Pt1ではRoland AIRAシリーズの誕生背景や、現代に息づく808/909サウンド、そしてACBテクノロジーについて語ってきました。オリジナルTR-808やACBテクノロジーについてモーリー・ロバートソンさんならではの視点で掘り下げ超濃厚な内容となったPart1、今回はUSBやMIDI、CV/GATEといった規格による機器のネットワークについてや、アナログシンセの歴史について更にググっとDEEPに掘り下げ、最後はシンセサイザーや音楽の本質にまで迫る超絶DEEP内容ですよ!
USB、CV/GATE、MIDI 別のワールドを繋げる
ACID渋谷(以下 渋):ACBテクノロジーと一緒にAIRAシリーズに搭載されている機能として、USB2.0のオーディオインターフェースがありますね。オリジナルTR/TBファンは驚いたポイントだと思いますが、狙いは何だったのでしょうか?
高見さん(以下 高):正に今ここで展開しているモーリーさんのセットにも言える事ですが、明らかに世界感の違う機器が同士が接続されていますよね。今はパソコン無しには音楽制作もライブの出来ないという状況が確実にあると思います。ハード機器がPCと直接対話出来る口を必ず付けるべきだと感じ、USBインターフェース機能を付けました。
モーリー・ロバートソンさん(以下 モ):USBの搭載は大歓迎です。将来的にはモジュラーシンセにUSBファンクションが付いて、それを繋ぐだけで誰のどんなシステムであっても上手く動作するようになれば嬉しいですね。今でも一部で似たようなことは実現していて、パッチケーブルを外してもiPadにセッティング情報を保存できるという方式も出てきています。
ですが私はもう少しノートのオン・オフなどのコントロール情報に対してもっとレイテンシーを少なくする形で、ダイレクトに保存出来たら良いなと思います。USBを挿せるモジュラーシンセが登場すれば恐らくそこで起きている電圧の変化が全てDAWに波形として、いわゆる周期性の無いDC波形として記録される。そうするとシーケンサーがCVの動いた記録のストレージになります。
渋:電圧をシーケンサーに記録するという事ですか?
モ:はい。将来的には、CVとGATEだけを記録するシーケンサーやサンプラーなどが出て来ても面白いと思います。サンプラーが波形を出すような感じで電圧を「ポン出し」してトラッキングする事になりますから、間にMIDIケーブルやインターフェースが不要になってしまいますよね。
そしてシーケンサーの場合にはその記憶した電圧をPhotoshopのブラシツールのようなもので直接書いたりする。これが出来るようになったら相当面白いですね。本当のマン・マシーンというか。
CVをAbleton Liveにストレージ
渋:面白いですね、今回USBが搭載されましたが、機器同士の関係性は一対一ですよね。それを今後どうネットワーク化するのかというのも課題として考えれますね。そうするとモーリーさんの今の意見は多分もしかしたら本当に将来あるかもしれない。エディターさえあれば内部処理してるんだったら送り込む事もできますからね。
モ:そうですね、一部のサードパーティのプラグインでMIDIをなるべく正確にCVに出力しようとしている物があります。私が現在Rock oNのメルマガのコラムで再三取り上げているイギリスの人が出してる4000円くらいのプラグインですけど、それは要するにらDCを出す訳ですよね。でもLFOの波形をモーフィングしたり、スピードを変える場合、今はシーケンサーでコントロールチェンジみたいなのを沢山書かなければいけない。
渋:モジュラーシンセやアナログシンセ本来のフィジカルな部分が失われる作業になる訳ですね。
モ:そうです。直接性が無い訳ですよね。むしろこう手でガチャンって動かしてるみたい。この事を例のイギリスの人に手紙で伝えたんです。Native Instruments MASSIVEみたいに出来ないんですかと。すると彼からのアドバイスはLFOとかのここで言ったCVをAbletonLiveで録音するというものでした。実際にやってみると本当に0.5Hzとか耳に聴こえない波形がちゃんと録音されてるんですよね。
渋:LFOの波形がオーディオで録音されているという事ですか?
