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Keep On Burning 第三話
〜AVB機能を搭載した世界初のThunderboltオーディオインターファイスがついにベールを脱ぐ!
8月22日より発売が開始される「1248」、「8M」、「16A」は、コンピューターとThunderbolt/USB 2.0(USB 3.0互換)で接続するタイプのオーディオ・インターフェース。
いずれも1Uラック・サイズで、アナログ入出力以外の基本的な仕様は同一ですが、優れた音質と最先端の技術を兼ね備えたMOTUの新しいAVBラインのフラッグシップモデルとされます!
長年に渡ってオーディオインターフェイスの技術を磨き、評価を得てきたMOTUが生み出した待望の次世代オーディオインターフェイスを徹底解剖します!!
ブラウザ上で立ち上がるミキサー画面
まずは、操作画面から見ていきましょう!
複数のAVBオーディオインターフェイスを繋げることで、非常に低いレイテンシー(遅延)を実現し、さらに大規模なオーディオネットワークシステムを組むことを可能にするのがAVB規格の核心です。そのためには当然、ネットワーク環境上で、各オペレータによる独立した操作が、全てのルーティングに反映する必要がある訳ですね。
試しに、2台のPCを用意し、それぞれ1248と8Mにthunderboltで接続、さらに1248と8MをAVB Switchを介してEthernetで接続したところ、それぞれのPCで2機のI/Oを認識しているのが分かりました。このようにして、実際には接続していないI/Oにも、ネットワーク経由でのコントロール操作が簡単に出来てしまう訳なのです。
では次に、気になる操作画面です。
コンソール画面左側には、Device、Routing、Mixing、Aux Mixing、そして認識されているデバイスが表示されます。
Deviceを選択すると、ここではサンプルレート、クロックモードや、どのI/Oをマスタークロックにするかなどの設定、Input・Outputの各チャンネルモニターレベル調整、または、必要なチャンネルの有効・無効設定などがまとめて行えます。
発見した面白い機能としては、右端のスナイパーマークを押すと、現在操作しているI/Oのディスプレイ画面が分かりやすく点滅するような仕組みになっています。これは例えばライブ本番中に暗い中で操作しているデバイスを瞬時に判断するのに役立つと思われます。
またブラウザミキサー画面にはレイテンシーの設定や表示を見つけることができませんでした。この部分はメーカーに問い合わせて調査中です。結果が出次第報告します!
RoutingとMixing画面
Routingでは、任意のチャンネルのI/O設定、Mixier画面では、Gate、Comp、Reverb、EQなどのアナログモデリングエフェクトを設定できます。
まず第一インプレッションでも、ワンクリックでの全表示・全縮小など、非常の操作性の効率のよさを伺えます。
ミキサー画面は、アナログ卓のようなGUIになっており、拡張性を意識しているように思います。
コンプは、あのオプティカルコンプレッサーLA2Aのモデリングで、非常にに滑らかで質感のあるサウンドにすることができます。ちなみに、Control内の「Legend」をクリックすると、DSP処理の負担割がメーターとして表示されていました。
複数台のAVBネットワーク
さて、次は気になるAVBのネットワーク接続についてです。
一台のPCに二台のI/Oを接続した場合、さらに二台のPCにそれぞれ二台のI/Oを接続した場合で、入力信号と出力信号をそれぞれ別のI/Oで機能させる検証しました。
まず、一台のPCに1248と8MをAVB Switch経由で接続した場合(ちなみに二台接続の場合では、双方を直接Ethernetケーブルで接続してもネットワークは構築できました)。
始めに設定をするのが、Device画面の「AVB Stream Setup」設定です。ここでは、最大16チャンネルのAVBストリームチャンネルを構築できます。
また、Input Stream 1に連動させたいI/Oを選択します。これをすることで、ルーティングのマトリックス画面に、「AVB Stream」というものが現れます。
これを、それぞれのI/Oで設定し、最後にルーティング画面でAVB Stream入出力を任意の出力に割り当てれば完成です。
次に、二台のPC接続の場合です。
この場合も、基本的なルーティング設定は先程と全く変わりません。
