株式会社メディア・インテグレーション Rock oN Company | 03-3477-1756
どんなリズムトラックをヤバイと感じるかは人それぞれですが、
今回はダンスフロアにて”腰にくる”ヤバイリズムトラックを追求してみたいと思います。
キックとベースはお互いが絡み合う事でグルーブを生み出す、言わばダンスミュージックの心臓部です。
爆音の現場でダンサーの腰を直撃する音を作るなら、ダイナミックで直感的な制作方法が一番です。
フィルタリングやイコライジングであれこれ頭を悩ます前に、
単体機のリズムマシンとベースシンセを使って、キックとベースを”競演”ならぬ”共犯”させてみましょう!
acidlab MiamiとBassline-3はそれぞれRolandのヴィンテージマシンであるTR-808とTB-303のクローンモデルです。
単なる再現にとどまらず、MIDI対応は勿論の事、オリジナル機では不可能だった、
シャッフルやロングディケイなど、現代的にブラッシュアップされています。
まずはMiamiとBassline-3をMIDIケーブルで接続し、それぞれのアウトプットをアナログミキサーに突っ込みましょう。
Miamiは11パラアウト仕様なので活用しましょう。ミキサーのEQで単音ごとに好みの音を目指せます。
ハードウェアマシンでのキックの音作りで注意しなければならないのは、
重心を低くしたいがために、不必要にピッチを下げ過ぎてしまう事です。
当然ピッチを下げると、808キックサウンドの肝であるサステインも下がって、
他のベースなどに干渉してしまい、リズムトラック全体の抜けの悪さにつながります。
Miamiではディケイの設定範囲がオリジナルの2〜3倍あるので、
サステインの響きを聴きながら、ピッチを調整しましょう。
またキックに高域のアタック成分を付加する事で、ベースと絡ませたときに目立たせる裏技があります。
キックと同じタイミングでMiamiのリムショットをうっすらと鳴らし、まとめてコンプレッションを掛ける事によって、
アタックを強調する事が出来ます。ヒップホップではスネアと同時にリムショットをならす技もありますね。
キックの音が決まったら次はベースです。
Bassline-3のシーケンスを走らせながらパターンを入力していきます。
伝統の303サウンドという事でビキビキ言わせたい所ですが、今回はレゾナンスを一切使わず、
輪郭がはっきりした音を作っていきます。カットオフおよびENV MODは全開、リリースは短めに設定します。
基本のパターンが出来上がったら、いよいよ”共犯”の時間です!
出来上がったベースのパターンをBassline-3のStepWriteで編集します。
キックの配置を意識しながら、ここだと思うタイミングでノートのオクターブを大胆にシフトさせます。
3段階程度のオクターブシフトを加えるとフレーズが立体的になり、
Bassline-3のプレーンかつ粘りがある音色と相まって、メリハリのあるグルーブが生まれます。
さらにアクセントを規則性無く入力する事で、Bassline-3のフレーズが生き物の様に躍動します。
MiamiおよびBassline-3には前述の通り、豊富なシャッフル機能があります。
16分音符と8分音符が選択可能で、その中で度合いを3段階で設定したり、
Miamiではさらに16分と8分を同時に使用することも出来ます。
MiamiとBassline-3をそれぞれ走らせながら、別々のシャッフルを使う事によって、
頭の中では思いつかないグルーブを作り出す事が出来るでしょう。
このようにシンプルなマシンの性能を最大限に引き出す事で、
モニターの前で悩まず、アグレッシブにヤバイリズムトラックを作っていきましょう。
アシッド渋谷は808&303サウンドをアナログシンセの鉄板コンビで作ってきましたね。では私IH富田は、ソフト音源ならではの機能を使ったグルーブ構築のコツをお伝えしましょう。しかも超ローコストで!
まずは個人的にハマっているドラム音源Rob Papen PUNCHから。
PUNCHは「オランダからやってきたヤバいメーカー」の異名を持つRob Papenならではの機能を満載したドラムシンセサイザー。元波形からサウンドをシンセサイズできる他に、8個用意されたスロットにWavサンプルデータをロードして使うことができます。自分のお気に入りライブラリをロードして使えるサンプラーとしての一面も持つことは意外と見落としがち。シンセとサンプルを同時に扱えるドラム音源はなかなかありませんよね。
日本の代理店ディリゲントのWebサイトでデモサウンドを聴くことができますので、ぜひテクノ/エレクトロから派生する幅広いダンスミュージックに求められる、メタリックなAcidドラムサウンドを確かめてみてください。パっと聞きは軽い音のように感じるかもしれませんが、いじりがいのあるいくらでも料理したくなるサウンドで中級者以上はドキドキしてしまうかも。
このドラムを活かすのは同じくRob Papenのベース専用音源SubBoomBass。柔軟なシンセサイジングと、柔らかく低域に伸びる太いベースサウンドが特徴です。ベース専用で音が太いといえば定番Spectrasonics Trilianを思い浮かべる方も多いと思いますが、サンプル音源のTrilianと違ってSubBoomBassはソフトシンセなのでメモリの容量負荷が極めて少なく、Trilianとは違うまろやかで深い音の太さが個人的に気に入ってます。2OSC +2SUB(!)という超重量級のオシレーターの中にはシンセ波形以外にキックやタム、パーカッションなどが入っていて、いわゆる普通ではないベース(のようでベースではない)サウンドも作ることができます。フィルターも2基搭載しているのでWobble bass作りも楽々。作り方はこちらから>>
さて、アシッド渋谷は808ライクなキックを下帯域に置いて、303サウンドをその上に置くオールドスクールハウス系譜のスタイルをご紹介しましたが、私がご紹介するPUNCHとSubBoomBassの組み合わせならばその逆の、ベースが下でキックのコア(核)が上にくるスタイルも構築できます。ロック/ポップスのドラムセットとエレキベースというスタンダードな構成とは違って、ダンスミュージックではキックとベースの上下の棲み分けでグルーブが変わるため必然的にジャンルが変わります。(DJ RED BAROの「さかさま」の逸話もこれが原因?)
もしあなたが特定のジャンル(もしくはグルーブ)のダンスミュージックを目指して楽曲を作るのなら「キックとベース、どっちが上?下?」このことは基本中の基本としておぼえておいておきましょう。キックのアタック、コア、ボディ、ディケイ、ロー鳴り、それぞれを好きな高さに調整できるシンセサイザーだからこそ、キックとベースの棲み分けを柔軟にコントロールすることがでるというわけです。
PUNCHとSubBoomBassにはアルペジエーターはもちろんグルーブシーケンサーをが搭載されています。マンネリなアルペジエーターをやめて、シーケンサーで自分の狙ったフレーズを作ったりワザと壊したり。MIDIキーボードを使って複数作っておいたシーケンスフレーズを任意で出し入れできるため、両ソフト同時にこのシーケンサーを使って「アルペジエーターでの”まぐれ的”な曲作り」を超えた「シーケンサーを使った”直感的”なグルーブ作り」をしてみましょう。
フロアを突き刺すエレクトロトラックを作るトラックメイカーへはもちろん、新しいジャンルを開拓したり、自分の中の知らない可能性に灯をともしたいというあなたもぜひPUNCH & SubBoomBassコンビに挑戦してみてくださいね。2つ一緒に買っても¥27,600。試してみる価値はありますよ。
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