モ:そうです。オーディオでです。
渋:はるほど〜。LFOも可聴帯域外のオシレーターですからね。これは興味深いですね〜。
モ:しかも始まりと終わりのビットがキッチリと合ってるからそれをループさせてもブツって言わないんです。そしてそれを実際にオーディオトラックから並べて吐き出すと、モジュラーシンセがそのままちゃんと動くんです。
しかもそれだけじゃないんです。LFOは周期性は当然周期性がありますよね。試しに周期性のないフリーケンシーを演奏してみたんですよ。民族音楽の楽器とか声音ではない音楽ですね。そういった音のピッチ情報って独特な動きをしますが、それも録れるかなって思ってやったら本当にこんな変なカーブ録れましたね。
一同:おぉ〜〜〜〜。
モ:だからもうDCではないAC信号もすでにAbleton Liveの中に録ってそれをサンプラーみたいにポンってパッドで押して出す事も出来るんです。実験的には非常に不安定ですけど。でも本当の意味でのノートオフの電圧は結構揺れがあるんですよね。
渋:MIDIってスレッショルドもあるんじゃなかったでしたっけ?
モ:正確には覚えていませんが、ゲートオン、つまりノートオンを認識する為には最低電圧というものがあり、結構その幅が多いので、MIDI信号ってのは別にパキパキに送られてるわけでは無くてもう少し揺れがあるんじゃなかったかな。
何が言いたいかと言うと、ケーブルを通ってるMIDI情報も単純な0と1が流れているのではなく、インテグレートされたふにゃふにゃをエンコード、デコードしてるだけで、語弊を恐れずに言うなればNTTの導線と変わらないんですね。つまりMIDIになったからってCVゲートを脱皮した訳ではないというこなんですよ。
渋:なるほど、ただ90年代の人達は完全にデジタル化されたと思いたかった訳ですね。
モ:そうそうそう。でMIDI全盛のデジタルシンセのサウンドなどが何となく薄くて物足りなくなって、「気持ちよくない」「何でだろう」としょげた時に、アナログシンセのリバイバルや、それこそTR-808みたいな35年前の機材をガンガン使い出した。だからぐるっと回ってきた気がするんですよね。
そういう意味でも今こそ本来の電圧とはなんだったのかを考え直そうと。先輩のエンジニア達の意見も参考にしながらも、何か新しい世界観で電圧を共有しましょうという事ですね。
渋:すごい!!そう考えると、今のDAWというのはストレージの意味で最高のツールですよね。LFOの周波数帯域まで収録できる訳ですからね。リアルタイムでしか表現出来なかった音が、再現できるようになったと。
モ:アナログで創るかデジタルで創るかだけではなく、もっと根っこの部分ですよね。
一同:面白いですね〜。
今、ハードウェアに求められる事
渋:TR-808の名前が出た所で、改めてAIRA TR−8の印象を伺います。
モ:スムーズに良いですね。私も自らのモジュラーなどを使って、MASSIVEなどのCPUだけで動いてるような楽器とどうやってアナログをしっくりなじませるかっていう工夫をしばらくずっと試していましたので、大体どんな薄い音源を与えられても容易にサチュレーションとかディストーションして汚して馴染ませる事できますが、
TR-8の場合は単純にその手間が省けて嬉しいですね。あんまり色々やらなくてもそのままジャムセッションが出来るのは良いですよ。
渋:楽器としての操作性などは如何でしょうか?
モ:そうですね35年前の機材だと音は最高だけど操作が難しいという事が多々ありましたよね。その後操作性が良くなったが音が薄いと。その2択しかなかったですよね。その状態だと常にその2つを頭の中で比較してしまうので、素直に「直感で全部やりたい」っていう風に思えないんですよね。でもAIRA TR-8はその両方が兼ね備えられてきてる気がします。
高:AIRAをやるに当たって、一番最初、ハードウェアの形を作る時に窓をとるところから始めたんですよ。メニューをなくす、システム設定は一応載せてるんですけど、簡単には弄れないようにする。結構な覚悟だったんですけど、それやったことによってそのソフトの後に入れたソフトのUIとしては触った瞬間に何かが起きる。
触った結果は大切な音に返すっていうものになれたんで窓を取ったっていうのは結果としてはこういうフィジカルな世界に近づけたと思います。
モ:そうですね。コントローラ全般が触ったまんまコンピュータの方に向かなくていいっていうことがだんだん大前提になりつつあるというか、それだけLiveとかをDJたちが使い始めたからじゃないかな。もう今年あたりからやっと「PCDJ」って言葉はなくなるかもしれないですね。
いわゆる「PCでDJしててなんでそんな事気にしてんの」というネーミングだと思うんですよ。2年前とかだとまだコンピュータを置くラックがクラブになかったりするんですよ。あっても渋々置かれていた。
渋:なんとなく迷惑がられる。
モ:そうそう。迷惑行為としてパソコンの持ち込みとかあったけど、今はもう持ち込んで当たり前だし。しかも、欧米のDJ達が、直感的なコントローラを欲していてそれが当たり前になりつつあるので、その流れの中ではAIRAから窓を取って使い易さに重点を置いたというのは、スマートなデシジョンだと思いますね!
