2014年3月の衝撃的デビューから、AIRA旋風が巻き起こる事早三ヶ月、遂にAIRA唯一の鍵盤型シンセにしてPlug-Out対応機のSystem-1の予約が開始!!他機種に比べ、情報が少ないSystem-1、新機能「PLUG-OUT」とは一体何なのか!?AIRA Rock oN Lab.がたっぷりご紹介致します!!
AIRAシリーズで唯一「PLUG-OUT」に対応
Roland AIRAシリーズだけが持つ3つの特徴のうちの1つが「PLUG-OUT」だ。アナログ回路を部品単位で再現するモデリング技術である「ACB(Analog Circuit Behavior)」、そしてサウンドを24bit/96kHzで内部サンプリングし、瞬時にエディットしてまき散らす新型エフェクト「SCATTER」につぐ3つ目の機能だ。
これらを全て搭載しているのはこのSystem-1だけである。
「PLUG-OUT」とはRolandがACBテクノロジーによって開発したレガシーサウンドのソフトウェアシンセサイザーを、Mac/PCからSystem-1に持ち出す機能の事である。制作時にはMac/PC上で作り込み、ライブ時にはハードに落とし込んで持ち運べるという、まさに制作とライブの垣根を壊す機能だ。
なおSystem-1用のソフトウェアシンサイザーシリーズは順次販売される予定である。現時点ではSH-101の発売がアナウンスされているが、今後ACBによるRolandのヴィンテージサウンドが多数登場するとの事なので、私個人としては是非JUPITERシリーズやSH-2に期待したい!
これぞCreate Today , Play Tonight!
制作で使うソフトシンセをライブ用としてハードウェアで持ち出せるという「PLUG-OUT」のコンセプトは今までに無いものだ。AIRAのテーマである「Create Today,Play Tonight」を最も体現している機能と言えるだろう。
AIRA Rock oN Lab.で何度も書いている通り、AIRAシリーズは新世代のダンスミュージッククリエイターを主なターゲットとして作られている。エレクトロニックミュージックのクリエイター達はライブではなく(もしくはライブと称して)DJ的なパフォーマンスをする事が多い。
なぜか?それはDAW上でソフトシンセを複雑にエディットしてエフェクトをたっぷりと掛けて作り込んだ音色を、実際に演奏で再現する事は難しく、またDAWのシーケンス上で全てトリガーする事はクラッシュ等トラブルのリスクを負う事になるからだ。その点、作り込んだ音色をオーディオで書き出してしまえば、あとはループを組むかそのまま再生ボタンを押すだけでパフォーマンスができる。エフェクト操作に集中する事もできるだろう。
しかし昨今ではより「ライブ感」「フィジカル感」を重要視する流れが出て来た。James BlakeやMount Kimbieなど積極的に生演奏を取り入れているアーティストが増えて来ているのである。その背景には、PCの画面を見つめて黙々とMIDIコントローラを操作しているだけのライブがリスナーの目に新鮮に映らなくなってきている事実があると思う。
Mac/PCは完全に制作の主流になったが、ライブの現場ではまだまだ安定性に課題が残る。その点、System-1はスタンドアローンのハードシンセとして動作する為、現場での不安は微塵も無い。System-1は今の時代に流れに沿って登場した、制作でもライブでもシームレスに使う事が出来る唯一のシンセサイザーなのである。
Roland資産をDSPで組上げたSystem-1オリジナル音源
System-1は本体に2つのシンセサイザーを同時に持つ事ができる。1つはPLUG-OUT用ソフトウェアシンセサイザー、そしてもう1つがSystem-1オリジナルのシンセサイザーだ。TR-8、TB-3、System-1の音源は全てACBによって作られている。ACBはアナログ回路のモデリングなので当然出てくるサウンドはアナログシンセサイザーのそれだ。
Rolandによれば、System-1オリジナルサウンドは、モデルは不明だがACBによって様々なRoland歴代のアナログシンセをパーツレベルで解析し、一番良い組み合わせをDSPエンジニアが組んでいるという。そしてそれはただの復刻ではなく、ACBを使ってエンジニアが自由な発想で調整したサウンドである。いわばキメラ的なシンセなのである。
PLUG-OUT用のソフトシンセがアナログシンセの復刻になるので、System-1はもう少しエッジの聞いた派手目な音になっている。クリアかつ芯のあるサウンドで非常に抜けが良い。筆者がSYNTH BARのライブイベントでデモ演奏を聞いた時はJimmy Edgerのアルバムで聴けそうなサウンドという印象を覚えた。ドライなテクノにも使えるし、ファンクっぽいベースにもぴったりだろう。
サウンドを特徴づける要素として波形のユニークさとクロスモジュレーション等の豊富なモジュレーション機能が挙げられる。オシレーターには通常のSAW、SQUAREといった波形の他にRoland JP-8000で一世を風靡したSuper SAWや今回初めて搭載されたSuper SQUAREなど強烈な分厚さを持った波形が搭載されている。4つのオシレーター(OSC1,OSC2,SUB,NOISE)は同時にミックス可能。更にAMP段には「トーン」と「クラッシュ」が用意されており、現代的な歪みサウンドもお手ものである。Dave Smith Instrumentの各製品やNord Lead4なども歪みについては近年多くのパラメーターを搭載し始めているので、この辺りはある種トレンドと言えるだろう。
また、LFOも従来の二倍以上のスピードがあり、それを勿論ツマミでコントロール出来る為に非常にアグレッシブな従来のアナログシンセでは再現出来ないサウンド表現も可能だ。
Roland史上最もコンパクトな本格シンセサイザー!
他のAIRAシリーズ同様、System-1もラップトップPCとの併用を考慮し、本体はとてもコンパクトで薄い。Roland史上最もコンパクトな本格シンセサイザーである。薄型ながらも通常の鍵盤サイズのため演奏には支障がない。アフタータッチの非搭載もコンセプトありきなら許せるだろう。
また本体左下の新設計のジョグホイールはSCATTER、ピッチベンド、アルペジエイターをコントロールできるユニークな使用。薄型のためスティックタイプでは無くした事で、新たな機能を豊富に盛り込んでいる部分が非常に好印象である。
なおSystem-1のSCATTERは他機種と異なり、唯一MIDIに働きかける。System-1内部のMIDI情報にSCATTERを掛ける事でパラメーターをランダムに変調し、ダイナミックな音色変化をもたらす。
10種類のSCATTERが強烈なのはTR-8やTB-3でも証明済みだ。もしこのSCATTER情報がMIDI CCで外部に吐き出す事が出来れば、非常に面白いだろう。ELEKTRONのパラメーターロックやSCHRITTMACHERのシーケンスよりも直感的にMIDIによる複雑な音色変化が期待出来るかもしれない。将来的な実現にAIRA Rock oN Lab.として大きな期待を寄せたい。
書ききれない程の機能と特徴を持つSystem-1、AIRA Rock oN Lab.では今後実機レビューや動画など豊富なコンテンツを予定しています。是非お楽しみに!!
本日から予約開始です!!
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