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2014年10月22日 新製品, ,

Roland Mobile UA 楽器メーカーが作った DSD対応DAコンバーター 実践レビュー


ミュージシャンのためのDAコンバーター。
なんとミックスの出来映えさえも変える秘密兵器 S1LKiを搭載!

有名メーカーからインディーアーティストまでもがDSDの音源配信を始めている昨今。それと同時に最大でCDの128倍のサンプリング周波数というDSD音源を再生するプレイヤーに注目が集まっています。

今回私IH富田がご紹介する Roland Mobile UA(UA-M10)は、楽器メーカーがミュージシャンの視点から作り上げたDSD対応DAコンバーターとして発売前から各方面で話題となっています。

発売前にMobile UAをRolandからお借りすることができたので、その実力を試してみました。
ヘッドホンを使ったリスニングと、バンドアンサンブルの中でのオケ出し用途の2通りの試聴を行った結果、本機がただの音楽プレイヤーではないことを私は実感しました。

制作現場からライブ現場にまで対応する有効範囲の広さと、新DSPエンジン『S1LKi(シルキー)』が既存のWAVファイルですら脅威の表現力で再生する力を持つなど、ミュージシャンにとって他にはない高い価値を持つMobile UAをご紹介いたします。

Mobile UA 基本仕様

・DSD対応DAコンバーター
・新DSPエンジン『S1LKi』
・ASIO対応 4out オーディオI/O
・4 out &ハイパワー ヘッドホンアンプ

DSD対応DAコンバーター

Mobile UAが再生できるDSDフォーマット

・PCインターフェース=5.6448MHz (*)、2.8224MHz
(* 5.6448MHzのDSDデータは、2.8224MHzにダウンコンバートされて再生)

・DAコンバーター=2.8224MHz

DSD音源をリファレンスに

AKG K812を使用

Mobile UAは リスニング用途でDSDファイルを楽しむのはもちろん、エンジニアリングを行うミュージシャンであれば購入したDSD音源を自身の楽曲のリファレンスとして使いたいと思うはず。

リバーブの切れ際や空間処理、楽器のパニングや繊細なEQ処理など本来のリファレンスとして必要な要素をDSD音源の中で見つけることができます。

DSDを活かす高品位なハードウェア

見落としてはいけないポイントがここ!

DSD音源のクオリティを損なわず録音/再生するために、Mobile UAには相応の高い音響特性のハードウェアが搭載されています。

後でご紹介しますが、Mobile UAは一般的なWAVを再生するためだけに使ったとしてもこの高い音響特性を活かすことができます。

新DSPエンジン『S1LKi』

今回最も私がお伝えしたいMobil UAの魅力がこれ!

Rolandが新開発した新DSPエンジン『S1LKi』は、44.1kHzなどの従来のPCMデータをDSPにより正確に高精度化する技術。DSDと同じ1bit DAコンバーターを使って音を再生するため、滑らかかつ立体的なサウンドでPCMデータを再生します。

実際にS1LKiの実力を体感してみました。

44.1kHz 16bitの一般的なPCM音源を聴きながらS1LKiをON/OFFして比較しました。

(※ Mobile UA ドライバーソフト上「D/A Conversion」の1 bitというチェックボックスでS1LKiのON/OFFを切り替えます)

結果は驚くべきもの。S1LKiをONにすると音の立体感が増し音像が明瞭になります。具体的には音の分離感が向上しトランジェントが正確に再生されているようです。

もちろんこれは倍音を強調したりEQ的な処理を施すものではなく、PCM音源をDSDと同じ1bit DAコンバーターを通して処理した結果です。

4つ打ちのEDM、ピアノ弾き語り、オーガニックなロックバンド ほかあらゆる音源ソースが素晴らしい音像で再生されました。

S1LKiによる音像の明瞭化は、DAWを使ったミックスを行う際にも威力を発揮します。

実際にCubaseで使ってみましたが、S1LKiをONにするとこれまで聴き逃していた音の切れ目や高域の歪みなどに気づきました。極僅かなパラメーターの違いも分かりやすくなります。