渋:デザインについてはどうですか?私個人は従来のRoland製品とはだいぶ違う印象を受けました。
モ:そうですね。以前使っていた某コントローラーが壊れた時に、折れてしまった部分を見てみたら、プラモデルが割れたような感じで中の軸が折れてしまっていました。その時にこういう部分のコストカットはちょっと寂しいなと感じました。だからそういう部分も含め、ユーザーが長期的に判断して行くでしょうね。
実際に現場で使うならドリンク掛けられたり、蹴られたりと過酷なテストが待っていますからね(笑)
渋:結局、機能とかチャラチャラしたのがいっぱい付いてるのよりも、野太くてツアーでも大丈夫っていうものが最後選ばれたり、生き残ったりしてますよね。家やスタジオでは便利でもいざ外に持っていったら世間の風には負けましたっていう機材は結構ありますよね(笑)ちなみに私は既にTR-8を何度も現場デビューさせてます!
アナログとデジタル
渋:モーリーさんと言えば、最新のテクノロジーに深い知識と造詣を持ちながらも、私の中ではやはりSERGE MODULARが連想されるのですが、モーリーさんご自身はアナログシンセにたいして、どういう思いを持っていますか?
モ:そうですね、80年代後半から90年代に掛けてやっぱり冷遇されてましたよねアナログは。知識がないと使えないとか、そもそも持ってたのが大金持ちのミュージシャン達ばかりでしたよね。しかも彼らのニーズはプリセットだった。
プリセットが出せないから、アナログシンセの時代は終わったと言わんばかりだったと思います。最近は私の中で良く考えているのは80年代は人よりモノの方が高価だったと思います。アナログシンセやスタジオ機材はもはや固定資産。高すぎましたよね。
高:シンセサイザーを持っている方仕事がくる、という事も少なからずあったみたいですよね。
モ:そうそうそう。モノの方が人より高かった。ところが今やものがどんどんデジタル化した為に価値が水平化したというのもありますけど、今はグローバル経済でアウトソースで自分と同じ、もしくはそれ以上の能力を持った人が外国にいて、その人が自分の半分の値段でやる。だから自分は同じお金をもらうために倍働かなきゃいけないわけですよね。
それによって先進国はみんな圧迫をうけている。だから人件費は必ず世界が水平になるまで南半球に合わせて下落圧力がかかっている。
かつては資産としてのモノが人より高かった。だけど今や、先進国の人の方がモノより高い。そういう逆転もあってこういう太い、リアルなものの価値が、そういう中で上がってきたではないかな。これはある種世界的な人件費の下落にもどっかで関係してるのでは無いでしょうか。
渋:なるほど。
モ:ただやっぱりその一回アナログシーケンサーで決まったところにロックされてしまって出て来れなくなったら次に動くのが辛いので。そこに将来USBが挿さるのだとして、プログラマビリティっていうかなんかそういう最適な解が、そういう探し方をすればあるような気がするんですよ。そんなの要らないっていうのが80年代、90年代でしたからね。
モジュラーシンセにこだわる理由
渋:ちなみにモジュラーをずっと使われて、そこにこだわる理由というのは?
モ:音が太いという事。あとね、これは主観的な物言いですけど、長い間作業して疲れない。疲れる時はオーガニックに肉体的に疲れる。PhotoshopとかIllustratorを使っている職人さんもそうですが、じっとしてるわけですよね。体の一カ所が痛くなってきたりとか。その疲れ方って心地よくないんですよね。
モジュラーシンセは物体で不便だから、それで普通に体が疲れてくるので、体が眠くなってもう今日は寝ようとか、そういう風にタイマーがセットされたように、自然に終われる。あとは波形なのかな。オーガニックですよね。
渋:音が?