しかしながら、一つだけ非常に重要な点は、「接続している各々のPCで、同じデバイス設定にしないといけない」ということです。
2台のPCでそれぞれが異なっていると、AVBがどちらを優先して良いのか分からず、プリセットの保存などにリセットバグが生じたり、他方のI/Oへの出力がまったく認識されなります。
AVBネットワークで実験してみた事
・何も接続しない場合
=スタンドアロンとしてマイクインプットのモニタリングは出来ます。
・PCにThunderboltでI/Oへのみ接続した場合(ネットワーク接続無し)
=この場合、ネットワーク環境を接続していなくても、AVB用のブラウザ画面は開く事が出来ました。
きちんとAudio/Midi設定でもCoreAudioとして認識しています。もちろんこれは、AVBという規格がハード個体のアドレスに直接アクセスする仕組みになっているからです。
・Ethernetでのハブを介さない1対1接続が可能かどうか(Thunderbolt端子は抜いて)
=結論から言うと、この実験ではCoreAudioとしての認識、すなわちオーディオインターフェイスとしての接続は不可能でした。
しかしこの検証では、2パターンの結果が出ました。PC側とMOTU側が両方ともEthernetポートの場合はブラウザ認識すらしませんでしたが、PC側をThunderbltインプット変換(Ethernet-thunderbolt変換)すると、ブラウザで認識します(認識するまで少し時間がかかりました)。
当然Core Audioでは認識せず。一瞬、iTunesやDawでのオーディオ再生を、二台の異なるI/Fで流せるかと思いましたが(AVBとCore Audioで)、OS自体がAVB認識をしないため、アプリへの起動自体も実現できませんでした。
この機能を有効活用するとすれば、一台のPCにはThunderbolt接続で使用し、もう一台のPCへはEthernet-thunderbolt変換で接続すれば、Ethernet-thunderbolt接続をしたPCでもネットワークを共有して各設定やコントロールが可能だというところでしょう。
・ローカルネットワーク上でPCからアタッチ出来るか>MOTUのハブをネットワークハブへ、I/Oをネットワークハブへつないだ状態でアクセス出来るかどうか
MOTUのAVB Switchをネットワークハブへ接続した場合、問題なくネットワークブラウザを認識します。
さらに、AVB Switchを利用せずに、ネットワークへ接続しているハブへ直接PCとI/Oを接続しても問題なくネットワークブラウザを認識しました。
ただし、ここでもI/OからPCへの接続がThunderboltあるいはUSB2.0でない限り、Core Audioとしては認識できない為、コントロールの共有のみになってしまいます。
・サードパーティ製のAVB機能は使用可能か。
試しにPrism Sound Lyra2のAVBポートに接続してみましたが、結果は認識せず。念のためメーカーに問い合わせましたが、今のところは実装機能てしては活用できないとの事でした。
さて、ここで少しAVBについて掘り下げてみます。
AVBとは、一体どういったものなのでしょうか。
AVBの正式名称は「IEEE 802.1 Audio/Video Bridging」で、その名の通りオーディオやビデオ通信の橋渡しになる規格です。
主に普及している環境としては、家庭内のAV機器家庭内のオーディオ・ビデオ機器などマルチメディア機器やパソコンを接続して音楽や高精細な動画のストリーム・トラフィックをやりとりする場合や、車載カメラの映像を用いて車両の周辺監視を行うサラウンドビューシステムなどですが、その使用メリットは、大きく「低遅延」にあります。
例えばAirPlayなどのワイヤレスホームネットワークでオーディオを聴くと、どうしても遅延(レイテンシー)が気になってしまいます。
単なるオーディオ再生であればリアルタイムである必要はありませんが、映像とオーディオの同期がとれなかったり、ネットワーク上でリアルタイムなレスポンスが必要になる場合等には非常に難があります。
車載カメラの映像にしても、時間のズレがあっていは事故等の防止も安全性が低くなってしまいます。
そこで、この「AVB」規格を使用する事により、遅延を著しく抑えたオーディオ・ビデオストリームを可能とし、ストレスフリーな活用が実現するのです。
ここで、AVBに関しては一つ留意が必要になります。
それは、同じくAVBを採用している他社メーカーの製品との互換性がある訳ではないという事です。
