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Solid State Logic 社(略:SSL)は80年代を象徴するサウンドを作り上げたSSL4000コンソールを始めとする音響機器メーカーの老舗。マルチトラックレコーディングを画期的なインラインコンソールで一躍メインストリームに踊りでた、先進性に富んだメーカー。伝説的なブランドでもあるため、保守的なイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、常に時代に対しメッセージ性の高いプロダクトをリリースしていることを忘れてはいけません。
テープベースからDAWへとレコーディングシーンが変容していく時代の中でもいち早くその流れに乗り、先進的な機器を世に送り出す。2013年にも、A-FADAを搭載したサミングミキサー『SIGMA』を発売、今後のコンソールメーカーの考えるMusic Mixingのワークフローに革命的なソリューションを低コストで市場に対して送り出しています。
そのSSL社の歴史をミキサーコンソールの歴史と共に紐解いていきたいと思います。
Solid State Logicの歴史
1969年創業。イギリスのオックスフォードに本社があり、広大な敷地内に向上も併設されている。創業当時はパイプオルガンの制御装置を制作していたことは、あまり知られていない。当時主流であった真空管ではなく半導体を利用したことが、社名の由来である。現在はオーナーがピーター・ガブリエルということも別の意味で注目を集めている。
SSLサウンドの徹底解剖
Rock oNではおなじみのSSL本社のJames Motley 氏が、現在のSSLのラインナップについて語りました。
現在制作の現場で必要となっているのは、エンジニア自身が『LEGOブロック』のようにパーツを組み合わせて理想の環境を構築するスタイルだと言うJames 氏。そのLEGOブロックのパーツとなる製品を、高いクオリティーでリリースしているのがSSLだとお話いただきました。
詳細はまず、こちらのビデオを御覧ください。
右はフィンランドのイースタジオです。左と似たセットアップですが、異なる方法でLEGOスタジオが構成されています。
左の写真はもう少し小規模ですが、素晴らしいジャズファンク・キーボードプレイヤーのサイモン・グレイのスタジオ。右はまた別のサンクチュアリスタジオです。この2つは異なるLEGOスタジオを構成していますね。
最後にひとつ、とてもクレイジーなLEGOスタジオをご紹介します。オーストラリアの友人の所有するスタジオです。全てのアウトボードが異なるチャンネルに接続可能となっています。
これもまたLEGOスタジオのひとつです。
私達は、スタジオをまるでLEGOのようにさまざまな目的に合わせて組み立てていくことができるのです。
SSLのLEGOスタジオには3つのサウンドがあります。
1つめはスーパーアナログサウンド。
1994年、Jシリーズコンソールから始まり、2002年のKシリーズ、AWS、そしてDualityへと受け継がれてきました。スーパーアナログにはいくつかのサウンドカラーがあり、色づけを全くしないモニタールームと同じサウンドであったり、マイクに合ったサウンドカラーであったりと、変化をさせていくことが可能です。まずはじめに、スーパーアナログにはトランスが使用されていません。それによって高域における歪みが抑えられ、非常にクリアなサウンドが得られます。
次に、フェーダー部には従来のVCAが使われていません。それによってノイズが最小限に軽減されています。そして最も重要なのが、音声の通る部分にコンデンサーが使用されていないこと。コンデンサーが使用されていると、まるでEQを使用した時のように、オーディオサウンドが変わってしまいます。
スーパーアナログサウンドは、低域から高域まで、周波数特性が非常にフラットなのが特徴です。例えばX-Deskを例に挙げると、6Hzから174kHzまで-3dBというレベルがフラットに保たれています。つまり、クリティカルレンジ(20Hzから20kHzまで)がフラットな状態です。
スーパーアナログの上質なサウンドのもう1つの要因は、フェイズです。この青い線はフェイズを表しています。100Hzから10kHzまでフェイズが非常にフラットな状態であることがわかります。これはLR(ステレオ)のバランスが良いということを意味します。ヒップホップのミュージシャン達がSSLを好む理由がそこにあります。彼らの多用する低域成分を多く含むサウンド(KICKやBASS)をより効果的に再生できるためです。