モ:音が疲れないというか調節出来るというか。デジタルですと例えばクラブで缶詰状態が続くDJ達の中で、不用心な人はよく難聴になっちゃうんですよね。だから最近の世界的なDJ達は特注の自分の耳に形を基にした耳栓を作ってもらったりしていますよね。
要するに、デジタルのクラブの音楽や、CDから出したAIFFやmp3とかだと、同じサンプルのバッファーをコピペして使い続ける。それを聴いて心身ともに疲れが来るのだと思います。全く同じ刺激を何度も何度も受けると変形してくるというかそのストレスだと思うんですよ、デジタルの音源の疲れるとこって。
だから本当はでデジタルの音源のアルゴリズムの中で微妙に昔のローランドみたいに中で揺れてくれると波形に揺らぎがでますよね。今のデジタルはそこまで気を配ってないから揺らいでいないですね。
渋:TRは揺らいでますからね。TR-8もオリジナルTR-808のシーケンサーの独特のグルーブ感を再現しており、ずっと聴いていても疲れない、ある意味で自然なパターンを組めますよね。
モ:またこういったアナログやデジタルの話をする時にやっぱり見逃せないのは 今10代の人達がいるということです。彼らにとっては最初からモジュラーやTR-8、そしてMacBook Airが同居している。だから彼らから見るとアナログもデジタルもなく、感覚的に良いものを取捨選択ができる。
私の世代の人は「おーデジタルだ」っていうイメージでブランドに負けた部分があったと思うんですよ。
それで実際、本当にカツーンっていう硬質な綺麗な音が広がりましたが、しかし自分が本当にその「綺麗な音をずっと聴いていたいか?」という自問自答をする暇がなかったですよね。当時は奇麗でノイズが無いのが進歩だったわけですよね。
その後2005年くらいに皆がどうもそうじゃないらしいって気づき始めた。例えばモジュラーでもやっぱりモジュラーがちょっとブームになっていて手を動かすのが楽しさが求められて生きている。そうすると内部は実際はデジタルであるけれど、横に繋いでいってアナログめいた雰囲気の製品なんかも出て来た。でも今のユーザーはアナログかデジタルかに関わらずに耳だけで判断する事ができているんです。
シンセの未来
モ:デジタルに対する期待が最高潮に盛り上がっていた90年代のシンセはプリセットがすごい。2000年代に入って、初期のインターネットで、共通のシンセを持った人同士が自分達の作ったパッチをシェアするという現象がありました。ベンダーが自分からサイトを提供することなんかもあったんですよ。
以前それを扱ってる日本の販売代行の会社の人達に聞いたんですが、日本の人はダウンロードは大いにするが全然アップロードしないという話がありました(笑)。私はその考え方は要は、作るプロセスに価値がなく、結果に価値をおいているっていう風に捉えました。
だからそれが90年代的な発想を象徴している気がしたんです。今はですね、有名な人のプリセットをそのまんまコピー出来ますとか、そのままディスクで買えますとかそういうのが衰退していて、では何が爆発的に盛り上がっているかというと「有名なアーティストのこの曲のこの音を、MASSIVEやFM8でこうやって作ります」というチュートリアルの動画なんです。世界中のキッズが8万人も集まり、こぞって実践をする。
渋:個人発信の模倣チュートリアル動画は膨大な数がアップロードされていますね。そのクオリティもピンキリですが、作品によってはかなりのViewがありますね。
モ:そうそう。だけど、なんかちょっと近づいてる訳ですよ。そうするとコメント欄もありがとうとかで埋まる。どうせタダで見てる分けですから。今盗みたいのは「技」なんですよね。
渋:なるほどね。
シェアされるサウンドプロセッシング
モ:コメントを残す人がいるっていうことはかつてのダウンロードばかりしてアップロードしないというまるで「かごに入ってるものをがーっとバーゲンで買い占めようとしている」ような考え方や世界観ではなく、シェアする中で、その「面白さ」だけにフォーカスしてるという事の現れですよね。
「そのサウンドのかっこよさをおれなりに身に付けたいんだ!」というのを共有しあってるわけですね。昔だったら要はこういう機材に「プリセット何種類あるんですか、有名な曲のプリセットもありますか?」というような感じで、買って帰ってそれだけ演奏して終わりみたいなパターンが多かったと思います。
でも、今の人達はソフトが99ドルとかだからそれをどう使って友達と共有したり、ひけらかすのかっていうことの方が大事で、つまり社会性があるんですよ。