例えば、AvidのS3LやPrism SoundのLyra2・TITAN、WAVESのDigiGridなども同じようにAVB接続ポートを持ちますが、これらが互いに連動できるところまではまだ進んでいません。
AVBという規格は、あくまでもネットワークのくくりを定めているもので、他社メーカーのプロダクトとはそれぞれ別の枠組みになるということの理解は必要なのです。
ただ、そういった垣根を越え、すべてのAVB搭載機器が接続できるような、より拡張性、汎用性の高い応用システムを構築できる未来は、そう遠くないと思われます。
●ネットワーク層
また、ネットワークを理解する上で必ず表題に出てくるのが「ネットワーク層=OSI参照モデル」です。
ネットワークの世界では、非常に複雑な動きを分割して階層化することで、開発元の違う各システムの互換性を高めます。
OSI 参照モデルは、国際標準化機構(ISO)により制定された、データ通信を実現するためのネットワーク構造の設計方針「OSI」(Open Systems Interconnection)に基づき、
コンピュータなど通信機器の持つべき機能を、階層構造に分割したモデルのことを指します。
ここでは深く触れませんが、オーディオネットワークに大きく関わっているレイヤ1〜3だけ簡単にご紹介したいと思います。
レイヤ1
レイヤ1は、物理層と呼ばれ、伝送経路上のデータ表現方式やインターフェースの形状といった、ネットワークの接続やデータ伝送に関する物理的・物質的な方式が規定されています。
具体的には、コネクタやケーブルの材質、電気信号の変換に用いる電圧レベルや光波長の変換方式、タイミング、などが第1層で規定されてます。
今回紹介しているMOTUの製品ではCAT5eのケーブルを使用してRJ45コネクターをという部分がここに当たります。
レイヤ2
レイヤ2は、データリンク層と呼ばれ、ケーブルや無線などによって直接接続された通信機器による伝送経路の構成やデータの識別、経路の選択などに関する方法が規定されています。
具体的には、データのパケット化や信号の誤り訂正などが該当します。
今回のAVB規格は、ここに位置しています。
レイヤ3
レイヤ3では、データを正しく相手に送り届けるためのアドレスの割り当てや管理を行っています。
これはレイヤー1 やレイヤー2 のソリューションとは異なり、原理的に専用のネットワーク・インフラストラクチャーを必要としません。
つまりは、現在ネットワーク上で使用しているPCやMacのように特別な機器を必要とせずにネットワークを構築することができるということです。
この”既存のEthernetネットワークを利用可能なレイヤー3のIPベース・プロトコル”を利用したオーディオネットワークに、DanteやRavennaが採用されています。
今回MOTUが採用するAVB規格は、データ転送にはEthernetケーブルを使用し、最長100m、最大512ch(48kHz)の同時転送が可能となります。
さらに、ハードウェア内のレイテンシーを最小限に押さえることにより、48kHz時で32サンプル(0.66ms)という驚異的に低いレイテンシーを誇り、
複数のAVBオーディオインターフェイスを繋げることで、大規模なオーディオネットワークシステムを組むことも可能にするのです。
このシステムを用いれば、例えばLIVE会場のPAで、大量のケーブルを引き回す事なく、Ethernetケーブル一本で他のPCへバックアップ用の録音が出来たり、
離れたブースから必要なチャンネルのみに必要なエフェクトをかけたりすることが簡単にできます。
しかも、これらのオーディオネットワークのルーティングはすべてWebアプリによるリモートコントロールを可能にします。
これは、内蔵DSPエフェクトやミキサー、デバイスの各種設定、ルーティングなどを、コンピュータを介さず有線または無線(Wi-Fi)によって接続された
ローカルエリア・ネットワーク内のタブレットあるいはスマートフォン上で、任意のウェブブラウザを使用してコントロールできることを意味しているのです!
同じネットワークを共有している限り、任意のプラットフォーム(Mac、Windows、Linux、iOS、Android)で、任意のウェブブラウザを使用することができるので、
まさにあらゆるシーンに対応する革新的な次世代型オーディオI/Oと言えるのですね。
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