スーパーアナログはSSLのモダンサウンドです。音域が広く、音が速く、くっきりと明瞭なサウンド。しかし、もう1つ異なる種類のサウンドがあります。
スーパーアナログのLEGOスタジオで作業する時、例えばX-Rackシステムでマイクプリアンプ、コンプレッサー、EQ、もしくはステレオコンプレッサー、ステレオEQをレゴのように組み立てて作ることができます。
ミキシングエンジニアの中には、クラシックSSLサウンドが特にロックに適しているという人がいます。
1977年、SSLは4000Bを発表し、1981年には4000E、1989年に4000Gシリーズを発表しました。これらのクラシックSSLのサウンドは、非常にクランチで、バイトで、パンプな要素を持っています。
もし、よりカレッジで、アグレッシブで、ロールなサウンドを求めているのであれば、4000シリーズのLEGOスタジオが活躍するでしょう。X-Rackは、このようなサウンドを提供します。
4000シリーズのダイナミクスとEQです。これにはオリジナルのEシリーズのサーキットが搭載されています。EQには、ブラウンノブとブラックノブの2つの異なったEQが入っています。
そして、クラシックSSLのバスコンプレッサーです。このデザインは、これまでに開発したすべてのコンソールと同じデザインです。ここで作り出されるSSLのミックスバスのシンプルなサウンドを、エンジニアはオーディオグルーヴと呼びます。
しかしながら、スーパーアナログのサウンドと、4000シリーズのクランチなサウンドに加え、SSLのサウンドを変えるもう1つのテクノロジーがあります。それがVHDです。
VHDとは “Variable Harmonics Distortion (Drive)”の略称です。VHDはマイクプリアンプに搭載されています。良いエンジニアリングをする時、メーターはグリーンを保ち、クリーンで、速くて、ニュートラルなプリアンプです。
真空管サウンドのようなヴィンテージサウンドや歪んだサウンドが欲しい時は、VHDを使用します。このVHDを使うと、ハーモニクスの成分(倍音)が足され、結果としてディストーションサウンドのような効果が得られます。
2ndハーモニクスにした時は真空管サウンドのようになり、3rdハーモニクスにするとトランジスタサウンドのような効果が得られます。これらを好きな割合で混ぜることができます。
VHDはあたたかいサウンドであったり、ハードでディストーションなサウンドを作ることができます。
これはレコーディング時のドラム録りに最適です。録音したサウンドをミックスする際にも適していて、ドラムサウンドを攻撃的にしたり、ギターをLow-Fiにしたりすることができます。このVHDはDualityに搭載されています。
彼はケヴィン・シャーリー、アイアンメイデンやブラックサバス、オジー・オズボーン等を手がける有名なロックエンジニアです。彼はこのVHDが好きで、マリブのホームスタジオでDualityを使っています。レゴスタジオプロダクトにもVHDが搭載されています。
これはVHDプリアンプ、Alpha Channel、そしてX-RackのVHD Input Moduleです。Alpha ChannelにはGシリーズEQ、リミッター、ADコンバーターも搭載されています。
しかしLEGOスタジオの中で最もVHDサウンドのテイストを持っているものはVHD Moduleです。
ドライブサウンドに歪みを加えるだけではなく、SSLならではのリッスンマイクコンプも搭載されています。
リッスンマイクコンプはドラム等にとてもハードにコンプレッションをかけることが可能で、SSLサウンドを付け加えていくことも可能です。
最後に、SSLは3つのアナログサウンドを持ちあわせています。
速く、Hi-Fiで、モダン、ポップ、ヒップポップなサウンドのスーパーアナログ。クランチでクラシックなEシリーズは、ロックミュージックやオールドスクールに適しています。そしてVHDは、さまざまな異なるトーンのサウンドを作ることができます。
これらの便利な機能をぜひお試しください。SSLサウンドを聞く一番の方法は、実際に体験することです。ここRock oNの素晴らしいデモルームにお越し下さい。スタッフがSSLのアナログサウンドをご紹介します。
どうもありがとうございました。
SSL E-Series EQ Module for 500 Series racks
Stereo Bus Compresser Module for 500 Series
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