ミキサーのフェーダーやプラグインの1目盛りの差を感じながら、より繊細なミックスを 正確に行うことができることはミュージシャンにとってこの上ない戦力となるでしょう。

4 out & ハイパワー ヘッドホンアンプ

Mobile UAは4out 仕様。ステレオヘッドホンアウト1系統 & ステレオAUX出力1系統を備えています。これが一般的なリスニング用途のDAコンバーターと大きく違うところでしょう。

使い方は人それぞれではありますが、何に使うことを想定された設計なのかをRolandに伺ったところ、バンドのドラマーがヘッドホンでクリックを聴き、AUXからオケを出すことに使っほしいとのこと。

というわけで…

実際にバンドで試してみました。

私がギターを務めるバンド『BFA (Big Fat Ass)』のオケ出し用オーディオI/Oとして使ってみました。

バンドは2Vo & 3インストゥルメンツ構成の80’〜90’ハードコアサウンドが基本ですが、曲によっては予め用意していたオケを混ぜます。

TB系アシッドサウンドやEDM系シンセ、FXなどをMacbook ProのCubase 7に2ミックスで仕込んでおき、それとドラム用クリックを、オーディオI/Oからそれぞれ別系統で出力しています。

コンパクトボディの重要性に気づく

使用した感想としてはまず「小さくて軽い!」。通常使っている某I/Oはハーフラックサイズかつ多入出力が特徴の、用途にしてはオーバースペックなものでした。

ただでさえギターとエフェクターだけで荷物が大きくなる上に、Macbook ProとオーディオI/Oで両手が塞がる状態だったので、ACアダプタも使わずギターケースのポケットに入れられるMobile UAの手軽さはそれだけで魅力です。いつも電車移動をしているので片手が空いたことには助かりました。

オケがとてもクリアで音を捉えやすいので気分がのる

続いては肝心の音。ドラマーのS氏が聴くヘッドホンへはクリック6:オケ4 の割合で音を送っています。

Mobile UAのヘッドホンは 158mW+158mW(40Ω負荷時)というハイパワーです。使用したヘッドホンはSONY MDR-CD900ST(63Ω)なのであまりハイパワーは必要としないものでしたが、ドラマーのS氏は「クリックの後ろで鳴っているオケがとてもクリアで音を捉えやすいので気分がのる。」と好印象を持ったそうです。

またクリック自体も聴こえやすくなったためこれまでより少し音量を下げても使えたとのこと。「いつも使っているオーディオI/Oのヘッドホンの音が若干歪んでいることに気づいた」とも言っていました。

楽曲の演出力がUP

もちろんスタジオのPAから流れるオケの音質も上々。S1LKi をONにしたオケの音質にバンドメンバーからも驚きの声が上がりました。アシッドシンセやFXの立体感が増すことで楽曲の演出力もUPです。

その解像度の高いオケの音は分厚いディストーションギターやドラムのきつい打撃音の中からもちゃんとぬけてきます。気持ち良いだけでなく正確な演奏を心がけることもできました。

PCでオケ出しをしているアーティストやバンドはこのMobile UAに絶対注目すべきです。コンパクトさと音質の良さ、そして気の利いた4 outの使い勝手の可能性をぜひ活かしてください。

まとめ

PCMデータを1bit DA? DAコンバーターなのに4out?など始めはその仕様に疑問を持って挑んだレビューでしたが、結果的には「納得」。さすが楽器メーカーが作っただけあって、Mobile UAはミュージシャンの用途に応える多機能DAコンバーターでした。

このレビューを読んでピンときたらぜひMobile UAを使ってみてください。あなた流のあなただけの使い方がきっと見つかるはずです。

2.8224MHz DSDネイティブ再生、DSDを再生する高品位ハードウェア、驚愕のS1LKiサウンド、コンパクトさと4out の可能性。その全てはミュージシャンのために。

IH富田


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