財産を貯めるという考え方ではなく、もうちょっとクリエイトにオリエンテーションがあると思うんですよ。
渋:そうですね。確かにプリセットの時代はちょっと前に終わってますからね。
モ:プリセットで売っていた機材も2000年前後にはありました。でも今は「このプリセットは有名な某アーティストが作りました」なんて取り説に書いてあろうものなら、そのアーティストも音楽も機材もネット上で好きなだけ叩かれて炎上したりしてしまう時代です。昔とは物理的にも科学的にも環境的にも時代が違うんです。
ワンアンドオンリーのプリセットを皆がわーっと欲しがるのではなく、それをモディファイしてプロセスを共有して、自分なりにメイクするという流れですよね。
渋:音作りの巧みさで勝負する、自分の動画のView数を挙げるという観点からもモジュラーが盛り上がっているのかも知れませんね。ソフトのチュートリアル動画と並んで、ハードをわーっと並べている動画も沢山ありますよね。
モ:そうそう。自宅で機材を集積して楽しむっていうことよりも、今はやっぱりそれを映して、表現しているのをYouTubeに載せてコレクションとしてだけではなく、自分はそれをちゃんと使えてるという事の承認欲求がありますね。
頑張って機材を買ったからには執念で動画作ってる人もいるわけですよね。
今後そういう若い子ますます増えてくると思ういます。その子達は一生懸命iPhoneに録画して、いい音で聴いてほしいからライン録りしたとか、皆に見てもらう為に凄く気合いが入っている。そういうソーシャルがあるからこそ、そこにはグルーブがあって気持ちのよい音が重要になってくる。共感される音というかね。
サウンドを感じろ!AIRA
渋:その点はAIRAは懐かしさもあり、音や操作性、ルックスでも勝負できる。価格も押さえられているし皆がシェアできる。新しいユーザーどんどん上がってくるし、若い人もみんなついて来ますよね。
モ:TR-808やTR-909の懐かしさの記憶がそもそもない人達が、どんどん新しい使い方を変えていっちゃうと思うんですよね。盛り上げると思いますよ。
高:最初にAIRAを作り始めた時はターゲットユーザーは上の方でしたけど、若い世代の人にも使ってもらいたいと思ったんですよ。そうなった瞬間、まさに仰ってるように生まれたときからパソコンがある世代の人にこの商品自体に価値を見出してもらえるかなって考えた時に、大きな発想の転換を迎えたんです。
モ:あと、20年くらい前にDJが出てきた時代に大きな山があったとして、バンドでギターが上手いといった様な価値観は一度衰退するんですよ。ところがDJ達が大スターになった時に、結局DJの大先生がそこに立って、もしかしたら全部予め書き込まれたCDを流していて、実はあてぶりかもしれないという事になった。
そこから次第に生演奏とか同一の曲なのに自分でその場でモディファイしてるとか音作りをしているっていうのを見せたいっていうミュージシャンの要求も高くなり、またお客さんもそれをショーとして見たいという需要が高まって来た。今はそれをやらないと下がっていきますよね。
渋:それこそジェームスブレイクなんて全部生演奏ですもんね。
モ:楽器のこれなら見るからに何やってんだみたいなすごさがあるからこれに更にちょっとLEDの光とかタッチに反応する機材などがあると、如何にも演奏している雰囲気が出やすくなる。それは見ている人の側でもそれを見たいという希望があがってるんじゃないですかね。そういった需要の高まりや機材の登場によってこれからクラブシーンみたいなのもどんどん変わっていくかも知れませんね。
渋:是非AIRAにはその主役なって貰いたいと思います。本日はどうもありがとうございました!
世界が注目する中、ダンスミュージックの歴史を塗り替える為に登場したAIRA。最先端のテクノロジーとアナログシンセの両極端に深く精通したモーリー・ロバートソンさんとの邂逅は予想を超えた啓示に満ちたものでした!シンセサイザーのアナログ回帰がブームになるなか、敢えてデジタルの道を選んだAIRAが10代のキッズにはどう映るのか?アナログシンセとソフトシンセとiPadなど異なる世界感のプロダクトを同列で感じる事の出来る世代にとって、アナログもデジタルも超えた、純粋なるサウンドの良さとパフォーマンス性がAIRAの一番の魅力となるでしょう。AIRA Rock oN Lab.では今後もAIRAに密着し、これから育って行くシーンを見届けたいと思います!
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