽しめた展示だったのではないだろうか。
Writer. Toshima
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